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NEW LIFE ONLINE   作者: てんく
27/36

27話

たいへん遅くなってすみません。

家に帰って来た俺は、中に入ると玄関で母さんが立っていた。


「お帰り、冬冴。何していたの?」


門限とか無いため、母さんが心配しているだけだろう。ここまで遅くに家に帰ってくることはないから。

俺が西條に貰った景品を見せながら、軽く説明をする。


「そうなんだ。大丈夫だったの?」

「あぁ、大丈夫だよ」

「そう、ならよかった。それと、今日はカレーだよ」


心配そうに、殴られたと言った俺の頬を少し撫でてから大丈夫だと知り、ホッと安堵した表情を浮かべながらそう言って、パタパタと走り去っていった。

俺の家では、母さんと舞彩が辛いのが苦手な為、カレーは甘口だ。

俺と父さんは中辛派だ。


靴を脱いで、リビングに行くと舞彩がソファーに座ってテレビを見ていた。

ゲームはやめていたんだな。まだ、しているのかと思っていたのだが。


「お帰り、お兄ちゃん」

「ただいま」


ソファーに座っている舞彩に西條に貰った人形とキーホルダーを渡す。

舞彩は不思議そうな顔をしながら、「どうしたの?これ」と聞いてきた為、母さんと同じような説明を麻彩にする。


舞彩はビックリしたような顔をしたあと、心配したような表情をしながら、大丈夫なの?と聞いて来る。

母さんと同じようなこと聞いて来るなと思いながら俺は苦笑して、「あぁ、大丈夫だ」と答えた。


「それなら良いけど…、あと、人形とキーホルダーありがとうね。大切にするよ」


それから少し舞彩と雑談をしていると、母さんが料理が出来たと声をかけてきて、俺と舞彩は雑談をやめてそれぞれの席に座る。

俺の隣に母さんが座り、その対面に舞彩が座る。

ついでに言うと、舞彩の隣が姉さんだったが、姉さんが独り暮らしで出ていった為、父さんが代わりに座るようになった。




カレーを食べ終えて、お茶を飲みながらゆっくりしていると、舞彩が話しかけてきた。

「そう言えば、お兄ちゃんって今スキルレベルってどれくらいなの?」


そう聞いてきた後、お茶を口に含む舞彩。


「確か…【体術】lv.28【錬氣】lv.35【瞑想】lv.11【並列思考】lv.17【気配察知】lv.24【隠密】lv.17【身軽】lv.32【調合】lv.5【鑑定】lv.19【採取】lv.18…だったと思う」


そう教えると、舞彩は口に含んでいたお茶を吹き出した。俺にはかからなかったが、洗い物を済ませて俺の隣に座ってデザートのチョコレートケーキを食べながらくつろいでいた母さんの顔に全部かかった。

そんなに驚くことか?


「ごほっ…、な、何でそんなにレベルが高いの!?」

「何でって…『愚者の住まう森』で素材集めをしていたらレベルが上がっていた?」


「だからって…あ」


途中まで何か言おうとしていた。舞彩だったが、固まってしまった。

何となく原因は分かる。そう思いながら横を向くと、涙目になりながら舞彩を見ている母さんがいた。


取り敢えず顔を拭いてもらうために、俺はタオルを母さんに渡す。

「ありがとう」とお礼を言ってタオルを受け取って、顔を拭いた母さんは舞彩に「そこに座って」と床を指差す。

舞彩は素直に言われた通り座る。そして、母さんの説教が始まる。


「舞彩がお茶を吹いたせいでケーキが駄目になった」


怒るとこそこなのか?

そう思ったが、口に出さない。巻き込まれそうだから。俺は説教されている舞彩を見ながらそっと出ていこうとすると、舞彩に「助けて」とアイコンタクトをされるが、俺はエールを送るだけにした。


部屋に戻った俺は勉強を少しして、それから風呂に入ろうと思い、下に降りるとまだ舞彩は怒られていた。

俺は少し考えてから、もう舞彩も少しは反省しただろうと思い、助け船を出すことにした。


「まぁ、舞彩も悪気があった訳じゃないのだし、反省もしただろうからそろそろ許してあげたら?」

「…そうね。分かった」


母さんは、少し考える素振りを見せてからそう言って、キッチンへと歩いていった。

それから舞彩は少し疲れたような顔をしながら、立ち上がり俺にお礼を言ってくる。


「さすがお兄様。ありがとうございます」


だからその呼び方はやめろって言っただろ。


「少しは反省したか?」

「はい、勿論です」


元気よくそう答える舞彩。あまりそうは見えないが別にいいか。そう思いながら俺は風呂に入るために歩き出すが、舞彩に腕を掴まれた。

何か用でもあるのか?俺は風呂に入りたいのだが。


「まだ話しは終わってないよ?お兄ちゃん」


…別の日にしてくれないか?

そう舞彩に言うがニッコリと笑顔を浮かべながら、


「駄目」

「はぁ、分かったよ」


結局その後、一時間ほど舞彩に質問攻めされ、風呂に入れるようになったのが10時を過ぎてからだった。

風呂に入ってから、舞彩に助け船出せば良かった。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




風呂から上がり、お茶を飲んでから少し勉強をして寝た俺は次の日、朝の5時に起きる。

目を覚ました俺は、動きやすい服に着替えてから外に出る。


速度に緩急を付けながらランニングをして、10キロくらい走り、森を抜けた先にある一本木がある開けた場所まで来た。

一本木の根元の近くまで歩いた俺はそこで座り込み、目を閉じて瞑想を始める。


30分くらい瞑想をして、目を開けた俺は、片手で逆立ちをして100回ほど腕立て伏せをしてそれから人差し指の指先の一点に氣を集中させて、人差し指だけで逆立ちの状態を保つ。

これは、集中力と氣の繊細なコントロールが必要で、いい修行になる。


その後、一通り筋トレをしてからじいちゃんに教えてもらった武術の型を一通りこなして、それからじいちゃんをイメージしてそのじいちゃんと模擬戦をする。

これをほぼ毎日しているが、いまだにイメージのじいちゃんにさえ勝てないってどうなんだろう。


イメージでの模擬戦を終えてから、少し瞑想をしてそれからまた走って家に帰る。



家に着いた俺は、かいた汗を流すためにシャワーを浴びてさっぱりして出てくる頃には母さんも起きて朝食の準備を始めている。

そして、今は7時10分だ。


今日は月曜日のため、二階に上がり学校の制服に着替えて下に降りると、母さんが朝食を机の上に並べているところだった。


「舞彩は?」


そう聞いて来る母さんに俺は、「起こしてくる」と言って舞彩の部屋に向かう。

部屋のドアをノックして舞彩に声をかける。


「舞彩、まだ寝ているのか?」


反応がない。

その後も何度か声をかけるが反応が無いため、仕方なく部屋の中に入る。

部屋に入った俺はまっすぐにベッドで服が少しめくれてしまいヘソを出してヨダレを少し垂らしながら寝ている舞彩の肩を揺すって起こす。


「ん…んぁ、あーお兄ちゃん、おはよう」


やっと起きた舞彩はそう言いながら眠そうに目をこする。また遅くまでゲームでもしていたのだろう。


「あぁ、おはよう。朝食が出来ているから制服に着替えてから降りてこいよ」

「あーい」


そう言って、俺の目の前で服を脱ごうとする舞彩。

いや、俺がまだいるのだから着替えをしようとするなよ。そう思ったが口には出さずに、さっさと部屋から出ることにした。


下に降りて、母さんと一緒に朝食を食べてそろそろ家を出ないといけない時間になっても舞彩が降りてこない。

少し嫌な予感がして、俺は舞彩の部屋に向かい、ノックをしてから中に入ると制服に着替えた舞彩が座ったまま寝ていた。

時間も無いため、俺は舞彩を抱き上げてそのまま洗面所に向かい、片手で舞彩の顔を洗う。


「冷たっ!」

「ちゃんと目が覚めたか?」

「うぅー、ひどいよお兄ちゃん」


そう言って、タオルで顔を拭く舞彩。


「次はちゃんと起きろよ、それともう時間がないから早く家を出るぞ」

「はーい」


母さんに見送られて、家を出たのが8時過ぎ。ギリギリ間に合うかどうかと言ったところか、舞彩が。

俺はまだ時間に余裕があるため大丈夫だ。




学校に着いて、時間が過ぎて放課後。部活も入っていない俺は帰り支度をして家に帰ることにする。

と、そこで享が話しかけてきた。


「冬冴、この後『NEW LIFE ONLINE』にログインするのか?」

「すぐにというわけじゃないが、やりたいこともあるしそのつもりだ」

「あー、そうか」

「どうかしたのか?」


何か用事でもあったのだろうか?


「いや、何も無かったのならまた一緒にパーティー組まないか、と誘おうと思っていたんだ」

「そうか、すまないな。また別の日でもいいか?」

「それでも構わないよ」



それから俺は、享と雑談しながら帰ろうとしていると、校門の前で舞彩と同じ中学校の制服を来た女子生徒が立っていた。

誰かの妹だろうか?そう思っていると、享が驚いたような声をあげた。


沙希(さき)?」

「あ、兄さん」


享に声をかけられて、享に気付いた沙希と呼ばれた女性は走りよってきた。

へぇー、舞彩と同じ中学校に享の妹がいたんだ。


「どうしたんだ?」

「ちょっとね…家の鍵を持って出るのを忘れて、家に入れなくて」


そう言って、落ち込んだ表情を浮かべる。


「はは、また忘れたのか」

「またって、まだ3回目だよ」


そう言って、不満そうな顔をする享の妹。


「あぁ、そうだ沙希。こいつが舞彩ちゃんの兄の冬冴だ」

「あなたが舞彩ちゃんのお兄さんなんですか。私は舞彩の友達で灯神沙希っていいます。よろしくお願いします」


そう言って、お辞儀をする享の妹、沙希。


「笹崎冬冴だ、よろしく。灯神妹」

「むぅ、何ですか灯神妹って。私には沙希という名前がちゃんとあるんです」

「冗談だ。これからも妹をよろしく、沙希」

「はい、任せてください」



自己紹介も終えて、俺たち3人は談笑しながら家に帰る。


「それじゃあ、俺の家はこっちだから」

「おう、またな」

「また今度遊びに行きますね。冬冴さん」


享たちと別れて、少し歩いたら家に着いた。

家に帰って来た俺は鍵を開けて中に入り、自室に入り制服から部屋着に着替える。

着替え終わったら勉強をする。



「ただいまー」


下で玄関が開く音と舞彩のそんな声が聞こえてきた。

そこでふと、時計を見てみると午後6時をまわっていた。一時間位勉強をしていた。


勉強をやめて下に降りると舞彩はソファーで制服のままで寝転がっていた。

舞彩は中学では部活に入っていて、確かダンス部だったような気がする。


「舞彩、晩飯の前にシャワーでも浴びてきたらどうだ?」

「あー、お兄ちゃん。そーするー」


そう言って、舞彩は立ち上がり、浴室へと向かっていった。

俺は母さんの手伝いでもするかな。そう思い、キッチンに歩いていく。

何か手伝うことがあればいいが。






ついでにおまけとしてボツネタを…冬冴が作中で舞彩に渡した人形は『SAO(サオ)』アニメのマスコットキャラウミネコ竜のピイナです。


あと、今回の新キャラの沙希の容姿は別の機会にします。


そして、次の更新は五月の5、6、7日の3日間連続の予定です。


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