16話
すいません、投稿があいてしまいました。
次もあくかもしれませんがなるべく早く投稿するつもりです。
「破門?」
そう聞き返すと、ロドリゲスは頷いて、
「あぁ、あいつらが騎士道にあるまじき行為ばかりしていて、住民たちからよく苦情が来ていたんだ」
そう言うロドリゲスに俺は驚いていた。
ロドリゲス…公衆の面前で裸体を晒すお前が騎士道なんて全うな言葉よく言えたな。
それは騎士道に反していないのか?
そう思ったが口には出さなかった。
「それでユリウス、頼みがある」
そう言って、真剣な表情を浮かべるロドリゲス。俺は何を頼まれるのか分かっているが、聞く。
「レイア様を守ってくれないか」
案の定、予想していたものだった。それに、返事はもう決まっている。
「ああ、分かった」
「本当か!」
嬉しそうにしているロドリゲスに俺は頷く。
ぶつかってこかしてしまったし、関わってしまったからな。放っておくことは出来ない。
それに…こいつからの頼みだからな。
俺はチャロットから絵を返してもらって店を出ることにした。早くから捜索を始めた方が良いだろうから。
出ていこうとする俺にチャロットが、
「妹を…レイアをお願いします」
「任せておけ」
俺はそう言って店から出ていった。チャロットは俺が見えなくなるまで、頭を下げていた。
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レイアとぶつかってしまった場所に戻ってきた俺はさっそくもらった絵を見せながら聞き込みを開始する。
有益な情報を得れればいいのだが。
聞き込みを開始して30分くらいたつが、いまだに有益な情報は得れていない。
困ったな。どっちに行ったか、それだけでも分かればいいのだが…
「ユリウスさん?」
俺の名前を呼ぶ声がして、そちらの方を見ると、少し前に別れた筈のルナとフリーデがいた。
ルナとフリーデはアイスを食べながら不思議そうな顔をしていた。
「ああ、ルナとフリーデか」
「ユリウスさん、何をしているんですか?」
「いや、ちょっと人探しをな」
そう言いながら、俺はルナとフリーデに絵を見せる。
すると、二人は驚いたような顔をした。
「さっきそこで会いましたよ」
「本当か!」
「はい。と言ってもすれ違っただけですが」
充分だ。それでどっちに行ったか聞くと、ルナが「愚者の住む森の方に走って行きました」と言った。
愚者の住む森か。よし行くか。
そう意気込み、走り出そうとすると、ルナが慌てて声を掛けてきた。
「それでユリウスさん、それってクエスト何ですか?」
「それは分からない。でも、クエストだろう」
俺がそう言うと、少し訝しそうにルナはしていたが、それから少しして、「私たちもそのクエスト一緒に受けても良いですか?」と、聞いてきた。
どうしようか。俺は時間がないが少し考える。人数が多いに越したことはないが…でも、これは俺個人に向けられたようなものだしな。それに、もしレイアの正体がプレイヤーたちに知られてしまったらチャロットたちに迷惑がかかってしまうかも知れないし、ルナたちには悪いが断らさせてもらおう。
何とか理由をつけて俺が断ると、ルナたちは「そうですか…」と呟いて落ち込んでいたが、俺は少しフォローをしてから先を急ぐことにする。
何とか気を取り直したルナたちを見てから俺は愚者の住む森に走っていく。
愚者の住む森に入った俺はすぐに氣を込めながら【気配察知】を気配を消しながらする。
範囲は半径200メートルくらいだ。
あれからそんなに時間が経っていないからそんなに遠くには行っていない筈だ。
【気配察知】をしても、さっきからモンスターの気配が引っ掛かるばかりだ。人の気配はまだない。
ここら辺りには居ないな…もう少し奥に進もう。急がないと、レイアが危ないかも知れない。
戦闘を極力避けるために俺は【隠密】で気配を消しながら細心の注意を払って奥に進んでいく。
時々戦闘になりそうになったが、隠れることでやり過ごし、いつの間にか俺はボス部屋の扉があるところまで来ていた。
そこでやっと、人の反応があった…ボス部屋の中から。
マジかよ。
俺はレイアではなくプレイヤーだろう、そう思いながらもそっとボス部屋の扉を開けてから、中を確認した。
すると、レイアが居た。それに、強面のおっさんたちも居た。
するとそこに、
ピコン
そんな電子音が響いた。
俺は素早くメニューを開いて、メールのようなものをタッチすると
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緊急クエスト
〈迫りくる脅威からレイア共に逃げ切れ!〉
迫りくる脅威からレイアを守りながら、ユウフスベルまで逃げろ。
成功条件 レイアと共にユウフスベルに到達
失敗条件 レイアの死亡
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あんまりな条件に俺はしばしば手で顔を覆って嘆きそうになるが、嘆いていても仕方ないと思い、意を決して扉を開けてから強面のおっさんたちを蹴り飛ばして、レイアの近くに立った。
いきなりの俺の登場に、おっさんとレイアはビックリして、固まってしまった。
取り敢えず、俺はレイアを正気に戻すことにした。
「大丈夫か?助けに来た」
「ふぇ、ぁ」
俺が声を掛けると、ビクッと肩を震わせて目に涙を溜めるレイア。
そんなレイアに俺は柄じゃ無いんだがな、と思いながらも俺はレイアを落ち着かせるために頭を撫でた。
「…ぁ」
「大丈夫だ。俺は味方だ、怖がらなくてもいい」
レイアが落ち着くように慣れない手付きで頭を撫でる。すると、少しずつだがレイアの体から強張りが無くなってきた。
何とか落ち着いたな、良かった。
そうしていると、おっさんたちが我に帰った。そのまま帰ってこなければ良かったのに。
「貴様は、さっきの街の…」
「よう、おっさん。こんな幼い少女を寄ってたかって追いかけて…趣味か?」
「ちげぇよ」
挑発するように言うと、おっさんたちは額に青筋を浮かべながらそう言った。
「少年…今すぐレイアを渡せ。そうすれば命までは取らん」
「悪いな。それは無理だ」
「そうか…だったら死ね」
そう言って、俺たちに襲いかかってくるおっさんたち。
俺は守りながら戦うのは苦手なんだがな。そう思いながらもレイアを守るような位置に立ち、構える。が、
「GYUAAAAAA!」
そんな叫び声を上げながら、俺とおっさんたちの間に降り立つ鋭利な爪を持ち、長い尻尾が特徴の竜のモンスターだった。
そういえば、ここはボス部屋の中だったな。クエスト中だから出ないのかと思ったが…出るのかよ。
怯えて後ずさるレイアを気にしながらモンスターとおっさんを睨み付け、俺はどうやってユウフスベルまで逃げるか考える。
…まぁ、考えていてと仕方ないな。よし、やるか。