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NEW LIFE ONLINE   作者: てんく
13/36

13話

『NEW LIFE ONLINE』にログインした俺はユウフスベルの噴水の前に立っていた。

もう馴れたもので俺はそのまま西門から愚者の住む森に向かった。


だが、その途中で見知った顔をした人物を見つけた。


魔女の格好をした杖でなく竹ホウキを持った少女…確か彼女はアルトとパーティを組んでいた、フリーデじゃなかったっけ?

誰かを探すようにキョロキョロとしているけど、何をしているのだろうか?


アルトとパーティを組んでいたこともあり、少し気になった俺はフリーデに近付いて声をかけた。


「フリーデ?」

「ひゃいっ!」


俺がフリーデに声をかけるとフリーデはそんな変な声をあげながらビクッと肩を震わせて振り向きながら距離をとった。


「あ、ユリウス…さん」


俺の存在に気付いたフリーデは少しだけホッとしたような顔をした。

「ビックリさせて悪いな」そうフリーデに謝ると、


「い、いえ気にしないでください」


そう言って、俯いてしまった。



気まずい雰囲気が流れるなか、俺は気を取り直して何をしているのか聞いてみた。


「いえ、ちょっとルナさんと会う約束をしていまして」


ルナって確か僧侶のような格好をしたクールビューティの人だったよな?

女子会みたいなことでもするのか?


何か困っているのかと思ったが、待ち合わせをしているだけなら大丈夫そうだな。

そう思った俺はフリーデと別れることにした。が、


「あ、あのユリウス。ルナさんが来るまで一緒に待ってもらえませんか」


そうフリーデが聞いてきた。

俺は少し考える。これから俺は愚者の住む森で採集をするつもりだったのだが…それにフリーデって俺の事怖がっているんじゃなかったのか?


ふと、初めて会った時のことを思い出してフリーデに聞いてみると、


「い、いえ…その、怖がってはいないんです。ただちょっと緊張していただけで」


最後の方は声が小さくなってしまっていたが、別に怖がられていないと知って、それなら良かったと安心した。

と、そんなことよりどうしようか。別にそんなに時間がかからないのなら良いが、かかるなら悪いが断らさせてもらおう。

俺も俺でやりたいことがあるからな。


そう思い、フリーデにルナがあとどれくらいで来るのか聞いてみた。


「すみません、ちょっと分からないです」


しゅんと落ち込んだような表情を浮かべるフリーデを見ながらどうしようかと俺は考える。

…まぁ、良いか。一緒に待つとしよう。


「良いぞ」

「本当ですか!?」


そう言って、パァと笑顔になるフリーデ。

そのあとフリーデが「有難うございます。ユリウスさん」とお礼を言ってきて、俺は「気にするな」と言った。


「ここで立っているのも疲れるから何処か休める所を探してルナさんを待ちませんか?」とフリーデが提案をしてきて、それもそうだな。と思った俺は了承をして、フリーデのオススメの店に向かった。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「女性の客が多いな」

「ここはデザートが美味しくて種類が多いことで人気の店ですからね。必然的に女性の客が多いんですよ」


噴水のある広場から少し歩いた所にあるちょっとお洒落な喫茶店に入った俺とフリーデは店内を見回してそんな会話をした。

それと、店の名前は『小鳥の憩い』だ。

それから店員に席まで案内された俺たちは椅子に座ってからメニューを開いた。


確かにフリーデの言う通り、デザートの種類が多い。メニューの七割がデザートで埋め尽くされている。

…いや多すぎないか?


だがフリーデは気にした様子もなく、「何にしようかな?」と言いながらメニューを見ていた。

俺も気にしないようにした。


それにしても、こんなに種類が多いと迷うな。

俺は一通り見ていったが、取り敢えず飲み物だけで良いかと思い、俺はコーヒーを頼むことにした。


俺は決まったがまだ、フリーデは悩んでいるようで俺は待つことにした。


それから少しして決まったようで、「すみませんやっと決まりました」と申し訳なさそうにフリーデが言ってくるが俺は「気にしてないから注文をしよう」と言った。


「それもそうですね」


フリーデはそう言って、机の端にある呼び鈴を鳴らした。

すると、店員がすぐに来て注文を聞いてきた。


「俺は、コーヒーでお願いします。フリーデは?」

「私はチョコレートケーキパフェとアイスコーヒーでお願いします」


いや、どんなパフェだよ。聞いたことないわ。


そう俺は心の中で突っ込みを入れるが、店員は「畏まりました少々お待ちくださいませ」と言って戻っていった。


チョコレートケーキパフェの正体が少し気になりながらも、来れば分かるかと思い、注文した物が来るまで俺はフリーデと談笑をすることにした。



そうしていると、店員が注文した物を持ってきてくれたが、おかしな物が混ざっている。

ひとつは俺が注文したコーヒー、これは普通だから良い。次にフリーデが注文したチョコレートケーキパフェ、これはアイスの変わりに小さく四角形に切り分けたチョコレートケーキをパフェの上に乗っけている奴だった。


まぁ、これも名前からしてそうだろうなとは思ったのでいいとして、コーヒーの中にバニラアイスが入っているこれって何?

コーヒーフロートなんて誰も頼んでいないぞ?間違えたのか?


そう、訝しそうにしていると、


「はい、チョコレートケーキパフェとアイスコーヒーです」


と、言ってチョコレートケーキパフェとコーヒーの中にバニラアイスが入った物をフリーデの前に置いた。


…アイスって、デザートのアイス!?冷たいとかのアイスじゃないのかよ!

予想外の物に驚いて固まってしまった。


「ユリウスさん?」


俺が驚いていると、フリーデが口をチョコレートで少し汚したまま不思議そうな顔をして俺の名前を呼んできた。

俺は驚きを表情に出さずに、「何でもない。それより口が汚れているぞ」とフリーデに教えるとキョトンとした顔をしたままちょっとだけ手で口を拭いて、それから顔を真っ赤にして机の端にある紙で口を拭いた。


それから俺は、コーヒーを飲みながらフリーデと話してルナが来るのを喫茶店で待った。



それから30分くらい待っていると、僧侶の格好をしたルナが店の中に息を切らしながら駆け込んできた。

フリーデがルナを呼ぶと、ルナはフリーデに気が付き笑顔になって寄ってきてが、俺の存在に気が付いて驚いたような顔をした。


「ユ、ユリウスさん?どうしてここに?」

「昨日ぶりだな」

「私がわがまま言って一緒にルナが来るまで待ってもらっていたの」


驚く、ルナに俺が挨拶してフリーデは説明をした。

さて、ルナが来たことだし行くとするか。そう思い立ち上がると、フリーデがちょっと不安そうな顔をして、


「もう帰っちゃうんですか?」


と、聞いてきた。


「あぁ、ルナも来たしな。俺がこのまま居ても悪いだろ」

「何か、用事でもあるんですか?」


フリーデは落ち込んだような顔をして俯いて、それを見ていたルナがそう聞いてきた。


「調合するための素材集めをしに行くんだ」


別に隠す必要もないから教えると、ルナは少し考えるような素振りを見せてから、


「じゃあ、私たちも一緒に行って良いですか?」


そう言ってきた。




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