10話
半年以上も更新を停止してしまい、申し訳ございませんでした。
更新を再開しましたので、これからも『NEW LIFE ONLINE』をよろしくお願いします。
「それで…」
これからどうしようか考えていると、チャロットが少し言いにくそうにしながら俺に話しかけてきた。
「何ですか?」
「私達この後もここで採集するつもりなんですが、ご一緒にどうですか?」
俺は少しだけ考える。
クエストは一応達成していることになっているが、それでも一応心配だ。
護衛のついでに俺もハイポーションを作らないといけないし、チャロットと一緒に採集してもいいかもしれない。
「いいですよ」
「本当ですか!」
俺が了承すると、チャロットは嬉しそうに微笑んだ。
その後、俺はチャロットと談笑(ほとんどがロドリゲスとの惚け話だが)しながら色んな素材を採集した。
だいたい一時間くらいたった頃にチャロットが満足したのか、一緒に帰ることになった。
町に向かって歩いていると、護衛の一人が俺に話しかけてきた。
「さっきはありがとうな。少年」
「いや、気にしないでくれ。さっきも言ったがロドリゲスに頼まれていたからな。それで、あんたは?」
「あぁ、そういえば自己紹介がまだだったな。俺はジャガロだ。よろしくな」
「よろしく。俺はユリウスだ」
お互いに自己紹介を終えて、話はさっきの戦いの話になった。
「それにしてもユリウスは強いんだな」
「いや、そんなことはないぞ。たぶんだが、俺より強い相手なんて普通に居るだろうし」
そう言うとジャガロは苦笑いを浮かべた。
何故だ?
「謙遜するなって。俺が出会った中ではダントツで強いぞ」
「謙遜じゃ無いんだがな」
現に、齢80を越える俺のじいちゃんにいまだに一撃も入れる事が出来ないんだぞ?
いや、そもそも比べる人がおかしいか。だって人間じゃないしな。じいちゃんは。
と、ジャガロと話しているといつの間にか町の近くまで来ていた。結構話し込んでいたな。
町に戻ってきた俺たちはそのままロドリゲスが居る店に戻った。
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店に戻ってきた俺とチャロットは扉を開けて中に入ることにした。護衛とはこの途中で別れた。
それで、何故か俺が先に中に入ることになって扉を開けると…
「ふんっ!ふんっ!」
変人が上半身裸で鏡の前でポージングをしていた。
取り敢えず、チャロットに悪いが衛兵を呼ばせてもらおうか。
そんなことを考えていると、ロドリゲスと鏡越しに目が合い、即座に振り替えって俺の方に突っ込んできた。
汗を散らしながら走ってくるロドリゲスを見て抱きついてきたら全力の氣を込めて殴ってやる。そう思いながら構えるが、俺の横を通り過ぎた。
安心したつかのま、後ろに誰が居たのか思い出し、俺は慌てて振り返る。
すると、
「うふふ、あなたったら」
そう言いながら、チャロットはロドリゲスからの熱い抱擁を紙一重でかわし続けていた。
後で理由を聞いてみると、流石に公衆の面前で夫でもま裸の男性に抱き付かれるのは嫌とのこと。
公衆の面前じゃなければいいのか?と、そんな野暮なことを俺は聞いたときに思ったりした。
「なるほど、手汗を握るような戦いだったのだな」
「言いたいことは分かるがその言い回しはやめろ」
さっきの森での出来事をロドリゲスに教えると、そんなことを言いながら頷いていた。
それからロドリゲスは真剣な表情を浮かべて、
「それと、ユリウス。俺の嫁とその護衛を救ってくれてありがとうな」
そうお礼を言いながら笑顔を浮かべてきた。
俺は背中がむず痒しくなったが表情には出さずに「気にするな」と言った。
だが、ロドリゲスは何かに気付いたのかニヤニヤとし、チャロットは「あらあら」と言いながら微笑んでいた。
そんなロドリゲスが少し気に食わないがこのままニヤニヤされるのも癪なので話題を変えることにした。
「今思ったのだが、何でチャロットに騎士の護衛がついていたんだ?」
そう俺が聞くと、ロドリゲスは言うか言わまいか迷っていて、チャロットに目配せをして、チャロットは頷いた。
珍しくてちょっと気になっただけだから言いたくないなら言わなくても言い、そうロドリゲスたちに言うと、
「まぁ、そこまで隠しとかないといけないことじゃないから言うぞ」
それからロドリゲスは一回言葉を言ってから、とんでもないことを言ってきた。
「チャロットはこの国の元王女なんだ」
「は?」
一瞬何を言われたのか、理解出来なかった。
俺は疲れているのかなと思い、目を手で揉んでからロドリゲスに聞き直した。
「すまない、ロドリゲス。良く聞こえなかったからもう一度いってくれないか?」
「チャロットはこの国の元王女なんだ」
「嘘だろ?」
ロドリゲスは首を横に振り、俺がチャロットに目を向けるとチャロットも頷いた。
「ちなみに言うと、俺は元総隊長だ」
ちょっと待とうか。
というかまず、それって俺とかに教えて良いことなの?ちょっと頭がついてこないんだが。
「なぁ、それって俺に教えても良いことなのか?」
「大丈夫だろ」
いや、そんな軽く言われても困るんだが。
「だって、この国の住民なら皆知っているから」
「それを先に言えよ!」
何か言いにくそうにしているからさ、勘違いもするよな。それと、ロドリゲスお前が悪いんだら俺の反応見て笑うなよ。
笑うロドリゲスに少しイラッときたが取り敢えず何で言いにくそうにしていたのか、理由は何となく分かるが一応聞いてみた。
「まぁ、あれだ。やっぱりよその国の奴がこのことを知ると不埒なことを考える馬鹿が居るんだよ」
大方俺の予想通りだな。
「それと、からかう為だな」
…よし殴ろう。
俺はそう思い、ロドリゲスに殴り掛かった。
俺とロドリゲスはギャーギャーと騒ぎ、チャロットはそんな俺たちを見ながらクスクス笑い、キッチンに行ってお茶の準備を始めた。
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「っつ!」
俺に殴られ、顔を腫らしたロドリゲスはチャロットに塗り薬を塗ってもらい、しみるのか時々痛そうに顔を歪ませる。
俺はそれを見て居心地が悪い気持ちになりながらチャロットが用意してくれたお茶を啜った。
「悪い。やり過ぎた」
「気にするな。俺もちょっとからかい過ぎた」
いや、それでもな。
はぁ、俺もまだまだ未熟だな。
そう反省しながらもお茶を飲むのは止めない。美味しいから。
「ハッハッハ。さすがチャロットの薬、一瞬にして治った」
「…最初からそうしろよ」
俺が反省したのを見てからか知らないが、ロドリゲスはチャロットが調合したポーションを飲んで、腫れを一瞬にして治した。
それからロドリゲスたちと少し談笑をしてから店から出た。
ちなみにだが、あのクエストの報酬はこの国の王城への招待状だった。
…どう扱えばいいのか困るのだが。
まぁ、これはいったん置いといて俺は調合をするために工房へと歩き始めた。
次回の更新は明日、または今日の夜にする予定です。




