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第8話 ある日の日常

休日に投稿できない用事が入るとは不覚すぎた……



 朝日の眩しさで私は目を覚ました。

 ベッドの上で身を起こして机の上に置かれている時計を見る。


「雪姉が起こしに来る時間より30分早く起きちゃった」


 しかし起きてしまったから仕方ない。二度寝するような気分でもないので私はベッドから降りて着替えを済ませる。

 いつもの白いブラウスに黒のロングスカートの格好になり、赤と黒のチェック柄の上着を羽織って着替え終了!


 月日は元の世界と同じく1年12ヶ月の365日だった。そして今は11月であり、私の住んでいる場所には日本と同じく四季があった。

 つまり今は冬という事で肌寒い季節……上着は必須です、寒いんだもん。


 着替えを済ませてから机に座りのんびりと鏡を見ながら髪を自分で整えているとドアがノックされた。


「起きてるよ雪姉~」


 時間的に雪姉だろうと思いノック主に返事を返す。

 ドアを開けて入ってきた人は思った通りの人物だった。


「おはようございます華憐様。……もう髪まで整えているのですね」


 普段と変わりない表情だけどなんだろう、どことなく残念そうに見える。

 だけどソレを指摘するのは私の直感が嫌な予感を告げているので止めておこう。


「今日はお父様もお兄様もお休みって聞いたのだけど」


 何気なく当たり障りのない話題を雪姉に振って見た。

 するといつもの雰囲気に戻った雪姉が答えてくれる。


「はい、今日はお二人共お休みでいらっしゃいます」

「それじゃあ私もお爺様のところに行くのは――」

「いいえ、華憐様は今日も久我様のところに行きますよ」


 うぅ……何気なく休みたいなーと言いたかったのに言う前にダメです宣言をされてしまった。

 しょんぼりした雰囲気を出しても雪姉は動じない。

 そんな雰囲気見えませんよ~と言った感じで扉を開けて早く行きましょうといった感じである。


 これ以上は無駄だなと私は思い、自室から出て食堂へと向かう。

 ちなみにこの時走った事があるんだけど、注意されました。


 私が急ぐような時間に起こしに来ていませんから大丈夫ですよ。後屋敷内で走るのは清掃時間などの時はご遠慮下さい。


 といった感じで言われたことを思いだしながら目的地へ向かって私は進む。

 もう屋敷内は歩き慣れたもので食堂へ迷うことなく辿り付き、いつもの光景である家族三人から挨拶をされて、私も挨拶を返し朝食を取り終える。


「今日も華憐は久我家へ行っちゃうんだね……お父さんもついていって――」

「貴方は私と一緒にお出かけでしょう?華憐と一緒に居たい気持ちは判りますけど……」

「美月……ありがとう。今日は楽しい外出にしようか!」


 こんな感じの夫婦会話がありました。見ててこう……うん、私は何も言わない事にしよう。

 内容は違えど夫婦仲円満な会話が毎朝必ず朝食中に聞けます。

 なので今更何か言っても思っても仕方ないという境地になりました。

 お兄様もどこ吹く風といった感じで朝食を食べていますし……


 朝食をとり終えると私はお爺様の待つ久我家へと向かい、刀術の稽古をします。

 いい感じに形になってきたそうで、さすがに毎日通っているのもあって上達も速いと今日は褒められました。

 お爺様が褒めてくれるのは大変珍しいので何かあるのかと嬉しくなった判明警戒したけど今日は特に何事もなくいつもの厳しい稽古で終了となり家へ帰宅。


 昼食はお爺様とお婆様と一緒に食べてから帰ってくるので大体おやつ時の時間ぐらいに到着します。

 玄関を過ぎてリビングに入るとお兄様が読書をしていました。


「お兄様、今帰りました」

「おかえり華憐。今日も厳しい稽古だったかい?」

「厳しかったですけど、お爺様が褒めてくれました!」


 お兄様に今日の稽古で褒められた事や厳しいけど頑張ったことなどを話してる間笑顔でお兄様は聞いてくれたり、相槌をうってくれました。

 自分の事ばかり話すのもお兄様に迷惑かなと思ったので私は面白いお話などは無いか聞いてみる。

 そうするとお兄様も「そうだね」と答えてると少し考えて、今お兄様が通ってる学園のことを話してくれたのです。


 とても大きな学園らしく、私も来年からそこに通う事が決まっているんだって。

 ここで前に通っていた学校をふと思い出し、楽しかった思い出が物凄い少ないことに内心苦笑してしまう。

 学園にはいろんな人が集まってくると言うと、お兄様は


「きっと楽しい学園生活になるよ」


 そう言ったので私は笑顔で頷いておく。

 その後も少しお話をした後お兄様が自室に戻られるという事でリビングから出て行かれた。

 私は今までだんまりと後ろで控えていた人物の方へソファから降りて向き直る。


「雪姉はどうしてずっと黙ってたの?」

「楽しそうにお話されていたのを眺めて癒されていました」

「は?」


 雪姉の発言に私はつい変な声をあげてしまう。

 

「いえ、なんでもありません。お兄様と仲が良いようで何よりです」

「え、あ、うんそれはもちろん」

「夕飯の時間まで間がありますがこれからどうされますか?」


 次はどうしますか?と聞かれて私はどうするかとつい考えて始めてしまう。

 部屋に戻って本を読んでも良いけど……そうだ!


「雪姉も何か面白い話とかって知らない?」

「私が知ってる面白い話、ですか……」


 雪姉がふむ、といった感じで考え始める、ふっふっふ~ずっと聞いてるばっかりな雪姉にも何か面白いことを話してもらおう的な感じの思いつきだったけどこれなら期待できる何かが聞けそう。


「そうですね、ではある山で遭難した人の話でも」

「……はい?」


 あれ?面白い話って言ったのになんで遭難した人の話をし始めるの?


「これは他の使用人から聞いた話なのですが――」

「ちょ、ちょっと待ってそれの何処が面白い話なの!?」


 私は何をどう考えても面白い話になりえない展開につい慌てた声をあげてしまう。


「夜ちょうどいい穴を見つけて一夜を凌ごうとしました所……」

「やめ……!やめてー!どう考えても嫌な予感しかしないからやめてよー!」


 このままでは面白いでは無く怖い話になるのが確実になってしまったので必死になって私は止める。

 それでも雪姉は止まる事なく話を続け、私は夕飯の時間まで雪姉の面白いと思ったらしい恐怖話を聴き続けることになりました。

今回は何気ない1日の話となっています。


雪姉が怖い話をし始めたのは天然なのか確信犯なのか、それは謎です。


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