表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

第5話 外の様子がおかしいようだ

またまた説明話となります。


今回は華憐の家族周りと華憐がいる異世界についてです。

 雪姉とちょっとしたハプニングを無事?終えた私は家族皆で朝食を取り終えると早速出発する事となった。

 そういえばお母様は七條院に嫁いできた形で旧姓は久我という、お母様の実家の名前は特に変わってなかったけど……あっちも久我家(くがけ)という名家になっていましたよええ。


 ここで改めてお父様やお母様の事、お兄様の事を考えてみる事にした。

 お父様は七條院友善(しちじょういんともよし)、私が病弱だった世界では七条智義(しちじょうともよし)という名前で漢字で現すとやはりちょっと違う。

 曽祖父が起業して大成功を収め、七條院グループなどと呼ばれる一大企業グループとなったらしい。七條院曽祖父は恐ろしい手腕を持っていたようです。


 お父様はそのグループの社長でありお兄様を跡取りとして育てるつもりなのですよ。名家一家の大黒柱だけあり外の目がある時は聡明な印象を与える振る舞いをしているんだけど。家内だけになると結構飄々としてるというかうん……。

 そして言った気もするけどもう一度言っちゃおう、私に対しては無茶苦茶甘い。こんな父親で大丈夫かと思うほどですよ。


 お父様の評価はここまでにして、と次はお母様。

 こっちの世界では七條院美月(しちじょういんみづき)、私が病弱だった世界では七条美月(しちじょうみづき)で、お母様はほぼ変わってないかな。

 料理が大変上手な所や家事全般手際が良い所など、見慣れたお母様だなーと思う。

 ただこうなんていうか……身の危険をなんとな~く感じるんだよね、怒らせたら怖いみたいな感覚。


 両親のことを考えているあいだに私は家の玄関の扉を潜って外に出ていたようだ。

 その景色を見て私は考えていたことなど一瞬にして彼方へと飛んでいってしまった。


 玄関を出た先は前庭などがあるがそれよりも先、塀を超えた先にある光景に私はぽかーんとしてしまったのです。

 まさに現代的ともいうべき家や建物などが建っているのが見える。

 え?何これすっごい現代的なのに魔術もあるってどういう事なの?


 内心パニックになった私は考えがうまくまとまらず困ってしまう。

 そんな状態でアウアウしていると私に追い討ちをかけるような事が目の前で起こった。

 耳に響くわけではないが判りやすい音を立てながらその乗り物は私の眼前にやってきた。車である。


 あまりの現代的な出来事に普通なら驚かないのだが魔術のある世界なのと前の世界で読んでいたファンタジー小説では中世時代の文明ばかりだった為に私はただただ目の前の出来事に驚くしかなった。


 運転席にお父様が座り、助手席にお母様が座る。

 よく見ると車の作りが長くなっており、後部座席に入ると向かい合ったソファに似た座席があった。

 こういう作りなのね……どうりで。


 私とお兄様、あと雪姉が何故か一緒に後部座席に座る。

「雪姉も一緒に来るの?」

「はい、ご主人様と奥方様も了承されてますよ」

「そうなんだ」


 私は皆納得してるならいいんだろうなと思っているとお兄様が優しい表情でこっちを見ていたのでなんだろうと思っていると。


「華憐もまた雪音さんの事をそう呼び始めたんだね。うん、そっちの方が僕も良いと思うよ」


 私はお兄様にそう言われて真っ赤になってつい下を向いてしまった。

 その様子を見て二人が微笑ましそうに笑っているのが聞こえてきたので恥ずかしさから逃げるようにお兄様の事を考え始めた。


 七條院優輝(しちじょういんゆうき)、前の世界では七条結城(しちじょうゆうき)と、お兄様もちょっと名前が違っていた。

 こっちにきて屋敷を散策し、疲れてリビングで休んでいたときにお兄様が学校から帰ってきてお喋りをしたのだけど、前の世界と変わらない印象だったかな。

 一言でいうと優しいお兄様といった感じで気兼ねなく色んな事を話せるお兄様だった。

 そうだ、ちょうどいいし色々と聞いてみよう。


「ねえ、お兄様。この車ってどうやって動いてるの?」

「うん?この魔導車がどうやって動いてるかだね、それは――」


 それからお兄様と雪姉の二人が私が気になって聞いたことを色々と教えてくれた。

 まずこの車は”魔導車”と呼ばれており、魔導機構(マナ・クラフト)と呼ばれる機械技術に魔術的要素を合わせた”魔導工学”と呼ばれる技術で作られた物で動いてるらしい。

 魔導車はお金持ちの証明みたいな乗り物らしく一般の人たちは公共機関で運用されている”魔導バス”と呼ばれるものや”魔導列車”などで移動するんだって。


 他にも気になったのは前の世界などであった電線などが一切無い事から電気などはどうなってるか聞いてみる。

 すると家で使ってる照明などは魔結晶(マナ・クリスタル)を加工して作られた道具らしい。

 定期的に魔力を補給すれば半永久的に使えるそうですよ、便利なもんです。

 どうやらこっちの科学文明は魔術文明とくっついて発展していったって思えばいいのかな。

 

「魔導工学が発展した理由は他にもあるんだけど……その辺りは華憐にはまだ早いね」

「そうなの?」


 そういってお兄様は私の頭を優しく撫でる。私はくすぐったい気持ちになったけど嬉しかったのでされるがまま撫でられていました。 

 

 お兄様の話が終わって移動中に外を眺めたりしていると景色の流れはそこまで早くなく、速さ的には馬車で移動しているような感じだった。

 なので人の流れなども見えるのだけど、嫌というほどファンタジー要素を見せ付けられる事になりました。

 猫耳が生えてる人が居たり耳がとんがっている人がいたり、いかにもなドワーフっぽい人が居たり強化魔術でも使ってるのかありえない速度で走っていった人など居たりでなんとも言えない気分です。


 建物もおそらくコンクリートなどを用いた現代的な作りなんだけど……明らかに武器らしきものを売ってる店などが目に入ったりしているうちに私は沸々と嫌な汗が出始めた。


「華憐様?何か顔色が悪いようですが」

「え!?あ、うん大丈夫だよ、酔ったわけじゃないから」

「でしたらいいですけど」


 雪姉やお兄様に心配そうな顔をされてしまった。気を付けないと。

 それにしてもあのとき私は『ちょっと』違う生活ができるって思っていて、身体が健康的になって望んでいた生活ができる!と思っていたよね。

 だけどほら、魔術っていうのがあってそれが自分も出来てしまって……それでも感じていた結論にはまだ早いと一抹の願いを抱いていたの。


 し か し !この外の様子を見て、一部しか見てないけど今居る世界を見て思いました!


 ――――この世界は『ちょっと』どころではない違う生活を私に強いるのではないかと!

家に篭っていたのはきっと無意識のうちにお外見るともうだめだーって思っていたのかもしれませんね。


病弱だった時の行動ルーチン的な影響ももちろんあるでしょうけど…


そしてこの世界は割と現代に近い文明レベルだったりする世界です。

まあでも今は世界云々についてはお兄様と同じくまだ早いと言おう(えっ


次話からついに主人公が今までと『ちょっと』違う生活を本格的に始めることになります。応援しよう!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ