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故郷へのたより
棒切れを自ら倒したのに
選んだ道で迷うようなことをして
「教えてくれなかった」
人のせいにしたくて堪らなく
「私は恵まれていない」
頬を拭うハンカチは母のものだ
開いた手紙を読まないうちに
「誰も愛してくれない」
なんて
喘いでも誰も駆け付けないだろう
全てが遠く
届かないものに思えても
忘れてはいけないのは
縋りつくすべがあること
段ボールの隅で腐っている蜜柑は
可愛げなんてなくて
青い胞子を撒き散らしながら
自分の実をぐずぐずに蕩かすだけだ