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夢のたびびと
うすい雲のうえで
だれがくるのも待てず
ただひたすらに歩きつづける
ひとりの夢のたびびとは
翼をもっていたけれど
太陽のもと
じぶんの影をつくりながら
すすむ自由がすきでした
とおく置いてきたはずの
だれかの足あとを
つまさきの先にみつけて
地上へおりれば
どんなところでも
おかえりの声がきこえ
ちっとも出番のない
せなかの翼はいよいよに
はばたくことを忘れます
ただいまを言うために
ぐるりと回ると
月がつくる影は
だんだんと地上にとけて
近づいてくるあかりに
助けられたとき
ひとりではない静かなよるを
たびびとは知りました
ぬけおちた翼をかかえ
それでも歩きつづける
雲のしたのたびびとは
はじめての友のとなりで
笑ったり泣いたりするうちに
いつか
おかえりが言いたいと
また夢をみるのです




