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【超短編小説集】料理はかわいいお皿に乗せて  作者: 夏の月 すいか


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10/12

アナグリフ

 ここは××国△△市。

 男は真剣な顔で時限爆弾と対峙していた。

 彼は爆弾処理のエキスパートだった。

 爆弾処理の仕事に就いて四十数年。

 数々の爆弾を解除し多くの人々の命を救ってき彼は今、引退を考えていた。


 彼は爆弾を分解しながら振り返った。

 「思えば俺は爆弾と向き合ってきた人生だったな。爆弾を解除することが生きがいだった。だがそれにも少々疲れたかもしれない。いつ失敗して命を失うともしれない仕事だ。だから伴侶も子供もつくらず独りで生きてきた。俺も歳になって体力も落ちた。残りの余生は後進を育て、趣味の映画でも観てゆっくり暮らそう。そうなれば今日みたいに映画の途中で呼び出されることもなくなるだろう。ははっ」

 彼は自虐的に微笑んだ。

 目の前の爆弾の起爆装置が次々と解除されていく。その手際はさすがとしか言いようがない。

 ついに起爆装置は赤と青のコードを残すのみとなった。

 赤か青。正しい線を切れば解除され、間違った線を切れば爆発してしまう。

 「これは青の線を切れば解除される」

 彼には確信があった。しかし急に手元がおぼつかなくなった。

 彼の右手のコードカッターは狙いを外れ空を切っている。

 「体力も集中力もこれほどまでに落ちてしまったか。…しかし何故こんなにも手元が狂うのだろう。まさか神経までやられてしまったか…。なんだかコードが立体的に…飛び出て見えるし…」

 

 彼ほどのベテランになると、手にするもの身に着けるもの全てが解除に必要な道具なのだろうと周りに思わせる説得力があった。

 彼が映画館から掛けたままの赤青セロファンの3D眼鏡もその例外ではなかった。


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