第8章 宿命の準決勝
1. 試合開始
観客で埋め尽くされた大闘技場。
熱気が渦巻き、誰もがこの対決を待ち望んでいた。
「準決勝第一試合――開始!」
審判の合図と同時に、四人が同時に動き出す。
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2. レオンの猛攻
「来い、蓮!」
レオンの剣が閃光のごとく迫る。
「速っ……!」
俺は必死に木剣で受け止めるが、衝撃で体が後ろに吹き飛びそうになる。
「蓮、下がらないで!」
アリシアが横からカバーに入る。
だがその隙を狙い、リリィの支援魔法が飛んできた。
「《光弾》!」
光の矢がアリシアを狙う。
「させるか!」
俺は身を挺してアリシアを庇い、直撃を受ける。
肩に激痛が走るが、まだ立てる。
「……っ、蓮!」
アリシアが一瞬だけ揺れる視線を俺に向けた。
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3. 息を合わせた連携
「アリシア、次は一緒に行くぞ!」
「わ、わかった!」
俺はレオンの剣を必死に引きつけ、その背後に隙を作る。
そこへアリシアが駆け込み、鋭い斬撃を浴びせた。
「ぐっ……!」
レオンが初めて顔を歪め、後退する。
「やるじゃないか」
彼はすぐに構えを立て直し、笑った。
「だが俺とリリィの絆は、お前たちとは次元が違う!」
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4. リリィの揺れる心
「レオン……でも……」
リリィの声はわずかに震えていた。
彼女は光弾を撃ち放ちながらも、どこか迷いがあるように見える。
俺の目を見つめるたび、その手が一瞬止まりかけていた。
「リリィ、迷うな!」
レオンが叫ぶ。
「俺たちは最強だ。誰にも負けはしない!」
「……はい」
リリィはうつむきながらも魔法を再び放った。
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5. 激闘の果てに
剣と剣がぶつかり合い、魔法が飛び交い、結界を震わせる。
観客は総立ちで声を上げ、試合は白熱を極めていた。
「蓮、次で決めるわよ!」
「おう!」
俺とアリシアは互いに頷き、最後の突撃に踏み出す――。
6. 最後の一撃へ
「アリシア、今だ!」
「ええ!」
俺とアリシアは一気に距離を詰める。
レオンの剣が振り下ろされ、アリシアがそれを受け止めた。
火花が散る。
「甘い!」
レオンは力で押し切ろうとする。だが――。
「今だ、蓮!」
「任せろ!」
俺は横から回り込み、渾身の突きを繰り出した。
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7. リリィの選択
「……っ!」
俺の一撃は、確実にレオンを捉えるはずだった。
しかし――そこにリリィが立ちはだかった。
彼女は両手を広げ、俺の剣を止めに入ったのだ。
「リリィ!?」
レオンが驚愕の声を上げる。
俺も動きを止める。
「お前……どうして……」
リリィの瞳が揺れていた。
「……ごめんなさい、蓮くん。私……本当は……」
その言葉の続きを言う前に、アリシアが叫んだ。
「蓮、躊躇しないで!」
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8. 決着
俺は歯を食いしばる。
ほんの一瞬の迷いを断ち切り、リリィの横をすり抜けるように剣を突き出した。
「――!」
レオンの胸元に直撃。
同時にアリシアが渾身の斬撃を叩き込み、レオンはついに膝をついた。
「勝者――蓮&アリシア組!」
審判の声とともに、大歓声が闘技場を揺らした。
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9. 余韻
「くっ……俺が……負けただと……?」
レオンは地面に剣を突き刺し、悔しそうに顔を歪める。
その隣でリリィは唇を噛み、視線を俺に向けた。
「蓮くん……私は……」
何かを言いかけたが、言葉にはならなかった。
「……勝ったわね」
アリシアが小さく呟き、俺を見上げる。
その表情は、ほんの少し誇らしげで――そして照れくさそうだった。
「おう、二人でな」
俺は笑い返した。
こうして、俺たちは決勝戦への切符を手に入れたのだった。