第8話 信用を得るためのシステム
どういうつもりだ?
「・・・・・・」
北野が俺の目を見た。
「失望した?」
俺の心の中を透かしているみたいにはっきりと言った。
「いや、俺はそんな反論するほどの立場じゃないから」
俺は内心言いたかった。意味の無いことを淡々とこなす。そんな作業プレイを想像したからだ。でも北野は俺の本心を見抜いているようだった。
「そう、じゃあ引き受けてくれるのね?」
下にしていた目が俺に向いた。
彼女、すごく前のめりになっている気がする。
「う、そう言われるとせめて説明してほしいなと思うけど」
俺は精一杯の正直な気持ちを彼女に打ち明けた。
ペラッ。北野がいつのまにか一枚の紙を取り出していた。
それは特別更生プログラムの計画表だった。びっしりと詰まっているかと思ったが、意外とやることは少ないようだった。
正直、え? これだけ? と思うほどの量だ。北野さん、意外と優しいのかな?
「ここに載っている各ミッションをこなしてもらうの」
彼女が言った。
「このプログラムの目的は、信用を勝ち取ること」
彼女はそう続けた。
信用? なんか曖昧だな。俺はそう思った。
「今のあなたはストーカーという汚名があるの。だからそうではないという所を見せるのよ」
ああ、なるほど。と俺は思った。
各ミッションをこなして人に評価をもらうようなものだ。SNSでいえば、どれだけいいねの数が得られるかということ。
「信用を得たことはどうやって判断するの?」
俺は素直な気持ちを言った。
北野は冷静だった。的確な判断を下す。俺は彼女のそういうところを尊敬した。
「ミッションをこなした後に評価側からこのアカウントにいいねが送られるわ。それを私たち風紀委員とあなたが確認する」
北野は俺に見えるように画面を見せた。
なるほど、そんなシステムだったのか。俺は関心した。
「わかった。理解したよ」
すると、俺が納得した顔をしたからだろうか? 彼女の表情が緩んだのだ。
俺はそれにドキリとした。