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『脆い絆』  作者: 設楽理沙


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13  ◇稲岡珠代   旧姓(北山)

13  ◇稲岡珠代   旧姓(北山)



社長の涼さんにはその昔結婚の約束をした女性(ひと)がいたのだが、

親の反対で添い遂げること叶わず、それ以降涼はずっと独り身を貫いて

いるのだそうな。


珠代さんは涼さんの手伝いをしている。


従業員という枠のくくりではなく、役員という形になっていて工員や看護婦

そして医師、事務員と工場内にはいるのだが彼ら(我々)が気付かなくて

手の回らないようなところをチェックしたり時には清掃したりと、皆が気持ち

よく仕事ができるように気配りして工場をチェックするのが彼女の仕事になる。



そんなわけで、彼女は以前からちょくちょく看護室を覗いてくれていた。


それでも私がこちらの寮に世話になるまではそれほど私的な話はしてこなった

のだが、引っ越しを切っ掛けに私も時々彼らを招いて手料理したりと、近しく

なったからだろうか涼さんの話を聞くことになった。


そうだよね、もう彼も39才ということだから今も独身であるのは

何もなくというわけではなかったのだ。


珠代さんの話の続きでは、皮肉なことに恋人と別れてほどなくして

ご両親が災害が原因で2人とも急死されたのだそうだ。


そしてすでに良いお相手と縁をいただき嫁いでいた元恋人も

自分の両親とは別の場所ながら、災害のせいで亡くなってしまったらしい。




「うちの両親も酷いよね~。身分が違い過ぎるとかなんとか

時代錯誤なこと言っちゃって。うちなんて、そんな大した家でも

ないのに」

             ********



いえいえ、珠代さん、そこは違っていてよ。

北山家は大した家でございますことよ。


口には出さなかったけれど、私は胸のうちで訂正しておいた。


            




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