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『脆い絆』  作者: 設楽理沙


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12 ◇北山涼

12 ◇北山涼



今回のことがあってから、製糸工場内で社長の涼さんがはじめて

私の職務室である看護室に来て顔を見せてくれた。



社長室は工場の玄関口のすぐ側にあるけれど、私のいる看護室は

工場の敷地の端から端というくらい社長の執務室からは遠かった。


私の職場は工場内に設置されている看護室と併用して設えられている

隣の病室ともう一棟ある病室と医務室、そして直ぐ側に並列されている

診察室と事務室、といった具合である。



「やぁ、先日はごちそうさまでした。美味しくて妹と次のお誘いが

あった時は何だろうねと話してました」


「それはよかったです。大したものは作れませんのに喜んで

いただけて」


「寮の住み心地は如何ですか? どこか不具合とかあったら申し出て

くださいね」


「はい、気に掛けていただきありがとうございます。

この度は、珠代さんからお話をいただいてそのあとすぐに社長に

動いていただき、無事に入居できました。


本当にみなさんに助けられて、お陰様でなんとかとんでもない目に遭わず

普通の暮らしができるようになって、有難さが身に染みております。


女の独り身で、いきなり家族から追い出されるようにして住む家を探さなく

てはならなくなり、途方にくれるばかりで心底困っておりましたから」



社長にこんな話をとも思わなくもなかったけれど、もう珠代さんから

私の事情は聞いているかと思い、包み隠さずどれほど寮に入れたことで

助かったかという話を彼にした。



「それはお力添えができてよかったです。

仕事のことでも普段の生活のことでも何か困ったことがあれば珠代と僕を

頼ってください……家族だと思って」


「ありがとうございます。

もう家庭のというか、夫婦のいざこざで家族をなくしたも同然の私には

心強いお声がけで有難く思います」



「では、僕も仕事に戻ります」


「お気遣い、ありがとうございました」


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