これはディストピアではない
これは小説習作です。とある本を開き、ランダムに3ワード指差して、三題噺してみました。
随時更新して行きます。
【お断り】「身、努力、夜」の三題噺です。
(以外、本文)
遠い遠い未来社会。人類は努力しなくなりました。
やることと言えば、毎日毎日、歌い踊り、スポーツを楽しみ、自分の身を賭け代にしてギャンブルに興じ、夜になったらなったで誰彼かまわず子作りに励む。
こんな調子ですから大規模自然災害や疫病が発生する度に人類は滅亡寸前まで行く。その後、数世代かけて元の数まで戻す。その繰り返しでした。
当然の結果ですが、誕生から1年以内の乳幼児死亡率は30%。スパンを長く取って生後7年間では新生児の50%が死亡。人類の総平均寿命が30歳を超えた事など、ただの1度きりありませんでした。
でもまあ、本人たちが「それでいい」と思っているなら、それでいいんじゃないでしょうか。
案外、5億年後の地質学者・古生物学者は、こんな教科書を書くかもしれませんぞ。いわく、
「数少ない化石から推測できるホモ・サピエンスの歴史は、環境破壊と相互殺戮に明け暮れた200万年程度の短い前人類紀を脱した後、過渡期の中人類紀を経て、平和な後人類紀が約1億年続いた。これはアノマロカリス出現以降、最も平穏かつ安定した古生物の黄金時代と言えよう。」