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施設内が騒がしい。
ザワザワとした感じではなく。
「悲鳴ですか」
「起きたの?」
まだ麻酔が抜け切ってない体を持ち上げながら五十鈴がキョロキョロと視線を動かして呟く。
ドクターは施設内の異常よりも五十鈴を気にした様だった。
脈拍をとって目をマジマジと見たりと忙しい。
体温計を脇に無理やしさして横たわしにする。
「えっと、なんか異常ありませんか?」
「至って良好よ」
「あ、私じゃなくって……」
「私は、今は、ボロボロになって、制限を超えて、メンテナンスを後回しにしまくった患者のことしか考えられないわ」
「あ、はい。本当にすいませんでした」