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この身体には複数の名前を付けられている。
後輩さんと任務に当たった人格は一凛で、感情で言うところの残忍さを担ってる。
主に戦闘以来なんかは彼女が受ける。
人格達は我先にと表に出たがっていたのに、後輩さんの扱いに戸惑ってまさかの押し付け合いになったみたいで、僕が表に引っ張り出されてしまった。
一人称が『僕』は五十鈴と言う。
弱気で最も仕事に向いていない人格だと自負している。という事を正座しながら目の前で珈琲と食パンを齧っている後輩さんに説明している。
「へー。ええっと、五十鈴さん」
「は、はいっ」
「一凛の顔、体でそのリアクションは違和感を感じるようになりましたね。コーヒー、飲まないんですか?」
後輩さんがインスタントの珈琲を作って出してくれたけど、僕はインスタントコーヒーだとお腹を壊してしまう。
「申し訳ないんだけど、インスタントコーヒー飲めなくて……」
「ああ、すいません。ミルクと砂糖がいるんでしたね」
「ああ、いえ。そうじゃなくて……」
後輩さんは話を聞かずキッチンへ向かってしまった。
立ち上がり掛けの姿勢で固まったままも辛いので、座り直してこの部屋に来客?がいることの不自然さに僕は新鮮味を覚える。
折角煎れてくれたコーヒー。
試しに1口飲むとビリビリと舌が痙攣を鳴らして行儀悪くもペッとティッシュに吐き出した。
「めんどくさいなぁ」