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やはりと言うか、案の定と言うか。同じ意味合いだなぁと思いつつコソコソ様子を見る。
非常電源は確保してあるらしく、赤いランプが非常時を知らせている。
「こういう場合に備えてハッカーでもやとえばいいのに」
誰に言うでもなく、けたたましいサイレンに掻き消える。
バタバタと慌てふためく職員達。
その背中に何食わぬ顔で鉛をお裾分けしてあげる。
粗方血の海を形成したので上階へ戻る。
一凛(この時彼はどの人格かは把握していない)から狙撃終了とあったので、撃ち漏らしを掃除してあげなくちゃいけない。
今から駆けつけるらしいけど、そんなに人数はいらないと思うのよね。
「……お前は逃げなくていいのか?」
声をかけられた時にこれ程冷や汗が出た言葉ない。
存在感が全くなく、不意打ちならもう死んでいた。
「ちょっと、足がくすんじゃってね。それよりアナタこそ誰かしら。ここで働いてるけど見たことないわよ」
「なに、同業さ」
振り返ると同時に発砲。相手の場所は声の位置から推測している。
これで仕留めれるとは思っていない。牽制だ。
しかし、相手は手練だった。音もなく既に移動していて、的はずれな場所に打ってしまった。
そして、返しの銃撃を左肩に掠めてしまった。
「チッ!殺し屋雇うとか完全に黒だな」
「逃さん」