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「合図ね」
そう呟いたやたらとガタイのいい人白衣の男。
一凛が狙撃を始める数分前の職員にとっていつもと同じ様に働いている。
「あ、佐竹さん。ちょっといいかな?」
「ああ、すいません。急ぎの電話が」
彼の同僚の女性に断りを入れてその場を離れる。
静かな廊下に出て、人相が変わった。
「……クズがよぉ」
サッサと安全圏に行かないと蜂の巣にされる。
ここでは佐竹は優秀な助っ人として働いている。
ので、セキュリティLv5の最重要施設にも出入りすることが出来る。
予め、セキュリティのロックを切っておく。
スマホを取り出して、合図する。
上の階から物凄い音がする。始まった。
窓ガラスが割れる音、悲鳴。
しかし、館内の警報はならない。
佐竹が、電力供給の元を銃弾で射ち壊したからだ。
「なんだか上が騒がしいな」
「そうですね、では」
地下研究室では生き生きとした人、死んだ様な顔の人と居るが、目の前のコイツのように、ココで元気な奴は死んでもいい。
サプレッサー付きの銃で眉間を撃つ。
「今、あの子はどの子かしらね」
佐竹と相性の悪い子は避けたいなと思いつつ、時間稼ぎを始めた。