第47話
広大な部屋に残されたのは、私と、ナディアス王子と、ぐーすか寝ているチェスタスだけ。私は拳を硬く握りしめ、決意を込めてナディアス王子に宣言する。
「ナディアス王子、私、これからもっといっぱい勉強して、将来は宮廷魔導師になります。そして、エミリーナに間違いを犯させる原因になった、今の世の中の形を変えて見せます。あの子がいつか自由になったとき、今度はもう悩まず、真っすぐに前を向いて生きていけるような社会にしてあげたいんです」
ナディアス王子は、限りなく優しい笑みを浮かべ、私の思いを受け止めてくれた。
「そうですね。アンジェラさんのように、改革の意思に溢れた優秀な人が宮廷魔導師になってくれたら、頼もしい限りです。宮廷魔導師選抜試験はかなり難しいですが、あなたなら必ず突破できると信じていますよ。……さて、あとは、すやすやと眠っているチェスタスくんをどうにかしませんとね」
そして、ナディアス王子は寝ていたチェスタスを起こすと、状況がよく分かっていない彼に対して、事の顛末を丁寧に説明した。チェスタスは「ふぁ~あ」とあくびをかきながら、他人事のように言う。
「あぁ、そうなんですか。叔父上もエミリーナも、捕まっちゃったんですね。いやぁ、やっぱり悪いことはするもんじゃないなぁ。これからの人生、長々と刑務所で暮らさなきゃいけないだなんて、同情するよ」
……なんなの、その『まあ、自分には関係ないけど~』って感じの態度。
私は憤然とし、チェスタスにくってかかる。
「なんなの、その余裕。チェスタス、あなたもガンアインさんの不正に協力してたんでしょ? あなただって罪に問われて、これから刑務所暮らしになるのよ?」
チェスタスは、『何を馬鹿な』とでも言いたげに、笑った。
「刑務所暮らし? 僕が? あははっ! ないない! それはない!」
ひとしきり笑った後、チェスタスは小さく息を吐いて、言う。
「アンジェラ、きみは魔法については詳しいけど、刑法については、あんまり知らないんだね。いいかい? 不正入学を主導していたのは叔父上であり、僕は、当主である叔父上に、不正を手伝うことを強要されていただけなのさ。だから僕は無罪なんだよ。まあ、多少の取り調べくらいは受けなきゃいけないかもしれないけどね」
そんな馬鹿な。
確かに私は、刑法にはそこまで詳しくないけど、明らかな共犯者を何の罪にも問えないなんて、絶対におかしい。私は唇を尖らせて、チェスタスに物申す。
「で、でもあなた、随分積極的にお手伝いしてたように見えたけど」




