第9話 複数セックスのススメ
神君がこの世界からいなくなって、後一週間で五年目を迎えようとしている。上手いことマッチングさせ、彼氏彼女のようなメッセージをとっているみたいだ。それも四人同時に。どうやらゾッコンらしい。私たちの作戦は今のところ、上手くいっているようだ。
今日は三人で集まり、その後、後輩と合流し復讐計画を進める予定だ。私たちは復讐のことばかり考えてしまい、不安が溢れ出ている。
「おはよ。山下。樋口」
「おはよ。全然眠れなかった。樋口は?」
「私も眠れなかった。緊張して」
「私も。とりあえず後輩にかかってるからね」
「じゃあ行こ」
私たちは後輩が待っている喫茶店に向かった。
喫茶店に入ると、おしとやかな女の子がテーブル席に一人で座っている。第一印象とはかけ離れている後輩の姿に最初は気づけなかった。
「こっちです」
後輩が席を立ち、私たちにそう声をかけた。その姿に少し驚いたが、落ち着いてその席に向かった。
「どう?順調?」
「はい、おかげさまで」
「どこまでいった?」
「一応、四人全員とセックスをしました」
「さすが、変態ちゃん」
「んで、どうだった?」
「最初は言われた通り、やり捨てでしたけど、粘って大好き大好きしたら一杯相手してくれました。凄かったです!先輩たちの言う通りでした。快感なんて言葉では表せないくらい」
目の前にいるのは淫らな女だが、その笑顔はとても純粋なものだった。そんな笑顔に目もくれず、次の手順に移る。
「じゃあそこから先に行くにはね、複数するといいわ」
「複数ですか?」
「うん。だから五人でセックスね。気持ちいんじゃない?色んな穴に物を入れられてぶっ飛んじゃうかもね」
「はぁぁ…。もう楽しみです。濡れてきました…」
「ちょっと、連絡とってもらえる?」
「はい」
後輩はスマホを取り出した。メッセージ画面まで開き「どうやって送ればいいですか?」と聞いてきた。
そのスマホを取り、あいつらのうちの一人に「あの三人と友達ですよね?もしよかったら5Pしたいです。返信待ってます」と送った。返信は秒で帰ってきた。
「まじ?じゃあ俺から連絡とるから、明日の十九時に前のラブホテルに来て」
棒読みで山下が読み上げた。正直、ちょろい猿どもだと思った。机の下で山下と私は強く握手をした。
私は追加のメッセージで「私、セックス大好きなので、私のことおかしくさせてください」と送り、次に「楽しみにしてます!」と送った。
「おっけ!俺も楽しみにしてる!」
また棒読みで山下が読み上げた。これは勝った、そう思った。二つ目に送ったメッセージを削除し、スマホを返した。
「なんて送ったんですか?」
「なんも、ただ五人でセックスしましょって送ったのよ」
「そうなんですね」
「じゃあ、明日頑張ってね。何かあったらすぐに電話しないで、家に帰ってから電話してね。怪しまれるから」
「怪しまれる?」
「言ったじゃない。私たちが紹介したってバレたら標的が私たちになるの。私たちはちゃんと好きな人とセックスしたいの。あくまで自然に結ばせただけ」
「あぁ、了解です」
「よし、じゃあ解散!」
私たちは店を後にした。後は後輩の身に危険なことが起こることを祈るだけ。しかし、めちゃくちゃにされる姿は容易に想像できる。それに加え、後輩の親が動けば私たちの完全勝利。
ジャッジメントまであと僅か。興奮と不安と期待が入り交じり、眠れない夜となった。