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冴えない僕と不良女子で始める復讐劇(連載版)  作者: のれん
復讐の裏側(佐倉視点)
6/10

第6話 行き場のない思い

「二人の意見を聞く。どうする?」


 二人の顔はどんよりとしている。まだお別れができていないのか分からないが、ずっと下を向いている。

 すると突然、山下がむくっと顔を上げた。


「佐倉はどう思う?」

「どうって」

「もちろん、私たちは神君が好き。復讐を成し遂げたい。でも、できるかなって不安が募るの。もし失敗したらって考えると、怖い」


 山下が言っていることは痛いほどわかる。身の危険を感じることがあるかもしれない。途中の行動で何か怪しまれたら何をされるか分からない。それこそ、私たちがあいつらの性欲のはけ口にされるかもしれない。あんなやつらとセックスなんてしたくない。

 でも私の意思は変わらない。そのことを二人に伝えた。「私はやる」と宣言した。


「じゃあ、私も頑張るよ。神君のために」

「ありがとう。樋口はどう?」

「うん、私もやる」

「了解。とはいえ、今は何もできないから、とりあえず都合のいい後輩を徐々に探せたらって感じね」

「そうね、あぁ、やっぱり寂しいわ」


 珍しく山下が弱音を吐いた。皆、寂しい理由なんて一つしかない。いつも私の家に集まれば、狂ったようにセックスをしていた。だけどもう、する相手がいない。今まで日常と化していたセックスは、非日常的なものなのだと、大事な存在がいなくなってから気づいた。


「なんか、こんなに何もしない時間を過ごすのってすごい久しぶりよね」

「そうだね。神君が居ればこんな時間、あっという間なんだけど」

「あんなに普通にやってたセックスって貴重な体験だったんだね」

「それ、私もさっき思った」


 ついこの前のことでも懐かしく感じる。神君は、私たちをたくさん気持ちよくしてくれた。いつも悩んでいるときも相談に乗ってくれる優しい人。唯一、セックスをしても抵抗がない、いやむしろ私から求めている。この穴を埋めるまでは相当の時間がかかりそうだ。


「じゃあ、私たちは帰るね」

「うん、じゃあまた明日」


 こんなに早く解散することは初めてに等しい。行き場のない思いは各自持ち帰ることになった。一人になることはあっても、心が一人になることはいじめられていた時以来だ。

 無意識に私の右手は股間をもぞもぞと触っている。その手はパンツの中に入れ、中指を中に入れる。あのときの快感を味わいたいが、やはり一人で気持ち良くなることはできなかった。

 それでも無我夢中で気持ちいポイントを探し、ひたすら指を動かす。だんだん感度は上がり、声を殺しながら絶頂を迎えた。絶頂を迎えたはずだが、私の心は満たされなかった。


 人は、心が空っぽになったり、何もやることがない時ほど、性欲で満たそうとすることを私は知った。

 いじった指を舐めるという無意味な行動までするくらい、今の私は空っぽだ。

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