第2話 僕たちの密会
復讐することを決めた次の日。四人は佐倉さんの部屋に集まり、作戦会議を始める。
「じゃあまずは四人の中で一番弱そうなの…ってそんなことわからないか」
佐倉さんがまず誰を標的にするかを考える。
「まぁ、客観的に見れば、四人ともただの不良だからな」
「そうだよねぇ。ホント嫌い」
山下さんがそう答え、梅干しを食べたようなしわくちゃな顔をしてジュースをストローで飲み始める。
ジュースを手に持った樋口さんは、何かを思い出した顔で僕に話しかけた。
「てか神君はあの後どうしたの?」
「更衣室出た後?」
「そうそう、あいつら見張ってたんじゃない?」
「あぁ、見張ってたよ。僕がドアを閉めた瞬間、腹抱えてやってきたよ」
「感じわる~い」
「あいつらの性格が感じ悪いから、仕方ない」
四人の不良の愚痴話で会話は盛り上がっている。嫌いなものが共通していると、とても面白い。好きなものが共通していることよりも嫌いなものの方が、楽しさもありスカッとする。日々の疲れが全て取れる気がする。
「神君と山下と佐倉はさ、あいつらにどうやって復讐するか決めてる?」
「決めてないけど、やっぱり人は違えどいじめをされた立場からすると、殺したくなるよね。社会的に」
最高の笑顔を見せながら山下さんが話す。それを聞いた僕を含めた三人は大爆笑だ。
先に大爆笑から落ち着いた樋口さんが話始める。
「でもやるならまとめてやった方がよさそうだね」
「そうだね。一人ひとりやるとか、アニメとかドラマの話だよね。すぐにバレるっちゅうねん」
山下さんがそう言い、佐倉さんも同意の意味を込めて強く何回も頷いた。
「じゃあ、とりあえず四人まとめて、社会的に殺そうか」
僕のざっくりとした提案に三人は「りょうかーい!」と元気な声で返事をした。
「じゃあ、今日もやる?」
山下さんは、とある提案をする。それに対し、僕は「いいの?じゃあやろう」と答えた。
僕が答えた瞬間、三人は制服を脱ぎだす。あっという間に下着の身の姿になった。いつもの光景ではあるが、興奮は冷めない。佐倉さんは机に付属されている棚の一番下からコンドームを取り出す。その間、樋口さんは僕にキスを、山下さんは僕のズボンを脱がす。
この瞬間、僕はこの世で一番の幸せものだと思う。美女三人と性行為をし、好きなだけ触れ合うことができる。甘い体温が僕の五感全てを刺激する。
佐倉さんは僕の局部にゴムを装着させ、凸凹を合体させる。何度もやっているため、最初にゆっくりと気持ちのいい時間を味わうことなく、最初から秒針が刻む音より速く腰を動かしている。
「だんだん持つようになったねぇ」
「佐倉~、早く私も」
「だめです!次は山下の番です」
僕たち四人は集まるとこんなことをしている。三人の相手を最初にしたとき、僕はあっという間にイってしまい、三人を満足させることができなかった。
でも三人のおかげで男として成長している。筋肉などが衰退しているため、正常位では体力が持たない。毎回、騎乗位で相手していることだけが悔いに残りそうだ。
そもそも何故、こんなことが始まったのか。それは単純な僕のわがままだ。死ぬまでにしたいこと、真っ先に浮かんだのがセックスだ。そのわがままに答えてくれたのが彼女たち、ただそれだけ。
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「はぁ~疲れた」
「相変わらず私たちの相手する神君凄いわ。性欲強すぎ」
「男はこれくらい普通だよ」
「よく言うわ。最初なんか十秒も持たなかったのに」
「…うるさいなぁ」
男にとって幸せな時間を過ごした。そんな幸せな時間を過ごしているときに復讐のヒントを見つけた。そして行為の最中、ひらめいた。
「一つ案が浮かんだけど…。正直三人がきつい思いするからやっぱやめようかな」
僕の顔を三人は心配そうに見ている。そんな中、樋口さんは「大丈夫!神君のやりたいことだもん。何でもする」と言った。
僕は、申し訳なさそうに、モゴモゴと話し始めた。
「三人が、あいつらの相手…、いわゆるセックスの相手にされる前に陥れるっていうのは…」
三人は顔を見合わせ、笑った。
「なんだぁ、そんなことね。まぁもちろんあいつらとヤるのは勘弁だけど、うまいことヤらないで殺すってことでしょ?山下、樋口、協力するでしょ?」
「協力するよ。むしろそういうやり方が一番手っ取り早いよね。樋口もいい?」
「いいけど…、あいつらの裸すらも見たくないわ…。でも神君の復讐の手伝いは協力する!」
「皆、ごめんね。こんな復讐のために」
佐倉さんは僕の肩に手を置き、優しい笑顔を見せてくれた。
「いいのよ。神君がいたから今の私たちがいるんだから。命の恩人以上の存在だもん。じゃあ、そろそろ親帰ってくるから、また明日、綿密に会議しよ」
四人は解散した。決行まで近づき、興奮してきた。あいつらの社会的に殺せたら僕はそれだけで生きた価値が生まれる。あくまで自己満足にしか聞こえないだろうが、死ぬまでの野望だ。