出会い
鍵谷春樹はその日、人生で初めて「初恋」を知ったのである...
俺は鍵谷春樹。青春真っ只中の高2に紛れる非リアである。
そう、俺は人生16年間で一回も恋に落ちたことがない。
一体何が原因なのか、本人にも、周りにも、エジソン(?)でさえもわからない。
今は「日常」と言う名のぬるま湯に浸かっている。
そんな青春に恵まれないごく普通の高校生は、あるきっかけで彼女と出会うのであった
~休みの日~
今日は部活(吹奏楽部、ほぼ活動なしのインキャ部)が休みなので、一日自由に過ごせる。
なので、休みの日は毎日散歩する春樹は、今日も散歩をしていた。
いつものルートをぼーっとして歩いていたその時、遠くから女の人の叫び声がした。「助けてっ!」
春樹は急いで声がする方に向かった。
すると女の人が男の人にバックを盗られそうになっていた。春樹はすぐさま男にタックルをかました。
効いたらしく、男は蹲って走り去っていった。
「大丈夫ですか?」と声をかけると、女の人は「大丈夫です。ありがとうございます」と返してきた。
安心した春樹はそのまま立ち去ろうとすると、「お礼がしたいんだけど!」と大きな声で言われた。
何度も「結構です」と断り続けたが、なかなか引き下がってくれないので、春樹はその場から走り去っていった。
~休み明け~
今日もゆったりまったり過ごそうと、学校に行ってからずっと突っ伏していた春樹。
もう放課後の鐘がなった。いつも通りインキャ部の活動はないので、このままさっさと帰ろうとしたその時、目の前に見覚えのある女の人がいた。
何故だ、何故昨日の人がここにいるのか。
考えられる理由は一つしかない。
転校...?
続く