プロローグ
良く晴れた昼下がり。
ランチバスケットを持って、こんな日は新緑の中を散歩したり、木陰でのんびり本を読むのも良いだろう。
間違ってもジメジメとした薄暗い城の地下深くで、怪しい儀式を執り行なうものではない。
「ふむ、これで良かったと思うのだがのぅ、、此処がこの講式で。でもそうすると此処が意味が通らなくなる。困ったの。」
薄暗い部屋の奥から、何やら声が聞こえる。
声からして女性、しかも若い印象を受ける。
「姫様、もうこんな事お辞めになりませんか?」
どうやらもう1人いるらしい。
シルエットから察するに背が高い細身の男性。姫と呼んでいる所から、高貴な令嬢とその家令と言った所か。
「お断りじゃ、このままだと私だけがパートナーが居らん事になる、この家の行末は決まってしまった様なものだ。」
女性と思われる女性は、どうやら地面に何か描いている様だ。見る人が見れば、それが召喚の術式と分かっただろう。
「これだけ探しても居ないのじゃ、多分この国じゃ見つからん。」
「だからといって、見つからないなら、あっちから来て貰えば良い。とは短絡的ではありませんか?」
「心配するな、自信はある。城の地下、お爺様の遺品から見つけた此の魔導書にある術式ならな。」
どうやら女性の作業は終わったらしい、立ち上がって地面に描かれた幾何学的な紋様に手をかざし、何やら力を込め始める。
女性が何やら呟くと、得体の知れない紋様が怪しく光り始める。
そして光は一気に輝きを増していく。
「じゃろ?ちゃんと反応したではないか。」
「そんなまさか、、、」
そして光は最高潮を迎え、部屋の中は眩い光の渦に飲み込まれていった。