14話
清香は急な浮いた感覚に思わずぎゅっと白妙の胸に顔をうずめてしまった。
そんな彼女の頭上から少し笑ったかのような優しい白妙の声が響く。
「着きましたよ」
そう言われて白妙の胸から顔を出すと、そこは落ち着いたお屋敷だった。
「えっと、ここは?」
「家です」
「うん、それは分かるのだけれど。誰の?」
「私たちのですが」
「えっ私と白妙の!?」
驚いて白妙の胸から抜け出し、地面に降りる。降りても白妙の手は清香の腰から離れず、思わず目で話すように訴えて見たが笑って流されてしまった。
「白妙、お家に帰るって言っていたよね?」
「はい、家を継ぐことが貴方と結婚できる条件だったので」
「えっ結婚」
「はい、できれば早めに結婚の儀式を行いましょう」
「ちょっと、待って。いきなり色々ありすぎて頭がついてこない」
「私が鬼だったというのは?」
「それは、何となく分かった」
「では私と貴方が魂の伴侶というのは?」
ぼっと音がするくらいの勢いで、清香の顔が真っ赤に染まる。
「……そ、それも分かった」
「では、伴侶の契約をするにあたり人間の世界の結婚も……」
「ちょっと、待って。白妙はいいの?」
「何がですか?」
「だ・か・ら、伴侶が私で!」
キョトンと見返すこの男の頬を、清香は思わず抓る。
少し間抜ける清香を見つめ返す男。
そんな顔も可愛いとにやけてしまいそうになる、自分の唇を噛み締めながら恋は本当厄介だと清香は思うのだった。
「白妙、私は貴方が好きよ。ずっと。だから、貴方とこれからもいれるのは泣いちゃうくらい、嬉しいの」
「でも貴方は違うでしょう?魂の伴侶だからって私とでいいの?」
はあっと落ち込む彼の姿に、やっぱりと清香の胸が痛む。
「すみません、浮かれすぎていました」
うん?首をかしげる清香の手をとる。
「清香さん、私の方がずっと貴方を好きでした。私の伴侶になってくれませんか?」
眉を下げたあの清香の大好きな顔で問うてきた。
初めて名前を呼んでくれた!
好きだって!
伴侶に?
「はい」
もう嬉しさが洪水になり、かろうじて答えた返事と涙も一緒に崩壊した。
ずっと貴方といたかったの