表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月見草  作者: ami
1/14

1話

 満月の夜。


 月が二人の男女を照らしていた。

 背の高い男に囲い込まれるように女は床に縫いとめられている。


 少し肌けた着物からは女らしいまろやかな曲線が見てとれた。

 その胸は規則正しく上下しており、彼女が深く眠っている事を表していた。


 男はそっと彼女に体重が掛からないように労わる様子を見せながらも、彼女の上からは退かずに上から見下ろし続ける。


 ちゅ


 その薄く開く唇に口ずけ離れ難いと言わんばかりに、ゆっくりと唇を離した。


 そして女の首元に顔をうずめる。


 それが(くすぐ)ったかったのか女が少し身じろいだ。



 その様子にビクッと男は体を固まらせた。




 「…………」



 すーすー




 再び規則正しく聞こえてきた寝息に、女の首元に体を埋めたまま動けずにいた男は固まった体から少しずつ力を抜く。



 ーーまだ彼女にはそのままで



 そう思いながらも鼻腔をくすぐる女の香りに、男は無意識にふうっと熱い息をはいてしまう。


 その息が首に触れたのだろう女の瞼がピクッと動いた。



 その香りを振り払うように、どうしても吸いつけられる香りから己を引き離すように顔を女の首元から離す。



 「いや、時は十分に満ちたか……」



 気づけば部屋を充満している彼女の香りに、男は全てを絡め取られてしまいそうだと思った。


 男は改めて香りを吸い込むと、自分の中に香りを馴染ませるように息をしばし留めてからゆっくり吐き出す。



 「早く咲き誇れ、俺の華……」

 

 男は女の頬に思わず伸ばした手を握り込み、待ちきれないと言わんばかりに熱が漂った瞳で月夜が照らす彼女の寝顔を見続けていた。

新連載始めました。


骨組みはできているので、定期的に続きを上げて行きたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ