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同級生を彼女にしたら、世界最古の諜報機関に勤務することになりました  作者: 林海
第四章 17歳、夏(全49回:アクション編)
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28 アメリカにて


 アメリカ軍人特有の、きびきびした口調で話す部下。

 それを睨みつけ、唸る。


 「SR71、ブラックバードを二機、モスボール解除要請だと? ふざけるな!」

 「はい、日本、それも、(サウス)からの要請ですが……」

 「連中、気でも狂ったのか? いくら実働状態を保つモスボール保存とは言え、退役機を稼働させるのに、しかも、現役時代から24時間の事前準備が必要な機を動かせだと? 実働はどれほど急いでも30時間後、おまけにいくら予算が掛かると思っているんだ?」

 「32時間待つというのが向こうの言い分です」

 「なんだと……」

 「ツボウチが言うには、前回の、こちらが誤解して高校生に発砲した件について、きれいに忘れてくれるそうです。当然、その高校生に弾が掠めて、怪我をさせたことも忘れると。

 加えて、日本の警察にある銃刀法違反関係の全書類の破棄、また、こちらの出方によっては、その時こちらで情報収集に使った人工衛星について、逆観測したデータも破棄してやってもいいと」

 「してやってもいい、だと? ふざけるな、舐めやがって……」

 「で、うちの内部から、応じてやってもよいのではという声も……」

 「なぜだ?」

 「連中、エンドウとオダを、ロンドンから日本に短時間で戻したいらしいです。エンドウとオダは我々との共同訓練がきっかけで、有力な友人が何人も我が方にいますからね。

 作戦自体は、我が国の利益に合致しますし、どうせ、次の選挙でも保守が大勝するのは確実なんですから、たかが数億で売れる恩なら売っておいても損はないかと」

 その二人とは、話したことがある。確かに、出来る奴らだったし、友人が多いのも分かる。


 「ツボウチに言え。36時間だ。それで飲めなければ、くそくらえとな」

 「せめてもの嫌がらせですか?」

 「30時間と恩を売る手もあるが、腹の虫が収まらん」

 「では、30時間後と回答します。6時間も嫌がらせのためだけにロスしたのが部隊内で噂になると、全体の士気が落ちかねません。繰り返しになりますが、エンドウとオダは友人だという者が結構いるのに加え……」

 「まだ、なにかあるのか?」

 「あなたに、プレゼントがあるそうです。

 千年前の御物だとか」

 思わず、自分が鼻白んだ表情になったのを自覚する。


 「なぁ、グレッグ、それってサザビーのオークションとかに出すと、百万ドル単位の値がつくやつか?」

 「さあ、私には判りかねますが」

 「俺が、28時間でやれと言ったらどうする?」

 「最初からプレゼントの話をしなかった、自分の判断を自分で褒めます。どうがんぱっても、30時間が限界です」

 「相変わらず、人を手の平の上で転がすようなことをする男だな、お前は。

 ツボウチに伝えろ、前回のデータの破棄につき、確実な履行を望むと。

 三機をモスボール解除、そのうちの状態の良い二機を作戦に回せ。

 お前のことだから、パイロットの選定、NATO諸国への根回し、空中給油、フライトプランについては進めているのだろう。それらも確実に終わらせておけ」

 「了解しました」

 「モスボール解除について、ロッキード・マーティンに無償協力をさせろ。

 かわりに、日本でのF-35導入について、こちらからもプッシュしてやってもいいと伝えろ」


 一旦決断すれば、対応は極めて早かった。


次回、行動開始

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