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同級生を彼女にしたら、世界最古の諜報機関に勤務することになりました  作者: 林海
第四章 17歳、夏(全49回:アクション編)
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20 する? しない?

短いのでupしちゃお。


 布団を出してもらうのも美岬に悪いし、気持ち的に面倒くさいので、このままこのソファで寝ることにした。やはり疲れているんだと思う。

 美岬が、あちこちのスイッチ類の確認だか、操作をしているのが非現実的だけど、それでも、同級生と同じ建物で泊まるなんて、なんか、ちょっと修学旅行みたいだよな。


 あ、慧思、何考えてる?

 なんで、三人掛けのソファを独占して、自分の寝る支度をさっさとして、枕を俺に渡す?


 やめろ、そういう気の使い方は……。


 美岬、君もだ。なんだ、その覚悟を決めて、吹っ切った表情。


 「二人とも聞いてくれ。そういうのは、まだ早いからな。だから、慧思のことを邪魔だとも思っていないからな」

 「ふーん、早いんだ? で、そういうのって何?」

 しまった。美岬が基本的にSなのを忘れていた。敢えて聞きやがったな。一瞬、どう仕返ししてやろうかとまじめに考えた。


 で、仕返しはやめて、真面目に話す。

 バディの慧思もいる前だからな。ふざけないで、きちんと話そう。


 「TXαも飲まないんだろ? ならば、無茶しなければそういう日は必ず来る。でも、今、それしちゃうのは卑怯な気がするんだ」

 「それ? 卑怯?」

 「ええい、かたっぱから全部、つっこむんじゃねーよ。

 聞けよ、とりあえず……。

 『した』から待っていられる、とか、『した』から待っていなきゃ、とかじゃない。そういう言い訳になること自体が不純じゃないかと思うんだ。

 それにさ、生きて帰れないかもしれない、好きなように体を弄ばれてしまうかもしれない、そんな可能性も、もうない。

 それなのに、美岬は覚悟を決めた表情になっている。

 そうじゃないだろう?

 状況に迫られたからではなく、もっと自然にそうなるべきだと思う。状況に追い込まれたから、『する』ってのは違う気がするし、それに便乗したみたいで、なんか卑怯なような気がするんだ。

 そして何より、今、『した』って悲しいだけだ。

 きっと、終わった後、美岬は泣く。

 まちがいなく、俺も泣く。

 そんなの、きっと、正しくない。

 未来が続くことを確定させてから、それからでいいじゃないか。

 それに……、身体や状況でというより、美岬とは魂で繋がっていると思ってるんだけどな、俺は……」


 返答はなぜか慧思からきた。

 「馬鹿野郎、邪魔だから消えていろ、と言われる方がまだマシだ」

 あ、慧思、その言い方、なんだよ?

 ああ、お前からしたら究極にのろけられたのと同じか。

 すまないな、いつも。


 大体な、そもそもなんで俺、こんな羞恥プレイに嵌め込まれているんだ?

 そうだ、こんなこと言わせる美岬がすべて悪い。

 思いっきりジト目で睨んでやると、あれ、馬鹿に神妙な顔しているじゃねーか。


 「面影ぞ なほ忘られぬ あだなりし契りは夢のうちになしても」

 「ん?」

 今なんて言った?

 「おやすみなさい!」

 あ、走って逃げやがった。体を軽く感じてそうだな、その走り方。


 あー、なんか、俺一人がバカみたいだな。

 寝るか、もう。

 寝よ寝よ。

 床だって仕方ねー。


次回、俺、PTSD?



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