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14 引き継がれる瞳
「なぁ、美桜、PTSDで寝られなかった頃より、はるかに寝られないんだけれど」
「しょうがないじゃない。美岬が元気な証拠よ。
あれっ、おむつ終わってる。押し入れから取ってくるから、ちょっとだけ抱いていて」
「ちょっとだけ、じゃなくていいぞ」
「あなたが抱いていると、赤ちゃんを捕食している熊みたいに見えるのよ」
「ひどいな。僕だって、傷つくんだぞ」
美桜はその言葉を完全にスルーしておむつを取ってくると、てきぱきと交換し、そのまま抱き上げる。
「あれっ、目が開いた。初めて目が開いたよ!」
「えっ、本当!?」
初めて開いた赤ん坊の目は、まだ表情もなく、焦点も合ってはいない。ただ、その瞳の中にはきらきらとした青い輝きが宿されていた。
第二章、終わりです。
第三章も短編で、16歳秋、文化祭
の予定です。
引き続きよろしくお願いいたします。




