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同級生を彼女にしたら、世界最古の諜報機関に勤務することになりました  作者: 林海
第四章 17歳、夏(全49回:アクション編)
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47 事態終結


 病院の救急処置室で、両腕固定。

 右腕三十日間、左腕二十日間もかかるって。そんなにもの長い日数、自由が利かないのは困るってごねたら、でも、早く完全に治りたいでしょ? と言い返されてしまった。

 おまけに、当直医ではなく、昼間にもう一度来て専門医に診てもらえとさ。

 まぁ、無茶しすぎたのは解るし、ん、医者には勝てない。


 で、最後に精算するために待合室にいたら、遠藤さんのスマホが鳴った。もう時間が遅くて他の患者はいないけど、遠藤さんは建物の外に出て行った。

 帰ってきてから、通話内容を教えてくれた。


 美岬の母親、武藤佐からだ。

 パリとS国で、共に連中の組織全員が検挙できたと。

 正確に言うと、対象国の正規の諜報員(なんだ、この表現?)は、検挙しないでおいてあげたらしいけど、もう、まともな活動は無理だろうとのこと。

 フランス、S国、日本と三正面作戦をタイミング合わせて全部に勝ったのか、あの人。

 坪内佐も怖いけど、やっぱり武藤佐も怖いわ。


 なんといっても、フランスもS国も、こちらからの情報提供とそれを受けての対応は別という考えだから、判っていても見逃される可能性は高かった。

 ま、当たり前。

 自国の利益を最優先に考えるのが、外交の本質。特にフランスとか、前々から対象国側と繋がりが深かったしね。


 でも、小田さんの送ったデータが効いたらしい。

 未成年の就学中の女子が極めて惨たらしく殺害され、しかもそれが人違いだったという非人道的というのも極まれる事態だったから。

 で、そんなのに影響されるほどナーバスな世界でもないけれど、第三国まで含めてあちこちにばらまいたのが効いているんだそうだ。

 時差的に、ヨーロッパ諸国は真っ昼間の活動時間だし、一気に情報共有されたらしい。

 「貴国はこの非道を看過し、あまつさえ自国の目先の利益のみを優先するのか?」という問いかけには、どこの国も大っぴらには反論できない。しかも、諜報能力の弱さを露呈しちまったわけで、強い国と弱い国、どちらに付く? という二択にもなるからね。


 なるほどなぁ。

 本音はともかく、少なくとも表面上はこっちに付くわ、それ。

 検挙、確保した人員も、相当の扱いができるだろうしね。


 おまけがさらにある。

 こちらは、遠藤大尉と小田大尉の戦闘技術によるものだけど。

 「我が国はその非道を行った対象に対し、人道的立場からこれを一人も害することなく身柄を確保した。この処分については、我が国の国内法に従うが、文句あるか、コノヤロー」と。

 これで、連中は煮て食おうと焼いて食おうとこちらの自由、しかも、非道な国、人道的な国の差を世界中にアピールできるのか。

 ちょっと、イヤラしくすらあるな。

 それが可笑しい。ま、世界中で貶められる方は、たまったもんじゃないだろうけど。


 結果として、俺たちと同じような能力を持っているであろう、パリにいたはずの女子。結局、こちらの秘密を色々知りすぎているので、密かに日本に移送して飼い殺しにせざるをえないらしい。

 美岬の母親の、視覚の秘密を知っちゃっているからねぇ。もっとも、飼い殺しと言っても、本人は性格的には、それで静かに暮らせるのであればその方がありがたいという状態らしい。


 まぁ、とりあえずは、完勝で勝負は終わったのかなぁ。


次回、一週間後



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