02
始めたは良いものの、なかなか筆が進まないのが困りものです。
プロットは完成してるのですが、なかなか私事がゴタゴタしてるのもあって大変です。
以上、言い訳でした。
少年が目を覚まして最初に見たものは目が慣れているためにかろうじて見える暗い室内だった。
「……ここ、どこ?」
カラカラに渇いた喉からはそれだけを絞り出すので精一杯だったのか、そこからは何か言おうとするも口が動くのみで声は殆ど出てこない。
とにかく体を起こそうとしたが、何か硬い物が両手足に引っかかっていて体を起こすことができなかった。視界が悪い上に身動きが取れない状況に恐怖心が少しずつ大きくなり、段々と目尻に涙が浮かんでくる。
「……うぅ……」
とうとうその雫が流れ落ちたと同時に、少年の口から嗚咽が漏れた。大きくなった恐怖心に耐えられなくなり、雫の数が増えていく。
「……誰か……」
その言葉が溢れた瞬間、何処かからドタドタと慌ただしい物音が聞こえてきた。少年がその音に気付き視線を巡らせるも、薄暗い室内では何がどうなっているかなど分かるわけがない。今まで感じていた不安とは違い恐怖心が湧いていると、ドアを蹴り開ける音と共に暗闇の世界に突如光が射した。
「目が覚めたんだね!どこか辛いところはないかい!?」
少年からは影になっていたのでその顔は分からなかったが、少し低めで声の性質からして男性だろうか。その声は少年の体調を案じているからなのか少し上擦っていた。
少年はその男性を数秒ほどポカンと見つめていたが、次第にクシャリと顔を歪ませて今まで溜めていた涙をボロボロと零していく。
「その手足の物を直ぐに外すからね」
そう言って少年の手足の拘束具を外していく男性。身体が自由になった少年は男性へ飛び付くと力一杯両手で抱き着いた。
「……!」
不意をつかれたため男性はビクリと身体を震わせたが、直ぐにその両腕で少年を抱き返した。
「本当はもう少し早く着く予定だったんだが、一人で心細かったんだね。本当にすまなかった」
男性の言葉に少年は抱き着いたまま頭を左右にブンブンと動かして答える。最初は苦笑いでそれを眺めていたが、
「ウィリアム君、少し話したいことがあるから他の部屋に行こうか」
「……うぃりあむ?……だれ?」
少年の言葉に目を見開いて固まってしまった。少年の両肩に掴みかかり、強い口調で問いかける。
「すまない、別の子と間違えて覚えてしまっていたようだ。君の名前はなんて言うんだい?」
「……」
その問いかけに対して少年は少しの間を置き、俯いて顔をふるふると力なく左右に振るだけだった。
「すまなかったね。ちょっとだけ落ち着きが足りなかったようだ。」
男性は数秒間目を閉じて少年の頭に手を乗せる。再び目を開けると、
「じゃあ、私が君の名前を考えてあげよう!お茶でも飲みながら考えようじゃないか!」
不安を与えない様にするために視線を合わせ、満遍の笑顔を向ける。少年の見えないところでその手は強く強く握りしめられている。
少年は少しの間目を瞬かせていたものの、オズオズと頷き返し、男性に歩み寄っていくのであった。
これが、少年と博士の始めての出会いである。
週1で5000文字以上かける人って凄いですよね。
焦らない程度に目指して行きます。
読んでくださりありがとうございました。