表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
est 0  作者: おりおん
1/3

01

登録してから早1ヶ月掛かりましたがようやくの投稿です。

自分の頭の中の世界をどこまで文字として表現できるか、試していきます。

キーボードの音が鳴り響く室内には細身で武陵髭を生やした男がモニターを睨みつけ、その手を一瞬も止める事なく動かし続けていた。

一旦手を止め、傍にあったカップを手に取る。少し煽った所で別のモニターに視線が止まった。

そのモニターには文字の羅列がずっと続いており、男はカップを置くとその文字列を目で追いかけていった。


ーーーーーーーーーーーーーー


昨年の初冬、OO町に住んでいた夫婦の間で新たな命が誕生した。


その夫婦はより良き町づくりに尽力する政治家であるともっぱらの評判で、町の住人達がその吉報にちょっとしたお祭り騒ぎを起こしてしまう程度には支持を得ていた。


生まれた子供は男の子だった。全体的な顔つきは父親似だが、目尻は母親に似ていて少し垂れ下がっている。二人はそんな息子が可愛くて可愛くてしょうがなかったらしい。


男の子は夜中に泣き出してしまったりおねしょをしてしまうことが少なくなかったが、両親は弱音を吐く事なく協力して男の子の世話をしていた。その甲斐もあり、2年程経った頃には元気に歩き回る男の子の姿があった。


ある日、男の子は母親と手を繋いで近くのスーパーに夕飯の買い出しに向かっていた。横断歩道を渡っている最中に居眠り運転のトラックにぶつかりそうになるものの、間一髪の所で避けることに成功した。しかし、転倒してしまった際に母親と男の子は意識を失ってしまったそうだ。


母親と少年は近くの病院へ搬送されたが幸い気絶をしただけで特に問題はなかったため、その日の内に自宅へと帰ることになった。


事故から3ヶ月が経った。男の子は同年代の子供と比べて運動能力が異常なまでに高くなっていた。彼が物を触ると大概の物が壊れてしまい、体力も大人顔負けな程に増していた。

最初は元気な子に育っていると思っていた両親も、ここまで来ると我が子に対して恐怖心を持ち始めるようになってしまったらしい。


両親は地元の名医に男の子を診てもらうことにしたが原因が分からず、興奮して暴れだすとと周りの物を壊してしまうため麻酔で眠らせて検査を続行した。


次の日、男の子が急に暴れ出して機材などを壊してしまうと病院側から連絡があったらしい。両親が大急ぎで病院へ向かうと、其処にはボロボロの白衣を纏っている医者と荒れ果てた病室があり、男の子が全てやったことなのだと告げられたと言う。町の住人たち総出での捜索が行われたが依然として見つからず、生存は絶望的となってしまった。


ある日母親がキッチンで体調を崩してしまう。病院で診てもらうと、二人目の子供が生まれていたことがわかった。


気力を失ってしまった両親は母親に宿っていた新たな命をきっかけに立ち直り、今度こそはという決意を胸にその子の出産を決意したそうだ。


ーーーーーーーーーーーーー


文字列はそこで途切れていた。男はそれから目を逸らし別のモニターへと視線を移す。そこにはベッドの上で一人の少年が横たわっており、点滴の管が腕に刺さっていた。


「・・・・・・・・・」


男は再びキーボードを叩き始め、それは少年の映るモニターに動きが生じるまで続いた。



ご感想・ご報告ありましたらコメントして頂けると嬉しいです。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ