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曰く付きの館  作者: 木染維月
第三章 至情
20/39

 ――ああ。



 頭がぼんやりする。



 意識が霞んでいる。



 遠くのほうで高橋奏音が何か叫んでいる。

 言葉の思いつく限りに悪態をついている・・・・・・のかもしれない。



 ああ、今、手に何か当たった。

 痛いような気がする。

 硬くて冷たい。壁だろうか。



 ここで私は、精も根も尽きるまで叫び続けよう。

 もう誰とも関わりたくないし、じゃあエネルギー切れになるまで叫んで、

 ――そのままこの冷たい床で、転がっていよう。



 発見されるのはいつだろうか。

 腐敗する死体の臭いはすごいというし、白骨化までは待ってくれないだろうか。



 「私」を演じる魂も、哀れなものだ。

 こんな散々な目に遭うのは、たとえお芝居の役でも御免だろうに。



 十数年連れ添った魂とやらのためにも――

 もう、こんな茶番はやめにしよう。



 ああ、でも、「あいつ」だけは腹立つなあ――。

 こんな哀れな私の目の前で、煌めく青春時代を謳歌していたあいつだけは。



 自分を哀れむと、こんなにも楽なんだ。

 なんだか、心の中にある硬いものが溶けていくようだ。

 そう、ちょうど、金属製の球体のような――。



 もしかして今、私の心で溶ける何かは、溶けたらまずいものだろうか。

 なんとなく、そうだった気もする。


 でも別に、いいと思った。


 特に興味もなかった。




 喉が熱い。


 体中が軋む。


 どこかで一度、経験したようなこの痛み――。


 思い出したくなかったあの日。


 暴風雨。


 おくじょう。


 れん。


 はなせんぱい。


 あのまましなせてくれたらよかったのに――。




 ならせめて。


 どうせわたしもしぬんだから。


 あいつをころしたいなぁ――。



………………はい。

これにて三章は完結です。

奏音ちゃんが遂に狂ってしまったわけですが。ここから物語はどう動くんでしょうか。

これからも「館」をよろしくお願いします!


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