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MOIRA  作者: 流民
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 五章 ~宙へ~

 マスメディアを通して行われる批判合戦が続く中、カミュ達三人はガルメシアに戻って来ていた。そして、その傍らには氷上の姿も有った。

「拙いですね……とにかく、本国に連絡を取らなければ。メルキゼデクお願いできますか?」

『仕方ないな』

 メルキゼデクはそう言うとエイジアに通信回線を開く。これは、日本を出る前に作っていたメルキゼデクと首相官邸との間に設けた秘匿回線で、メルキゼデクのネットワークを利用した暗号回線を使用しているため、解読する事はメルキゼデクと同じくらいの能力を持ったAIでなければほぼ不可能だ。そのため、少し繋がるまでに時間が掛かる。暫く待つと、誰かと話している春日の姿がユーリの端末に映し出される。

「首相、お忙しいところ申し訳ありません」

 氷上の連絡に春日は険しい表情で頷く。

『構わん。そっちはどうかね?』

 春日に問われた氷上は直ぐに答える。

「ガルメシア陸軍が煙突周辺に展開しており、煙突に近づく事も難しい状態です」

 変わらず険しい表情で顎に手をやる春日。

『解った、しかしこうなってしまった以上はもう後には引けない。不本意だが中華共和国の案に乗っかるしかない。こちらも出来る限りのバックアップはするが、エイジアの手の届かない場所だ。君たちの力で何とか切り抜けてもらわなければならない。出来るか?』

「心得ております。とにかく、これから一旦拠点になる場所を探してまた連絡します」

『解った。今はマスコミを通じての報道がメインだが、ガルメシア軍の動きも活発化してきている。今の所欧州連合は静観しているが、事の成り行きによっては、ガルメシア側に付きかねん。それにI・Hもエイジアの軍事基地を標的にとらえているだろう。もうガルメシアは臨戦態勢だ。とにかく急いでくれ。しかし、失敗は許されん。慎重にな』

 春日の言葉に頷いて通信を切る。

「慎重に急げって、おっさん無茶な事言うな」

 カミュが愚痴をこぼす。それを無視するように氷上はヒロキに話しかける。

「ヒロキ君。どこか隠れて活動できる良い所は無いか? できれば煙突が近ければ申し分ないが……」

 氷上の言葉にヒロキは腕を組んで考える。

「煙突の近くで隠れられる所ですか……」

 ヒロキにつられて他の二人も腕を組んで考える。

「あっ!」

 突然声を上げるユーリ。

「どこかいい場所が有ったのかユーリ?」

 カミュの問いかけにユーリが答える。

「スカイハウスは?」

 カミュとヒロキは納得する。

「ああ、確かに……」

 カミュが頷くと、ヒロキも呟く。

「煙突も近いし……」

 場所が解らない氷上。

「スカイハウス? どこですかそれは」

 その質問に答える氷上。

「私達三人のお家ですよ氷上さん」

 三人の家と言う言葉に氷上は考える。場所としては恐らく三人が言うのだから煙突には近いのだろう。メルキゼデクと出会ったのも煙突だという話は聞いていた。しかし、三人の家族も危険な目に合わせてしまわないかが心配だった。

「しかし、あなた達のご家族にもご迷惑をかけてしまいかねません。それは止めておいた方がいいでしょう」

 氷上の言葉にカミュは答える。

「まあ、大丈夫なんじゃねーかな? なあヒロキ」

「そうですね。家は大家族だから、一人ぐらい増えた所で問題ないだろうし」

「そうそう。家はお客さん大歓迎だから気にしなくても良いですよ氷上さん! ねえメルキおじ様」

『まあそうだが……大変だぞ氷上?』

 メルキゼデクの言葉に疑問を抱きながらも、三人に押し切られる形で氷上はスカイハウスに連れて行かれる。

 そして、連れて行かれて直ぐに氷上はスカイハウスの洗礼を受ける事になる。


「あ! カミュ兄ちゃん達だ!」

 スカイハウスの家の前で遊んでいる子供達がカミュ達三人を見つけ、そして三人に一斉に群がる。

「お帰りユーリねーちゃん! あ、メルさんもいるんだね!」

『おお、元気にしてたか?』

 群がってきた子供達に囲まれながら、四人はスカイハウスに入って行く。

「ただいまカミラ母さん!」

 ユーリの声に振り向くカミラ。

「あら、三人共。どうしたんだい?」

 カミラは三人に話しかけて、更に奥にいるもう一人に気が付く。

「そちらさんは?」

 カミラの言葉に少し悩む三人。

「えーと……そう、従業員として雇ってあげてくれないかなって?」

 ヒロキの言葉に二人が一斉に首を縦に振り同意する。

「そ、そうそう! だってカミラ母さん、いつも人手が足りないって、そう言ってたから!」

 ユーリがそう言うとカミュがさらに続ける。

「もう、なんでもするから働かせてくれって言うから、使ってあげてくれないかなカミラ母さん。丁稚奉公でも何でもするって言ってるから!」

 カミュの言葉に思わず言葉が漏れる氷上。

「い、いや、私はそんな事一言も……」

「いいから! とにかく入って、入って!」

 三人に無理やり家に上げさせられる氷上。

『まあ、ここは三人に任しておくしかないだろう氷上』

 メルキゼデクは明らかに他人事のようにそっと氷上に話しかける。

「ちょ、いや、ま――」

 いつも冷静な氷上がさすがにこの時ばかりは焦っていたようだが、もうその流れに逆らう事も出来ずカミラの目の前で椅子に腰かけてカミラの言葉を待っている。

「まあ、三人が言うんだから変な人間ではないだろうとは思うけど……あんた、名前なんて言うんだい?」

 カミラに聞かれて答える氷上。

「氷上将人です……」

 まだ納得がいっていないようだが、確かに煙突の辺りでぶらぶらと何もせずにうろついていると怪しまれるだけだろう。氷上はそう考えるとようやく開き直る事が出来たようだ。

「氷上さんね。で、あんた何が出来るんだい?」

 カミラの問いに考える氷上。彼は一国を動かすほどの力量を持っていたが、ここではそれは発揮されそうになかった。

「……」

 ため息を吐くカミラ。

「解った、三人があれだけ言うんだからとりあえず置いてあげるけど、いろいろ覚えてもらうよ。いいね?」

「解りました。よろしくお願いします」

 少し三人を恨めしく思いながらも、取りあえず氷上はスカイハウスに置いてもらえることになり、氷上はガルメシアでの拠点を手に入れる事が出来た。


 氷上がスカイハウスに住む事になり、とりあえずその日は氷上の歓迎会が行われた。パーティー等には何度も参加し、各国の要人たちと過ごしたこともある氷上だったが、スカイハウスではそう言う上面だけの会話は殆どなく、子供達の視線は純粋に氷上に対する興味だけだった。

メルキゼデクの時と同じように氷上は質問攻めに合い、その精神を疲弊させていった。そして、氷上の体力と精神力が限界に達する頃ようやく歓迎会はお開きになり、子供達はそれぞれユーリ達に連れられて部屋の中で眠りにつくことになる。そして、ようやく氷上は春日に連絡を取る時間が取れた。

「首相。申し訳ありません連絡が遅くなってしまいまして……」

 氷上の憔悴しきった顔を見て春日は驚く。

『どうしたんだ氷上君? 酷い顔をしているぞ。ガルメシアの防諜組織にでも追われているのか? すまない、今そっちに送れる諜報員は何処も手一杯でいない……』

 春日の勘違いを氷上は正す事はせず、曖昧に返事をするだけにとどまる。

「え、ええ。まあそんな所です。ですが、応援は必要ありません。何とか凌いでおりますので……」

 実際は応援に来られて、こんな姿を諜報員に見られたくなかったので、応援が来られないことに氷上は少し安堵した。

「こちらの事は問題ありません。それで首相、状況はどうなっていますか?」

 話題を変えようと氷上は春日に現状を聞いた。

『ああ、状況はどんどん悪い方に向かっている。明らかに、ガルメシア軍はこちらを牽制するように動きが活発になっている。こっちの諜報員だけでは情報が把握しきれない位にな……それに、もうすでに何人かの諜報員とも連絡が取れなくなってきている』

 春日の言葉を聞いて氷上は少しため息を吐く。状況は氷上の予想を上回るスピードで進んでいた。このままでは氷上自身がガルメシアに捕えられるのも時間の問題だろう。そうなる前に行動を起こさなければならない。

「そうですか……かなり早く事が進んでいるようですね」

『とにかく、君たちは少しでも早く宙へ上がってくれ。簡単な事ではない事は解っている。しかし、もう他に手が無い。君達が我々の切り札だ。このまま戦争が勃発すれば……』

 春日はそこで言葉を切る。そう、ここで戦争など起こってしまえば、これ以降のエイジアの未来は無くなってしまう。それは誰の目に見ても明らかだった。それに、宇宙での抑止力を手に入れる事で戦争自体を回避する事も出来るかもしれない。春日が焦っている理由も氷上には十分に解った。

「解りました首相。拠点も確保できましたので早速情報収集に取り掛かります」

 氷上がそう言うと、春日は頷く。

『氷上、これ以上はそろそろまずい』

 メルキゼデクの声に氷上が頷く。

「首相、これ以上は通信できそうにありません。また連絡させていただきます」

『解った。くれぐれも気をつけてな』

 春日の言葉に頷き、そのまま通信は切れる。

「ありがとうございますメルキゼデク。傍受の心配はありませんね?」

『ああ、それは大丈夫だろう。しかし、最近はかなり煙突の、私の本体の方も活発に動いている。今後も無事に通信できるかは解らんだろう』

 メルキゼデクの言葉に氷上は考える。

「煙突も戦時体制に移行してきている……そう言う事ですか?」

 氷上の言葉に少し考えるメルキゼデク。

『確かにそうとも取れる動きだな……CO2の排出量が煙突の占拠以降活発になってきている。他国のCO2を受け入れての事では無い様だ……恐らく国内、それも五大湖の辺りからのパイプラインが活発に動いているな』

 ガルメシアでの一大生産拠点である五大湖からのCO2排出量が多い事をメルキゼデクは本体に送られてくる情報を読みながら答える。

「五大湖ですか……確かに戦時体制に移行しているのかもしれませんね……」

 氷上はメルキゼデクの言葉に考え込む。

「なんにしてもあまり時間は無いようですね……早速明日から動き出しましょう。メルキゼデク、お願いします」

『解っている。だが、戦争回避の為にしか動かんからな』

「解っています。ジュピトリスと上手く交渉が出来れば、宇宙での抑止力を手に入れる事になります。そうなれば戦争は回避できるでしょう」

『そうなってくれればいいがな……』

 メルキゼデクは少し不安そうに呟く。

「とにかく、今日はもう寝ましょう。明日からはカミラさんの手伝いをしながらの諜報活動です……」

 氷上はそう言いながら自分の運命を呪った。

『ある意味、それの方がよっぽど辛いやも知れんな……』

 氷上はため息を吐きたい気分だが、それもやめ、自分にあてがわれた部屋に入り、そのままベッドに横たわると深い眠りに落ちていく。


 朝眼が覚めると、なんだか良い匂いがしてくる。いったい何の匂いだろう。そう思い、身支度を整えてキッチンに向かう。

「おはようございますカミラさん」

 そこには昨日来たばかりの氷上がネクタイ姿にエプロンをつけて台所に立っていた。

「ああ、おはよう氷上さん。あんた料理できるのかい?」

「ええ、一人暮らしが長かったですからね。料理位は出来るようになりました」

「へぇ~。じゃあ、ちょっと味見させてもらおうかね~」

 カミラはそう言うと、鍋で煮こまれたスープを一口飲む。

「なんだ、美味いじゃないか! これからはあんたにご飯は作ってもらおうかね」

 椅子に腰かけて氷上を見るカミラ。その手際は一切の無駄がなく、次の工程の為の下準備もすべて終わらせているため、どんどんと料理が仕上がって行く。

 見る見るうちに、テーブルの上には料理の盛られた皿が並べられていく。

「今日は和風で纏めてみました。まさか、ガルメシアで味噌や醤油が有るとは思いませんでしたから、思わず和食にしてみました。出汁巻き卵に、ホウレンソウのお浸し、肉じゃが、後は豆腐とワカメの味噌汁に、炊き立てのご飯です。カロリーは一人当たり600キロカロリー、一食当たり2ドル45セント。一日の必要な栄養素の……」

「ああ、解った、解ったよ。そこまでは気にしなくても良いから。いちいち、そこまで計算してやった事なんてないんだから」

「しかし、経営状態と育ち盛りの子供達の事を……」

「解った、解った。とにかく氷上さん、ご飯が出来たなら子供達を起こしてきておくれ」

 カミラにそう言われると、氷上は頷き、子供達を起こしに行く。暫く立って、眠そうな子供達が眼をこすりながら食卓に着く。

「おはようカミラ母さん……」

「おはよう。さあ、早くご飯食べて学校に行きな! 今日のご飯は氷上さんが作ってくれたんだ、有難く頂くんだよ」

 カミラの言葉に子供達は全員驚く。一瞬ワイワイと騒がしくなるが、カミラの一括でまた静かになり黙々と食事をとる子供達。そして、食べ終わると、全員学校に行く準備を始め、一斉に学校に出かけていく。まるで嵐が去った後の様に一瞬にして静けさが訪れる。

「……いつもああなのですか?」

 氷上の言葉にカミラは返す。

「ああ、そうだね~。あの子達がいなくなってからはもっと大変だったよ。まあ、あの子達があんたを連れて来てくれたから結果的には助かったけどね。さあ、私達もご飯食べるよ。それと、居候三人も起こしてきておくれ。あの子達にもここにいる間は手伝ってもらわないとね!」

「解りました」

 そして氷上は三人を起こしに行き、三人も眠たそうな顔でカミラに挨拶をする。

「おはようカミラ母さん」

「ああ、おはよう三人共。さあ、さっさとご飯食べちゃっておくれ。氷上さんの作ったご飯だよ」

 カミラの言葉に三人は氷上の方を見る。そして、氷上の姿を見て驚く。

「氷上さんがエプロン!?」

 いつも冷静な氷上の家庭的な姿に三人は驚きと共に、笑いが込み上げてきた。ひとしきり笑った後、ようやく落ち着いた三人を見て氷上は呟く。

「早くご飯を食べて下さい」

 あくまでも冷静な氷上だが、どこかその言葉は刺々しくも感じた。

「しかし……氷上さんほんとに料理なんてできるの?」

 カミュの言葉に、ユーリも続ける。

「ほんとにこれ氷上さんが作ったの? 私だって料理できないのに……」

 最後の方は声が小さくなっていくユーリ。その隣でヒロキは目の前のご飯を食べる。そして、ヒロキは氷上に一言いう。

「氷上さん、納豆は無いんですか?」

 ヒロキは日本で食べた納豆が気に入ったようで、もう一度食べたいと思っていたようだが、さすがにガルメシアには納豆は無かった。

「すいません、さすがにそこまでは無いようです」

 氷上の言葉にヒロキはがっかりするが、他の二人は納豆と聞いて少しうんざりした表情だ。

「ヒロキはよく納豆なんて食べられるよな?」

 カミュが言うと、ユーリもそれに続く。

「私もあの匂いはちょっと……」

 五人はそんな会話をしながら食事を続ける。

「さあ、氷上さん。ご飯が終わったら洗濯だよ。あんたたちもここにいる間は手伝ってもらうからね!」

 カミラは四人の返事を聞くまでもなく、自分の食器を片付け、さっさと自分の仕事に向かう。

「氷上さん」

 ヒロキが氷上に話しかける。

「どうかしましたか? 味噌汁の出汁なら、いり……」

 氷上の言葉を途中で遮るヒロキ。

「いや、そうじゃなくて!」

「? では、何ですか?」

「いやいや、氷上さん。あんたの目的はここで働く事じゃないでしょ?」

 カミュの言葉に氷上は頷く。

「解っています。しかし、カミラさんの目をかいくぐって煙突の様子を伺うのはかなり難しそうですね……」

 四人は考え込む。

「とにかく、四人で何とか時間を作りながら交代で煙突の侵入ルートを見つけないとね……」

 ユーリの言葉に頷く三人。

「解りました。申し訳ありませんが、よろしくお願いします」

 氷上はそう言うと、少し頭を下げて食事を続ける。



 それから四人は、それぞれの仕事を交代で続けながら、煙突の侵入ルートを探す為に煙突の周りを歩きながら見て回っていた。

「なかなか、侵入ルートが見つかりませんね……メルキゼデク、あなたしか知らないルートは無いのですか?」

 氷上の言葉に少し考えるメルキゼデク。

『うーん……正直、あまりそう言うルートは考えた事が無い。ロボットの目は私が制御すればなんとでもなるが、人間の眼はな……』

 メルキゼデクの言葉を氷上は冷静に受け止める。確かにロボットだけであれば何とでもメルキゼデクは出来るのだろう。しかし、人間の、それも訓練された軍隊の目を掻い潜って煙突に潜入するのはかなり難しいかもしれない。訓練された諜報員ならそれも可能かもしれないが、いくら頭が切れる氷上でも、そういう能力には長けていない。

「もう少し時間をかけて探すしかないでしょうね……」

 しかし、刻一刻と事態は深刻になってきている、あまり時間は無いだろう。氷上はその事に焦りを覚えてもいたが、ここで無理にでも侵入して捕まってしまえば計画自体が総て崩れてしまう。なんとしてでも、リングポートまでたどり着いて、ジュピトリスと接触しなくてはならなかった。

「取りあえず、一旦帰りましょう。あんまりスカイハウスを離れるとカミラさんにも怒られてしまいますしね」

 カミラが大きな声で怒鳴り散らす姿を想像して氷上もメルキゼデクも背筋が少しゾクゾクとしてしまい、足早に煙突から立ち去った。そして、スカイハウスに帰った氷上とメルキゼデクはあまりにも帰りが遅い事をカミラに怒られるのだった。

 

 その夜、氷上は春日に定期連絡を入れる。

「首相、状況はどうなっていますか?」

 氷上のいる場所では、あまり情報は入って来ない。諜報員からの情報は、日本に直接届けられ、それを春日経由で氷上が知る事になる事がほとんどだ。

『氷上君、かなりまずい事になりつつある』

 かなり焦った様子の春日。春日の苦虫を噛み潰したような表情を見るだけでも、事態は深刻な状態になりつつあることが読み取れる。

「いったに何があったのですか?」

 氷上の言葉に、春日は少し低いトーンで話始める。

『実はな、ガルメシアの太平洋艦隊が、オーストラリアを発った事が諜報員を通じて連絡が入った』

 さすがにその言葉に氷上は驚きの表情を隠せなかった。

「太平洋艦隊が……ですか?」

『ああ、そうだ。太平洋艦隊の全戦力が投入されたわけでは無い様だが、それでも、かなりの規模だ。情報によれば、飛行空母一機、空母二隻、レールガン搭載戦艦二隻、イージスミサイル巡洋艦五隻、ミサイル駆逐艦十隻、その他護衛艦、補給艦が多数だ。これだけの戦力、エイジアの現有戦力の半数を割いても太刀打ちできるかどうか……』

 春日の顔はその色を失い、白くなってきていると言っても良いだろう。この戦力はそれ程莫大な戦力なのだ。エイジア加盟国の一国位なら容易にその戦力を、いや国さえも壊滅できる程の戦力を有している。特に、飛行空母はかなり厄介で、その能力はかなり高い。航続距離は空中で補給を行えばほぼ無限大。更に、それ自体が空中要塞の様に機能するだけでなく、その巨体の中には艦載機は五十機以上保有しており、空中での航空機の離発着が可能だ。それだけでもかなりの戦力だが、更に、艦隊とは別に、必ずそのさらに上空にはインビジブル・ハンマーが控えている事は確実だ。

「拙いですね……」

 氷上もその重大性を十分認識していた。なんとしても、ジュピトリスに接触しなくてはならない。

『氷上君、事は急を要す。とにかく一刻も早くジュピトリスに接触してくれ! 頼んだぞ』

 春日の言葉に氷上は表情を曇らす。

「解りました……何とか軌道エレベーターに乗り込みます。もう少しお持ちください」

 頼むぞ。春日はそう言うと通信を切る。

「メルキゼデク。聞いていましたね?」

 氷上はメルキゼデクに話しかける。

『ああ、聞いていた。どうするんだ?』

 考え込む氷上。実際もう時間はあまりない。海面が下がっている事から座礁を恐れて恐らく、それ程スピードは出せないだろう。しかし、それでも五日程度の時間しかないだろう。五日後には恐らく戦闘は始まってしまうだろう。そうなってしまえば何もかもが遅くなってしまう。それに今のエイジアでは恐らく太平洋艦隊に立ち向かう事は出来ないだろう。秘密裏にアフリカに向かっている戦力がもうかなりいるはずだ。その戦力を呼び戻しても恐らく同等位の戦力だ。しかし、今それを呼び戻して太平洋艦隊を退けたとしても、もうエイジアには後がなくなってしまう。

 何とか戦わずして太平洋艦隊を退けなければならない。

「メルキゼデク、あなたの能力で煙突の機能を一時的に止める、若しくは、システムに異常をきたす事はできますか?」

 メルキゼデクは少し考える。

『可能だ。しかし、それは一時的な物だろう。部分的に手動に切り替えられれば私では操作が出来なくなるからな』

「どれくらいの時間が稼げますか?」

 また考えるメルキゼデク。

『そうだな……せいぜい十分と言ったところだろう……』

 今度は氷上が考える。そして、徐に口を開く。

「解りました。では、明日の夜決行します。よろしいですね?」

『そんなに急にか? ここの事はどうするんだ?』

 メルキゼデクは驚くが、それでも、その言葉は妥当な所だろうと納得もしていた。

「黙って出て行きますよ。これ以上迷惑はかけられませんからね」

『ユーリ達には?』

「もちろん黙って行きます。彼らは十分に良くやってくれました。これ以上国同士のエゴに付き合わせる訳にはいかないでしょう」

『そうだな……』

 二人は暫く黙ったままだ。

「あなたにはもちろんついてきて貰いますよ、メルキゼデク」

『仕方ないな。乗りかかった船だ、ついて行ってやるよ』

「頼りにしていますよ、メルキゼデク」

 氷上はそう言うと、少しその表情を緩ませる。

『ああ、任せておけ』

 二人はそう言うと、お互い少し声に出して笑いあう。


「おはよう氷上さん。相変わらず早いね~」

 カミラに声を掛けられる氷上。

「おはようございますカミラさん。もう少しで朝ごはん出来上がりますからお持ちください」

 氷上の言葉に頷くカミラ。

「今日の献立はなんだい?」

 カミラの言葉に返す氷上。

「今日は洋風で纏めてみました」

 そう言って氷上は食卓に皿を並べだす。そこにはベネディクトエッグにサラダ、それにオレンジジュースが並べられている。

「相変わらず、手の込んだ料理だね」

「恐れ入ります」

 氷上はカミラに言葉を返す。

「本当に、あんたが来てくれて随分と楽になったよ。まあ、どこかでサボる癖さえなければ、もっといいんだけどねぇ~」

 カミラはそう言うと、氷上は表情を変えずに少しだけ俯き、料理を続ける。

「さて、じゃあ私は子供達を起こしてこようかね~」

 そう言うとカミラは立ち上がり、食堂から離れ、それ程遠くない所でカミラの大きな声が聞こえる。いつもの朝だ。その何も変わらない穏やかな日常に氷上は少し表情を暗くする。

『氷上……良いのか?』

「何がですか?」

『今夜の事だよ』

「良いも悪いも有りませんよ。私は自分のやるべきことをするだけです。もうこれ以上私がここにいる意味はありませんよ。それに……いえ、なんでもありません」

 少し言葉を濁らす氷上。

『そうだな……』

 暫くすると、子供達が眠そうな目をこすりながら食堂に集まってくる。

「おはよう氷上さん」

「おはようございます。食事は出来ていますよ。早く食べて、学校に行く準備をしてください」

 子供達にそう言うと、氷上は残りの食事を作り、全員が揃ったところでワイワイと朝食を食べ始める。それを眺めて少し表情を緩める氷上。食事が終わり、子供達に学校に行く準備をさせ、子供達を見送ると今度はカミュ達が降りてくる。

「おはようございます」

「おはよう氷上さん……」

 大きな欠伸をしながら返事するカミュ。それに続いて、他の二人も食卓に着く。カミュ達三人と、カミラと氷上は朝食を摂る、それを食べ終わるとカミラは洗濯にでも行くのか、立ち上がって食堂から出て行く。それを見送る四人。そして、完全にカミラが部屋から出て行くのを見送ると、ヒロキが氷上に小声で話しかける。

「今日はどうするんですか?」

 ヒロキの言葉に、他の二人も氷上を見る。

「今日は何もしません。最近カミラさんによく怒られますからね。少しはまともに働かないと追い出されてしまいそうです」

 氷上の言葉に三人は頷く。昨日もカミラが氷上とメルキゼデクを叱っていたのを聞いていたからだ。

「確かにそうだな~、たまには真面目に働かないと、またカミラ母さんに怒られちまうもんな」

 カミュの言葉に全員頷く。

「ええ、ですから今日はお休みします。ですから皆さんもカミラさんの手伝いをしてください」

 氷上の言葉に皆が頷き、全員が食卓を離れ、それぞれに与えられた仕事をこなす為に動き出す。それを氷上は見送り、全員の食器を洗い、それが終わると掃除と洗濯をこなしていく。

 その日はカミラの怒鳴り声は聞こえる事無く、全員がサボる事も無く働いていた事で、カミラは終始笑顔だった。そして、子供達が眠そうに眼を擦りながら全員が部屋に戻り、それを見送るカミラと氷上。暫く、カミラと話をして二人も眠りにつく。

 そして、全員が寝静まっただろう時間を見越して、氷上は眼を開ける。

「メルキゼデク。全員寝ましたか?」

『ああ、全員寝ているようだ。もう大丈夫だろう』

 その言葉で氷上はベッドから起き上がり、身支度を整える。そして、いつものスーツ姿に着替えると、音を立てない様に部屋を出る。そして、静かに全員が寝静まっている部屋の前を通り、玄関を開けスカイハウスを出ると、闇にまぎれるように一路煙突を目指す。


 煙突の周りは煌々と照明が照らされ、夜だというのに昼間の様に明るかった。それを少し離れた所から見つめる氷上。距離にして約三百メートルと言う所だろう。煙突の周りには有刺鉄線が張り巡らされ、更にセンサーを配置して、総ての者の侵入を拒んでいた。

「さすがに夜でも警備は厳重ですね……」

 暫くそれを見続けていると、背後に気配を感じ、氷上はさっと身を隠す。しかし、その動作が解ったのか、氷上の方にまっすぐに近づいて来る複数の気配。明らかに、こちらに人がいる事が解って澱みなくこちらに向かってくる。氷上は、目の前の障害をどう始末するか、一瞬で何パターンかのシミュレーションを行い、隠し持ったナイフを手に取る。

 そして、その姿が目に入ると、一瞬でその姿の間合いに入り、ナイフを首に突き立てようとするがそこで、氷上は姿を見て手が止まる。


「わ、ちょ、ちょっと! 氷上さん俺だよ俺、カミュだよ!」

 しっかりと姿を確認する氷上。そこには、カミュ、ユーリ、ヒロキの三人が立っていた。そして、三人に話しかける。

「あなた達……どうしてここへ?」

 少し腰を抜かしたようにへたり込むカミュが口を開く。

「全く! いきなり、ナイフなんか突きつけてこないでくれよ。死ぬかと思ったぜ……」

 その言葉を無視して、少し殺気を放ちながら氷上がもう一度問いかける。

「なんでここにいるのですか? まだ間に合います。早く帰りなさい」

 少し強めに言う氷上。しかし、それに怯む事も無くヒロキが答える。

「なに、氷上さん一人だと心配なだけですよ」

 ヒロキの後にカミュも続く。

「そうそう、それに今までいろいろやらせといて、ここで終わりなんて酷いんじゃない?」

 そして、ユーリも口を開く。

「それに、それ私の端末ですからね? 勝手に持って行かれたら困りますよ。返してくれないなら、私もついてきますからね。持ち主の正当な権利として」

 冷静に三人の言葉を聞いていた氷上だったが、三人が話す言葉を聞いて少し怒りを含んだ声を出す。

「あなた達、解っているのですか? 死ぬかもしれないのですよ。それに、カミラさんや子供達にも迷惑が掛かるかもしれません。それを解ってやっているのですか?」

 三人は氷上の言葉を聞いて笑う。

「まあ、カミラ母さんなら大丈夫だろう。それに、俺達がいないと宇宙に行った時に困る事になると思うぜ? なあ」

 カミュの言葉に後の二人も頷く。その言葉の意味が、氷上は解らなかった。

「迷惑はかけませんよ氷上さん。自分の面倒は自分で見ますから。まあ、宇宙に上がったら、俺達が氷上さんの面倒見る事になるかもしれないですよ?」

 ヒロキも氷上にそう言う。氷上は何が何だか分からなくなってきたが、まあ、遊びで付き合う訳ではない事は解ったようだ。

「解りました。とにかく、これから煙突に侵入します。あなた方は私の後に続いて下さい」

 氷上の言葉に顔を見合わせる三人。

「氷上さん、俺達は堂々と煙突に入れるから気にしないで」

 ユーリの言葉に氷上は怪訝な顔をする。

「俺達こう見えても煙突公社の人間だから、まあ、簡単なチェックだけで入れるから」

 カミュの言葉に言葉を失う氷上。暫くして気を取り直してようやく口を開く氷上。

「では、なぜ一緒になって侵入ルートを探していたのですか?」

 氷上の言葉にカミュは答える。

「へ? だって、氷上さんの侵入ルートを探してたんでしょ? 俺達は何もしなくても入れるから。そうじゃなかったの?」

 思わず頭に手をやる氷上。

「そうでしたね……」

「あ! そうだ! ねえ、メルキおじ様?」

 ユーリの言葉にメルキゼデクが反応する。

『なんだユーリ?』

「私達にやってくれたように氷上さんも煙突公社の職員に出来ないの?」

 氷上以外が全員「あ……」と言う言葉を出す。

『や、やっとそこに気付いたか……もちろんできるぞ? お前達が、気が付くのを待っておったのだが』

「嘘つけおっさん、あんたも気が付かなかったんだろ?」

 カミュの言葉に慌てて否定する。

『そ、そんな訳無いだろ? もちろん、ちゃーんと気が付いておったぞ? ま、まったく、お前らは気が付くのが遅くて困るのう~』

 意味が解らない氷上。そこでユーリが今までの経緯を説明する。

「まさかメルキゼデクを使った裏口入社ですか……まあ、この際なんでもかまいません。メルキゼデクお願いできますか?」

 少しあきれ顔で言う氷上。

『さあ、終わったぞ。ただ、氷上だと、まずいから名前は偽名を用意した。今からお前は、田中一郎だ』

 メルキゼデクの言葉に頷く氷上。そして、いよいよ行動に移す。

「では、メルキゼデク。少し予定は変わりましたが、良いですね?」

『ああ、では今から煙突の機能を停止させる。恐らく直ぐに煙突公社に連絡が行くはずだ。その連絡を氷上の方に流すようにするから上手くやれよ?』

「解りました。では、お願いします」

『では』

 メルキゼデクが黙り込む。恐らく、総ての処理を煙突の制御の方に回しているのだろう。そして、少ししてまたメルキゼデクが話しかける。

『終わったぞ。恐らくもう動力が落ちるだろう』

 メルキゼデクの言葉が合図になったように、突然煌々と照らされていた照明が一斉に消えだす。それに合わせて、中で警戒していたガルメシア軍が騒ぎ出す。

「どうした! 何事だ?」

「解らん! とにかく、テロの可能性もある、警戒を怠るな。それと、早く予備電源を入れろ!」

「ダメだ! 予備電源も回路が切断されてる!」

「なんだと!? とにかく、煙突公社の人間を呼べ!」

 ガルメシア軍は相当の慌てようだった。そこに、氷上達四人が現れる。

「緊急事態と聞いて駆け付けてきました。煙突公社の田中です」

「おお? やけに早いな? まあいい、とにかく直ぐに何とかしてくれ!」

 入口のMPと書かれた腕章を付けた軍人に話しかけ、氷上は他の三人を連れて中に入って行く。そして、MPに連れられてコントロールルームに案内される。そこで、氷上とユーリ達は忙しく動いているように見せかけ、一通り見たふりをすると、氷上がMPに向かって話しかける。

「ここでは、駄目なようです。幸い、軌道エレベーターはまだ動かせるものが一機残っています。直ぐにでも、それに乗って、上に上がらなくてはなりません!」

 氷上の言葉に慌てるMP。

「いや、しかし軌道エレベーターは俺の一存では今は動かせなくなってる。上司に許可を取らないと……」

「そんな悠長な事を言っている場合ですか! 今すぐにでも上に行って修理をしなければ大変な事になるのですよ! 煙突がもし破壊されたらあなた責任とれるのですか?」

 氷上は演技がかった感じでMPに詰め寄る。それを見ていた三人は内心笑いがこみあげてきそうだったが、それを抑えて真剣な表情をしていた。

「し、しかし……」

「だったら、直ぐに連絡してください! 今ここで!」

「わ、解った。ちょっと待ってろ」

 氷上の圧力に押され、MPは連絡を入れる。そして、呼び出している途中で、氷上はそれを取り上げ、呼び出しを切り、いかにも連絡が取れた様に一人で話を始める。

「あなたが、煙突警備の責任者ですか? 私、煙突公社の田中と申します。煙突の不具合を修理する為に、軌道エレベーターに乗って上まで行かなくてはなりません! ええ、そうです。はい、解りました。ご協力感謝します」

 そう言って、電源を落とすふりする氷上。

「たった今、あなたの上司の許可は取れました! これで文句は無いでしょう! さあ、早く私達を案内して下さい!」

 さらに捲くし立てる氷上。

「ああ、解った。付いて来い」

 MPの後ろに氷上、その後ろにカミュ達が続く。急いで軌道エレベーターに向かっている時にカミュが二人に小声で話しかける。

「完全に氷上さん完全に悪乗りしてるよな?」

 それに頷く二人。その声が聞こえたのか、氷上は三人の方をにらみ、一つ咳払いをする。そして、軌道エレベーターに着くと、直ぐに四人はそれに乗り込む。

「ご苦労様でした」

 氷上はそう言うとMPを後ろから殴りつけ気を失わせる。

「さて、行きましょうか。メルキゼデク。頼みます」

 倒れ込むMPを見てカミュは呟く。

「ひでーな……」

 それに二人も同意する。

「あなた達、何やっているのですか? そのMPを縛り上げて、隣の起動エレベーターにでも乗せて下さい。それが終わったらさっさと行きますよ。時間が無いのですからね」

「へいへい。ヒロキ、ロープ持ってきてくれ」

 ヒロキにロープを手渡され、それで少し緩めに縛り上げるカミュ。それが終わると、二人で軌道エレベーターに運び、入り口をロックする。

「終わったよ氷上さん」

 軌道エレベーターの中で準備をしていた氷上に声を掛けるカミュ。

「解りました。直ぐに出発します。席に着いて下さい。かなりのスピードが出ますから、しっかりとシートベルトを締めて下さいね」

 そう言うと氷上自身もシートに腰掛け、シートベルトを締める。

「準備は良いですか? 時間が有りませんので、通常の倍のスピードでお願いしますメルキゼデク」

『ああ、わかった。だが、かなり衝撃が有るからな、覚悟しておけよ。では、行くぞ』

 メルキゼデクの合図と共に、軌道エレベーターは一気に打ち上げられる。その瞬間、中の四人にかなりのGが掛かり、苦しそうな表情を見せる。

「氷上さん……こんなスピードで……行く必要あるんですか……」

 苦しそうに話しかけるユーリ。その表情はかなり辛そうだ。

「もう時間が有りません……これでも……かなりギリギリです……喋っていると……舌を噛みますよ……」

 いつも冷静な氷上が今ばかりは表情が辛そうだ。

『大丈夫か? 少しスピード落とそうか?』

 メルキゼデクの言葉に、氷上は驚きの言葉を返す。

「いえ……予定通りスピードを上げて下さい……」

 その言葉を聞いた三人は絶句する。

『解った。ではスピードを上げるぞ』

 すると、直ぐにスピードは上がり、カミュ達は、悲鳴を上げるが、暫くすると気を失ったのかその声も聞こえなくなった。




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