女の子大好きな女の子
「でねー、私の彼氏なんだけどー」
「うんうん、なになに?」
楽しそうに会話をしながら、渡り廊下を歩く女子高生二人。
それを私、清水鏡華は庭に設置されているベンチに座って眺めていた。
「――なぁんか、怪しい奴がいるな。通報するか?」
「んー?」
聞き覚えのある声をかけられたので、振り向く。そこには予想通りの人物が立っていた。
私を見て呆れている雰囲気を感じるのだけど……なぜ?
「心外だね。私はベンチに座っているだけだよ? 単なる想像でものを言うのは感心しないなぁ。あと通報だけはマジでやめてください」
「はっ! 女子を見てニヤニヤしている奴は、どう見たって怪しいだろ」
「ちぇっ……真吾はわかってないなぁ」
朝倉真吾。
私の幼馴染で、よくこうして私の邪魔をしてくる。
「女の子を見たい。眺めたい。視姦したい。そう思うのは当然のことでしょ?」
「んな訳あるか。特に最後はアウトだからな」
「ハンッ! これだから真吾はダメなんだよ。ダメダメだよ」
「無性にむかつくなお前……ったく、妹にはそれやんなよ」
「保証はしないよ。澪ちゃんは可愛いからねぇ。嫁にしたいくらい……おっと、噂をすればなんとやらだね」
私の視線を追って、真吾も同じ方向を見る。そこには、腰辺りまで伸びた髪を揺らして近づいてくる女の子がいた。
彼女こそが先程の話に出てきた真吾の妹、朝倉澪ちゃんだ。
その後ろに二人、見知らぬ人物がいるけど、澪ちゃんのお友達かな?
「鏡華さん。またやらかしていたの?」
まさかの開門一番から疑われる私。悲しくて泣きそうになるわぁ。
「いやいや、兄妹揃って私を疑うのやめよ? 違うからね?」
「嘘つけ。澪の判断が正しい」
……てめぇ真吾ぉ。
ギロッ、と睨むも、野郎は何ともない風に受け流す。
「はぁ〜ぁ、それで澪ちゃん。後ろの二人は誰?」
兄妹が「女の子を視姦していた」と言わずに少し誤魔化していたのは、後ろに付いていた女子高生がいたからだ。
そこら辺は私の尊厳を守ってくれているからありがたいんだけど、どうせならそのままスルーして欲しいよ。
「この子達は部活の後輩です。是非とも鏡華さんとお話がしたいと懇願されたので……お昼休みならここにいるかなぁ、と」
「は、初めまして! 三嶋心音です!」
「野上由紀です。よろしくお願いしますわ」
なんと、澪ちゃんの後輩でしたか。
心音ちゃんは恥ずかしがり屋なのか、名前を言ったら由紀ちゃんの後ろに隠れてしまった。
それでも私は見逃さなかったよ。
心音ちゃんのおっぱい! でけぇ、揉みてぇ!
「おいこら」
真吾私の内心を読んで注意をいれてくる。危ない危ない。暴走するところだったぜぃ。
由紀ちゃんは長い黒髪で、見るからにお淑やかって感じがする。親しそうにしていることから、二人は友達なんだろうな。
なんにしても澪ちゃん。可愛いの連れてるね。私にくれよ。
「……お前って、なんでそんなに人気あるんだ? 特に女子に」
真吾がジト目で見てくる。
「さぁ?」
私は普通に女の子と接したいから色々な子に話しかけてるけど、それが理由じゃないだろうし……まぁ、向こうから寄って来てくれる分には問題ない。むしろラッキー。
「……あれ? 由紀ちゃんは……初めてじゃないよね? たしか、一回だけ食堂で話したかな」
「まぁ、覚えていてくれたんですか? あの時は助かりました。ありがとうございます」
そう、五月ごろに食堂で困っているめちゃくちゃ可愛い子がいたから、チャンスを逃すまいと思って近づいたんだっけ。
そうか、あの時の子が由紀ちゃんだったのか。
「気にしなくていいよ。かわい――困っている子がいたら助けるのが、先輩の役目だから」
あっぶねぇ、本心が出るところだった。
「それでお話だっけ? いいよ。ちょうど私も暇だったし」
「…………」
真吾が疑惑の視線を向けてくるけど、無視だ。
「……さ、ここじゃなんだから、もっと広い場所に行きましょうか」
「「はいっ!」」
心音ちゃんと由紀ちゃんが元気に返事して私の後に付く。
「これが悪魔の囁きなんだよなぁ……」
うるさいぞ真吾。
「兄さん、私達が頑張るしかないんですよ」
酷いな澪ちゃん。
私だって初対面の子に失礼はしないよ……多分。
自重をして、時には兄妹に止めてもらいながら、私達は楽しいひと時を過ごしたのだった。
タイトルが適当?
そんなことはありませんよ……多分。