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プロローグ

「シバタさんの異世界奮闘記」という小説を書いておりましたが、ここ数ヶ月体調がいまひとつ優れなかったことと、極度のスランプが重なり筆が進まない中で、別な話が浮かんでしまい、筆の進みそうなうちに上げてしまうことにしました。

日本に限らず、様々な理由で廃線になる鉄道路線は洋の東西問わず数多ある。

今ここに、役目を終えて廃止になろうとしている路線があった。


この地の電鉄会社が運営する所謂ローカル線、港町線。


今はJRと名を変えたこの地域を貫く幹線と、その幹線の建設の際にルートから外れてしまった港町を結ぶ路線がルーツの地元資本による私鉄である。


第二次大戦後のモータリゼーションの波は、この地域にも容赦なく襲い掛かり、その時代、この会社も鉄道事業の廃止を提案したことがあり、地元の猛反発の前に方針転換してどうにか鉄道を維持してきたものの、バブル経済崩壊以降の地域経済の地盤沈下はこの小さな鉄道会社の屋台骨をも大きく揺るがした。


もとより、この会社において鉄道事業が会社全体における収益の割合は、同社の他の事業に比べれば微々たるものではあったものの、涙ぐましい合理化によって鉄道事業そのものは何年かは黒字、悪くても収支トントン…という状況だった。しかし、バブル崩壊以降のバスや不動産事業の業績の急激な悪化は会社の存続そのものを揺るがしかねない状況に陥り、余剰な土地の売却や事業の切り売りでどうにか命脈を保っていたものの、とうとう首が回らない状況になり、鉄道を廃止してバスに転換する…という選択を採らざるを得なくなった。


平成になって以降だけでも、バブル経済崩壊による地方経済の地盤沈下は地域によって差はあれども、行政や地元の有力企業、金融機関などの頑張りだけでは如何ともしがたく、惜しまれつついくかの鉄路が消えていった。





…多少の遅延はあったものの、最終列車の運転まで無事に終え、全ての車輌がこの車庫に集められたところで、一人感慨に耽る初老の人物がいた。


長岡宏、この鉄道の車輌のお守を預かる車両区長、いわば工場長とも言える人物である。


もちろん、残務処理とか仕事はこれからもまだまだあるものの、集められた車輌が「列車」として走ることはもう二度とない…


少なくとも彼は、この段階では当然そう思っていた…。

最後までお読みいただきありがとうございました。続けて第一話もどうぞ。

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