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執事とお嬢様の魔法五重奏《マジカルクインテット》  作者: 幻馬
第二章 セントリア魔法貴族院
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放出、現出、付与

「『風よ、盾となり、我が身を守れ』」


目の前に風の盾が現れる。


「では……ビスコッティさん。私に魔法を放ってみてください」

「は、はい! 『土よ、矢となり、その力を示せ』!」


ビスコッティが土魔法を放つ。

が、その魔法は風の盾にかき消され、俺にあたることなく消えてしまった。


「「「おぉ……」」」

「これが現出系です。魔法を放出するのではなく、留めるイメージですかね」


生徒たちから感嘆の声が上がる。

この系統の魔法の特徴は魔力を流している間は魔法が一定の効力を発揮し続けることだ。

放出系とは違い、今みたいに盾を作ったり、土で壁を作ったり、防御的な使い方ができる。


「では次に……『風よ、我が脚に纏いて、その力を宿せ』」


詠唱と共に俺の足に小さな風が渦巻き、俺の体が少し浮く。

使う機会の多い魔法だ。


「これが付与系ですね。自分の肉体だけではなく、触媒にしているタクトや別の武器などに魔法を宿すことが出来ます」


風魔法を付与すれば素早く動けるし、土魔法を付与すれば傷を癒したり、身体能力を向上させることが出来る。

タクトに付与魔法を使うメリットはあまりないが……武器に付与して、魔法それぞれの特性を与えることができる。


「他にも色々種類はありますが……まずは、自分が得意とする魔法の属性、そして魔法の系統を正しく理解する必要があります。例えば、ジスト君。君は、放出系よりも現出系の方が得意のようですね。土魔法よりも、水魔法を重視したほうが良さそうです。ビスコッティさんは付与系の魔法を目指したほうがよいでしょう。魔力の質が付与系寄りです」


苦手な魔法を延々練習するより、まずは得意な魔法を身に着けてから練習したほうが効率が良い。

放出系が得意な生徒もいるが、他の系統が得意な生徒も少なくない。


「では、これから皆さんにそれぞれ私の所見を伝えます。それを踏まえたうえで、各自練習に移ってください」



他の生徒に所見を伝え終え、あえて一番最後にしていたエメラダの所へ向かった。

エメラダは修練場の端で一人、手持ち無沙汰にタクトを回していた。

……やはり、浮いてるんだな。


「エメラダ様」

「……なんですか」


ついに来やがった、と言うような顔でこちらを見てくる。

そんな顔をされても、エメラダの所だけ行かないという選択肢はない。


「先ほどの場で私に魔法を打ってこなかったのはエメラダ様だけですよ」

「気づいてた、ですか」

「何か、理由でも?」


俺はまだ、エメラダの魔法を見たことがない。

さっきの場でも使うどころか、使おうとさえしていなかった。

理由があるのは間違いないが、どういう理由なのかは分からない。


「…………」


が、エメラダは沈黙したままだ。

……クラスメイトがいるここでは言えない、という事だろうか。


「分かりました。放課後、この修練場でお待ちしております」

「……は?」

「家の方には私が連絡しておきますから」


それだけ伝えて、他の生徒の指導に移る。

言いたくないのなら、言える環境を作ってやればいい。

エメラダなら来てくれるはずだ。


「レオン……お人よし過ぎ、です」

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