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執事とお嬢様の魔法五重奏《マジカルクインテット》  作者: 幻馬
第二章 セントリア魔法貴族院
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仕事内容

「ここまででいいわ。見送りご苦労様」

「ふふっ。また放課後にね、レオン」

「行ってくる、です」

「「「行ってらっしゃいませお嬢様方」」」


それぞれの主をセントリア魔法貴族院正門で、俺とロジーナ、それにエメラダの侍女エマの三人で見送った。


「……貴方、随分とソフィアお嬢様に好かれているのね」

「ハッ! もしかして主と使用人の禁じられた関係だったりしますか!?」


エマが息を荒くしてメガネを曇らせている。


「そういうのじゃないので安心してください」


ちゃんと話すのは今日が初めてだけど変わった人だな……

そういえば、送り届けた後の仕事内容を聞かなかった。


「ロジーナさん、この後の予定は?」

「……フォルツ商会で備品の注文、手紙類の発送くらいかしら」

「私は一度お屋敷に戻って清掃をする予定です!」


なるほど。各々仕事があるようだ。


「ちなみに、オスカルさんって普段この後どんな仕事を?」

「……オスカル様は本当に数えきれないほどの仕事をしてるから」

「贈答品のチェックをしていたと思ったら私たちの指示出しに来たり、その半刻後には屋敷にいなかったり。分身でもしてるんですかね?」

「……魔法を使っている気配は無いから、恐ろしく手際がいいだけなんでしょうけど」


確かに、彼が魔法を使っている気配を出したことは一度もない。

が、何らかの魔法を使っているのは先日の問答でハッキリしている。

一流の魔法の使い手は相手に魔法の気配を悟らせないことも可能だからな。


「そしたら俺はどうしようか……」

「……貴方に、オスカル様から伝言があるわ」


伝言? 仕事内容の指示だろうか?


「……『貴族院にてお嬢様方の警護に当たるべし』、だそうよ」


そう来たか。

確かに先日の事件を顧みるとお嬢様方の警護をしたほうがいいのは自明だ。


「でも、貴族院は基本的に部外者の立ち入りが禁止ですよね?」

「……そうね。どうしてオスカル様はこんな指示を?」


メイド二人が唸っている。

しかし、そういうことなら確かに俺は適任だ。


「恐らく、何とかなりますよ」

「どうやって……わかりました! 潜入ですね! 東方のニンジャみたいに!」


なんでそんなニッチな物を知ってるんだ……?


「違います違います。正面から正々堂々行きますから」

「……でも、門前払いされるのが関の山じゃない?」


ロジーナが心配そうにこちらを見てくる。

貴族院に押し入った場合、最低でも牢に繋がれることを知っているからだろう。

だが、立ち入りが禁止なのは『部外者』だけだ。

『関係者』なら、問題ない。


「コネって言うのはこういう時に使ってなんぼですから」

短いので明日も更新します

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