大惨事 そして
「これで最後、と」
エンチャントした短剣が最後のゴーレムのコアを貫くと、ゴーレムは機能停止した。
「よし、片付いたな」
短剣を仕舞い、手のホコリを掃って辺りを見渡す。大量の残骸。飛び散ったコア。
「……よく考えたら、ここ領主の屋敷だったな」
少し落ち着いて冷静になると、不安になってきた。
とんでもないことをやってしまったのではないか。最悪牢獄送りまでありうるこの状況。打開するには……
「よし。逃げるか」
「おや、どこへ行かれるのですかな」
踵を返すと、そこには気配もなく佇む一人の老人がいた。
「……あなたは?」
袖にしまった短剣に再び手を伸ばしながら問いかける。
「申し遅れました。私、この館で家令をしておりますオスカルといいます」
流麗な動作で一礼をするオスカル。
「これは失礼を。私は……」
「レオン様でお間違えないですか?」
「はい。本日は執事の面接のために伺わせていただきました」
普通、警備システムを粉砕して「面接に伺った」などとのたまう人間はいないだろうが……
「ふむ、なるほど。立ち話も何ですのでどうぞこちらへ」
「失礼します」
……この惨事は言及しないのか?
色々気になることはあるが、ひとまずはオスカルの後を付いていくことにした。
短いですが、区切りが悪いのでこのくらいで。