表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
執事とお嬢様の魔法五重奏《マジカルクインテット》  作者: 幻馬
第一章 リヒテンベルクの人々
32/73

精霊魔法

「ま、待ってよレオン!」

「悪いが時間がない。移動しながらで頼む。『天翔ける風よ』」


校門から出たところで飛行魔法を行使する。


「もう! 『風』!」


続けてフィーネも飛行魔法……のような何かで飛び上がる。


「……俺が言えた口じゃないが、詠唱を略しすぎじゃないか?」


詠唱は略せば略すほど具体性を失う。

俺の詠唱も二節分破棄しているから、制御をやめればすぐに霧散してしまうだろう。

フィーネの詠唱はもっと酷い。が、彼女はそれでも行使できるだけの技量を持っている。


「いいの! それで、急にどうしたの?」

「実はな……」


俺は今朝、屋敷の前で見た大型魔動車と、屋敷に来る予定の剪定業者について話した。


「むむ。それって、もしそれが盗難車だったとしたら……」

「ああ。考え得る限り最悪のケースだが、リヒテンベルク邸が危ないかもしれない」


あの声が聞こえたということは最悪のケースである可能性が高い。

この速度のまま屋敷に向かっても、一時間弱はかかってしまう。

まだ転移用の魔方陣を書いてなかったのが裏目に出た。


「うん、事情はよく分かった。じゃあ、急がないとだね」

「どうするつもり……って、まさかお前」

「私も直ぐに追いつく。だから、先に行って?」


フィーネの真剣な瞳が俺に刺さる。

恐らく、裏技を使うのだろう。


「わかった。頼む」


期待には応えないといけない。

俺は身体に薄くまとっている風を強化する。


「行くよ! 『風精霊シルフに命じる。その力をもって、彼の者をリヒテンベルク邸へ』!」


フィーネの雰囲気が一変する。魔力によって大地に根付く精霊と交信する精霊魔導士独特の雰囲気だ。


「飛べぇ!」

「うおぉぉぉ!」


精霊の力を受けて異常なほど加速する。

この速度なら、もう十分程度で着くだろう。

間に合ってくれ……!





「ふぅ……ありがとシルちゃん」


シルフにお礼を言い、交信を止める。

精霊魔法は常人には不可能な魔法を行使できる代わりに相応の魔力と精神力を消費する。

更に使用条件も厳しく、習得も難しい。


「レオンの真面目な顔、久しぶりに見たな」


なんでもそつなくこなせるからこそ、レオンは燻っていた。

権力闘争が嫌だから仕事を蹴っていたのも半分くらいはあるだろう。

でも、もう半分は自分が真剣に、全力で取り組める何かを探していたからだと思う。

その実、今のレオンの目には、間違いなく熱があった。


「そっちの方が、カッコいいからね」


頑張れ、レオン。

5000PV 1500UUありがとうございます!


後で一回改稿します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ