拝啓 レオン様
「レオンさん。あなた宛てに手紙が来てますよ」
「手紙ですか? 私に?」
仕事にも慣れてきたある朝。
いつも通りローゼンクイーン、ソフィア、エメラダの三人を見送って、アンの講師に向かおうとしたところで、オスカルに声をかけられた。
「なんでも、手紙が意思を持ったかのように飛んできたとの報告を受けていますが……」
そんな酔狂な魔法を使う人間の心当たりは一人しかいない。
「すみません。その手紙は私宛で間違いないです」
「レオンさんのご友人は面白い方なのですね」
どうやらオスカルも察したようだ。
手紙を受け取り開封すると、以下のように書かれていた。
拝啓 レオン様
近況報告は定期的にくれと再三言ったのにもかかわらず、一向に連絡を寄越す気配が無いですが如何お過ごしでしょうか。
私やカーツ教官も頭を痛めています。
急かすつもりはありませんが、もしもこの手紙を読んでいるようでしたら近況報告がてら一度センテルム魔法大学校まで顔を見せてください。
返事は期待してません。
フィーネより
追伸・そういえば最近大学の近くに新しいカフェが出来ましたよ。気になりますね。
「なるほど」
どうやらフィーネはお怒りらしい。
そういえばここに来てから連絡を全く送っていなかった。
「どうされました?」
「いえ、学友に近況報告していないことを怒られまして……」
「それはまた」
ほっほっほっと笑うオスカル。
確かに、散々手紙を送れと言われたような気もするが、すっかり忘れていた。
「そういえばレオンさんに休暇を与えていませんでしたね」
「休暇があるんですか?」
「ええ。流石に人間ですので、一週間に一回以上は休暇を取って頂くようにしています」
そうは言うが、未だにオスカルが休んでいるところを見たことない。
「ちょうどいい機会ですし、休暇がてら大学の方に顔出ししてはいかがですか?」
「よろしいのですか?」
「知っての通り今日は来客もありませんし、強いて言うなら庭の剪定業者が入る程度ですが、その程度なら問題なく対応できますので」
「ではお言葉に甘えさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「ええ。ご学友様によろしくお伝えください」
「ありがとうございます」
オスカルにお礼を言い、そのまま屋敷を出た。
更新遅れてすみません。




