表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
執事とお嬢様の魔法五重奏《マジカルクインテット》  作者: 幻馬
第一章 リヒテンベルクの人々
21/73

いま出来る最善の対応

深夜。

一日の業務を終え、とある部屋の前に立つ。

呼吸を整え、ドアをノックする――


「どうぞ、鍵は開いてますので」


――ノックしようとしたところで声をかけられた。

気づいていたか。いや、どこから気づかれていたか。

まぁ今はそんなことはどうでもいい。


「失礼します」


ドアを開けて、部屋に入る。

本棚、机、ベッドと基本的なものがあるだけのシンプルな部屋だった。


「それで、どのような用事ですかな?」


その言葉で部屋を見るのをやめ、目の前の家令、オスカルと向かい合った。


「今日の業務についてです」

「なるほど。初日なのにしっかりと業務をこなせていた、とメイドから伺っていますが」

「伺った内容でなく、オスカルさんが実際に見た意見をいただいても?」


その言葉でオスカルの眉が少し上がる。

どうやら予想は正しかったようだ。


「……ふむ。たった一日でそこまでとは。センテルム魔法大学校は随分といい生徒を育てたようですね」

「いえ、半分ハッタリです」


オスカルの魔法。それは恐らく視覚を飛ばす魔法だ。

それも恐らく複数に飛ばすことのできる類だろう。

常人がそんな事をすれば、情報を処理しきれずに昏倒してしまうほどの魔法だ。


「それでも十分です。私の魔法の一端に触れることが出来たのは、この屋敷では貴方が三人目ですから」


三人目か。一人は見当がつくが、もう一人は誰だろうか。


「さて、それでは私の所見ですが……」


そうだ。ここに来た目的はオスカルの魔法を見破ることではない。

今日の行動を顧みることだ。

そして、お嬢様の事をより深く知るためだ。


「まずはローゼンクイーン様について――」



「こんな夜遅くまでありがとうございました」


時刻は既に三時を回っている。

が、オスカルは真摯に教えてくれた。


「いえ、そもそも事前知識も研修もなしに『完璧な対応』など、出来るわけないのです」

「それは……」

「大事なのは『いま出来る最善の対応』をすることです」

「『いま出来る最善の対応』、ですか」

「レオンさんは現状でも十二分に『いま出来る最善の対応』が出来ていますよ。明日からの……いえ、もう今日ですか。今日の業務も期待しています」

「はい!」


それだけ言ってオスカルの部屋を去った。

やれることはやったはずだ。

後はなるようになるさ。





「はて、そう言えば今日はお嬢様方の登校日ですが、レオンさんはご存知でしたでしょうか……?」

なぜかオスカルの名前と敬称が別の作品と混同していたので統一しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ