家の現状とソフィアの頼み
気づいたら半年も経ってました……すみません
「この食事を終わります。神に祈りを」
「……祈りを」
「なの!」
「御馳走様でした」
豪華な食事に舌鼓を打ち、食事を終え、各々が食後の祈りを捧げると、アンとエメラダはそそくさと食堂を出て行ってしまった。
「さてと。レオンさん」
「何でしょうか?」
「明日からの事で少し話したいことがあるの。この後私の部屋に来てくださる?」
「かしこまりました」
部屋を出ていくソフィアの後に続く。
そこから少し歩いたところで歩みを止めた。
どんな部屋なのだろう。
「ここが私の部屋。どうぞ入って」
ソフィアが部屋のドアを開ける。
「あまり見せられるような部屋じゃないのだけれど」
やはり、と言うべきか。
先ほどの食堂ほどではないが、個人の部屋にしては破格の広さだ。
「そこの椅子に座ってもらえるかしら」
「かしこまりました」
ソフィアが座った椅子の相向かいに座る。
「それじゃ、何から話そうかしら。お父様から何か聞いた?」
「いえ、何も。見たことはあっても話したことすらありません」
「そうだったの? 私はてっきり、また……」
また? 以前何かあったのだろうか。
「そうね……レオンさんは私たちの事をどう思った?」
少し間をおいてソフィアがそう尋ねてきた。
「どうとは?」
「ハッキリ言って、仲が悪いって思ったんじゃない?」
当然だ。まず長女。ローゼンクイーンは一緒に食べる気が無いようだった。
ソフィアはなんとか仲裁しようとはしていたが、エメラダとアンは我関せずといった様子だった。
メアリライト?にはそもそも会うことすらできていない。
と、率直な意見を返すのは無理があるので歯切れの悪い返事を返す。
「それは、はい」
「そうよね……。全員一緒に暮らし始めて二年くらい経つのだけど、ずっとこんな感じ。むしろ最初の頃のほうが良かったくらい。新しい人を入れたり、色々お父様も試したのだけど、全部ダメだった」
二年もあの調子だったのか、予想以上だ。
それだけ時間が経っているのなら関係改善は……
「だからこそ、あなたには期待したいの」
などと考えていたらソフィアにそう言われた。
「どういうことですか?」
まだここに来て一日も経っていない俺に何を期待するのか。
ソフィアはこう続けた。
「お父様の息がかかってなくて、それでいて貴族じゃないあなたに」
じっと俺の目を見つめてそう言う。
この二年間に何があったのだろうか。
俺にはまだソフィアの心情を図りとることはできないが、その瞳からは後悔と期待が見て取れる。
「……かしこまりました。ソフィアお嬢様のご期待に沿えるよう、善処いたします」
「お願いね、レオンさん」




