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ーーーまあ、とはいえ。

如何に私が悪役であろうと、今の私は実際、まっっったく何にもしていない善良な一貴族令嬢のはずである。本音を言えば、いやふざけんな!?と、言いたいところではあるのだが、地位これ絶対。伯爵家が王家に逆らったと見なされれば、それこそ我が家は潰されかねない。


「おい、降りろ。」


強面の兵士に睨まれつつも私が連れてこられたのは、やはりというかなんというか王城だった。


「...わかっています。」


私はいかにも気位が高い感じを出しつつ、銀色の髪を靡かせて、学校よりも長い廊下を歩いた。

もうなんか絵的に私が兵士を従えているみたいになっている。

ーーーそして。私は、オーレン=エルトリア殿下の誕生を祝う夜会が開かれる筈のその場に、たどり着いてしまった。


小説では、クラウディアが婚約破棄を言い渡され、晴れてバッドエンド...いや、ハッピーエンドになるわけだ。

身勝手な婚約破棄に怒ってくれた家族と親友。

ちょっとの事で没落などするタマではないだろうけれど、出来るだけ、恩を仇で返すようなことはしたくない。

逡巡する私を、緊張しているとでも思ったのか、まだ若い感じの兵士の一人がばかにしたように


「どうされました?顔色が優れないようですが。

このままお屋敷にでもお帰りになられます?」


などと言ってくる。一兵士が曲がりなりにも伯爵

家の人間にここまで言ってくるとは、やはり私の貴族としての地位はいよいよなくなるということか。


「...結構ですわ。」


私は素っ気なくかえし、開いていく夜会への扉を見つめる。...と。


「...あっ、すみません!」


使用人の少年が私にぶつかり、急いでいるようでそのままどこかへ早歩きしていった。

取り敢えず気持ちを切り替えて、私は漏れでる音楽とそこで待ち構える二人に、視線を向けた。



「よくもおめおめと顔を出せたものだな、クラウディア。」


正しく物語の王子様である、元・私の婚約者は、つめたーい目で私を睨んでくる。

その隣に寄り添うヒロインは、挿し絵にあった通りの愛らしい少女。

いや強制的に連れてこられたんですけど!?誰かさんに!!なんて、言えたらい良いのに。


「まあ、オーレン様。ご機嫌よう。

...それはいったい、どういう意味でしょうか?」


何も知りませんよーという感じで尋ねてみれば、オーレン様...オーレンは、怒りで顔を赤く染めた。


「ここにいるレイラを苛めておいてその言い様はなんだ!クラウディア!今日この時をもって、私はお前との婚約を破棄させてもらう!!」


「オーレン様っ!!」


...いやもう、いちゃつくならお前らの方が退場すればいいだろって一瞬思っちゃった私は、きっと悪くないだろう。というかレイラもオーレンもこんなキャラだっけ?あれ?とか思っちゃうのも、きっと仕方がないのだ。うん。


にわかに騒がしくなった聴衆からは、なんですって?この婚約は陛下がお決めになったものじゃ...?といった言葉が聞こえてくる。

その通りだ、だがいま陛下は諸外国へ外交に出掛けている。...つくづく希望がない。


「まあ、そんなっ!私は貴方様を愛しているというのに!どうしてですの?!」


取り敢えず小説通り応戦してみる。


「こんなことが陛下に知れたら、貴方たちはどうなると思っていますの?」


「ふん!そんな脅しが私にきくものか!父上ならきっとわかってくださる!!」


いやわかってくださると思えないから言ってるんだけど!?何その根拠の無い自信は!

この人こんなに馬鹿だったっけ...?


「...ともかく!未来の王妃を傷付けた罪は重い!...衛兵!!」


そうして、私は流れるように牢獄へつれていかれた。...ちょっと小説の通りすぎやしません?

誰か助けてくれたりとか...しません、よ、ね...。




ありがとうございました!

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