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侍女に言われ客間の方に行ってみれば、そこには私の無二の親友であり、昔から家同士でも交流のある、カトリーナ=レミニ男爵令嬢の姿が。


「まあ、カトリーナ様。いらっしゃいませ。ですが突然、どうなさいましたの?」


茶髪に茶色の瞳をもった、一見ただ可愛らしく可憐な、理想的なご令嬢。

そんな彼女は、申し訳なさげに頭を下げながらも


「突然申し訳ありませんクラウディア様...。

あの私、少し相談がありますの。」


と、暗に侍女に退室を求める。

私も視線をやれば、侍女は一礼して出ていった。


「...で、どういうことなのかしら、これは。」


ああ、あんなに可憐だったリーナから冷気があああぁ!


「あ、えっと...あ、あはは。」


「笑って誤魔化そうとしないで頂戴。

わたしは、どうしてあのバカ王子が婚約破棄なんてことになっているのか聞いてるの。」


ば、ばかって...世が世なら、かるーく不敬罪で死刑なことをさらっと言っちゃう我が親友。

うん、お願いやめよ?リーナの事だから、確実に誰も(私以外)居ないところでしか不用意なことを言ったりは絶対しないけど。しないけど!


「...あぁ。問題ないわよ、この部屋には今使用人はもとより間諜、死客の類も居ないから。」


...色々言いたい事があったが、取り敢えず呑み込もう。うん。呑み込もう。


「あー...あのね、オーレン様は私の他に好きな方ができたらしいわ。」


わー...殺気がいたいー...


「...レイラとか言う新興貴族の噂って、まさか本当だったのかしらねぇ...?」


「...やっぱりちゃんと調べちゃってるんじゃない。」


私が思わずそんなことを言えば、リーナは恐ろしく完璧なそれはそれは美しい笑みを浮かべた。

...むっちゃ怖かった。


「当然のことをいわないで頂戴。

で?どういう経緯なのかしら?」


私はともかく、これまでの事をかいつまんで話した。


「ええとーーー」




「う、うわわわわぁあ!?おっ、落ち着いてリーナあぁ!!」


「何を言うのディア。私は至って冷静よ?

...さて、ちょっと用事ができたみたい。行ってくるわね。」


「やめてええぇ!」


目が本気だ、この上なく。

こういう時のリーナの恐ろしさを嘗めてはいけない。


「お、落ち着いてリーナ。私が元々この婚約に乗り気じゃなかったことくらい、貴女も知っているでしょう。」


「...ええ、しっているわよ。でも、それとこれとは話が別。この国において婚約破棄が、どれほどデメリットになるか。最悪結婚どころか、ディアの場合この国にすらいられなくなるわ。」


流石リーナだ。その通り。私はもう、この国には居られない。だって私は、最低最悪の悪役令嬢なのだから。


「しかも、ディアのは濡れ衣なのよ?

貴女は何もーーー。」


そのとき。屋敷の、玄関の方がにわかに騒がしくなった。ーーーー来たのだ。

私は立ち上がった。


「...ディア。」


「...うん。じゃあ、ちょっといってくるよ。」


私はそのとき、どんな顔をしていたのだろう。

ちゃんと、笑えていたら良い。

最後まで、いつもみたいに居てくれて、ありがとうリーナ。




最初と最後の温度差が...

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