プロローグ
拙文ですが宜しくお願いします。
R15は保険です。
ーーーそれは私が一方的に婚約者に振られ、悲嘆にくれるーーー訳でもなく、ただポーズとして自分の部屋にひきこもっていた時のこと。
大好きなケーキたちを食べようとしていた正しくその瞬間、私は前世の記憶というやつを取り戻してしまった。
自分が日本人であったこと、まだ社会人になりたての若さで、交通事故であっさり死んでしまったこと。
...そして今私がいるこの世界が、かつて私が死ぬ前に読んでいた恋愛小説の世界であるようだと言うこと。
......そして、私はこの世界の、いわゆる悪役令嬢。
クラウディア=オストカーレ伯爵令嬢、だ。
.........何でやねん。
「ーーお嬢様?如何なさいましたか?」
侍女のアリシアが、心配げに私を見ていた。
「あ、...いいえ、なんでもないの。た、ただちょっと...は、白昼夢...?みたいな...?」
...何か残念な子を見る目をされた気がする。
まあ自分でも何言ってんだって感じなんだけど。
「お嬢様、やはりお疲れなのでは...?一度、お休みになられては如何でしょう。」
それでも心配してくれるから、一見クールビューティーなアリシアはやっぱり優しい。
疲れてなんかいなかったけれど、一度思考を整理したかった私は、アリシアに従いおとなしく休むことにした。
私は、ふかふかのベッドに身を沈め、これからのことを考えることにする。
まず、小説でのクラウディアは悪役令嬢である。
この国の第一王子、オーレン=エルトリアの婚約者で、伯爵令嬢。銀糸の髪に蒼い瞳をもち、整った顔をしているのだがいかんせん“キツそう“なのである。悪役っぽい。...当然ではあるけど。そして、婚約者たるオーレンが好きだった。貴族の子息子女が通う学園で曰く主人公、レイラがオーレンと親しげにいるのを見て嫉妬、からの取り巻きを引き連れての威嚇、さらにいじめまで始める始末。...落ち着けといいたい。
そして王子、その他取り巻きにその行為がばれ、断罪されて婚約破棄、王国追放まで行く。
だがまあ、それは小説での話であって私とは違うのだから、気にしないでいけば良いーーーと、いうわけにもいかなくなっているのが現状だ。
...まあなんというか、すでにオーレンとの婚約破棄の話が持ち上がっているんだよねー...私、なにもしてないのに。
つまり、私はこれから国外追放。...いや、私が一応貴族だから表立ってころさないだけで、死客が放たれたりだとかもするかも。とにかく私は平穏に生きたいのに。
なんて考えていたら、部屋の扉がノックされる。
侍女の一人、ーー確かエマといったかなーーが、やって来た。
私は慌てて令嬢スマイルを浮かべる。
「どうかしましたの?」
「はい、客間の方にお客様がーーー」
「...そう、どなた?」
うわ、嫌な予感がするわー...