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俺の陸戦艇物語~武器ヲタおっさんの冒険譚~  作者: 犬尾剣聖


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95話 ビッチの涙は甲板を濡らした

本日3話目のアップです。


お間違えの無いように93話→94話→95話の順でお読みください。



 ベルダングルの洞窟の入り口は非常に広い。


 中型陸戦艇なら入って行けそうなほどだ。


 それが砂海のど真ん中に忽然と現れる。


 なだらかの勾配がずっと洞窟の中へと続いていき、洞窟を進んで行くと徐々に広さは狭くなっていく。


 そしてガンボートクラスの小型陸戦艇が通れるほどの広さで落ち着く。


 洞窟内は真っ暗であり、探照灯が必需品である。


 そのため今回“俺の陸戦艇Ⅰ”は両舷のカタパルトランチャーを外して、そこに探照灯を装備してきていた。その他に船首と船尾の砲座にも射撃用に小型の探照灯を装備している。


 ガレアス号も探照灯を船首に1基、砲座にも小型の探照灯を装備している。


 先頭にガレアス号がいき、少し間をおいて俺の陸戦艇Ⅰが行く。距離にして50mほど開けている。


 マノックは探照灯で洞窟内の壁を照らしながら魔物が潜んでいないか探しているのだが、一向に魔物の痕跡さえ見つけることができない。


 そんな時、マノックが突如操舵をするハンス・ラルに停船するように指示する。


 疑問を口にするハンス・ラル。


「いきなりどうしたんですか?」


「ガレアス号が止まった。なんか様子が変だ。気を付けろ」


 その数秒後だった。


 突然ガレアス号の20㎜機関砲の発射音が洞窟内に響き渡る。


 そのすぐ後に船首の砲座にいたレラーニが叫び声と共に37㎜砲を発射した。


「敵襲!」


 ドンッ!


 37㎜砲弾は14時方向の壁に当って爆裂魔法を発動させた。


 その爆発で岩の破片と一緒に何か生き物らしい者が吹っ飛ぶ。


 それを合図にヘルマン・ラルが慌てて船尾の15㎜重機関銃砲座に飛び込む。


「ハンス、ミル、探照灯を頼む!」


 探照灯で壁を照らすと、壁の穴から続々と身長100㎝ほどの深緑色した人型生物が湧き出してくるのが照らし出される。


 そしてそいつらは手にした槍を一斉に投げ始める。


「くっそ、退避~、船倉内へ退避しろ~!!」


 その間にもガレアス号の方でも激しい機関砲音と機関銃音が聞こえてくる。


 マノックとハンスにミルは船倉に隠れながら手持ちの武器で応戦を始める。


 ヘルマンは15㎜重機関銃の銃口を壁に向けると、小型探照灯で照らしながら引き金を絞る。


 15㎜重機関銃の激しい砲煙と閃光が暗闇を震わせる。


 マノック達は慌てて両手で耳を塞ぐ。


 岩壁に15㎜の弾丸が当たって火花を散らし、岩陰に隠れている生き物を岩ごと削っていく。


 15㎜弾丸の至近距離からの威力は凄まじく、発射のたびに着実に獲物を仕留めていく。


「ミル召喚できるか」


「はい、任せてください!」


 そこへ今度は真上から甲板にロープを垂らして奴らが降りてくる。


 それを見たマノックが叫ぶ。


「接近戦用意!」


 ハンスがお得意のサーベルを腰から引き抜く。


 レラーニも砲座から這い出すと、魔法の剣を腰から引き抜き笑みを溢す。


「かかれっ!!」


 マノックの掛け声に合わせる様にミルが魔物を召喚した。


 召喚された魔物は体長3mはある巨大なハサミムシであった。


 そのハサミムシはそのお尻の巨大なハサミでもって、次々に獲物を捕らえて切り割いていく。


 マノックは短機関銃を乱射しながらミルに叫ぶ。


「ミル、ヘルマンが負傷している。治療できるかっ!」


 ミルが15㎜重機関銃座にいるヘルマンに視線を向けると、肩から血を流しながらも引き金を引き続けている。

 この銃座は完全密閉式ではないので、防盾の合間から槍が入り込み肩をかすめていったらしい。


「はい、ヘルマンさん、今行きます」


「俺が援護する、行けっ!」


 マノックがミルを守るように短機関銃で援護射撃をする。


 ミルはヘルマンまでたどり着くと、手に持ったポーションを肩の傷口にかける。

 それで出血は止まり、傷口も徐々に塞がっていく。

 これだけ効能が早いということはかなり高価なポーションである。


「ミル大尉、ありがとうございます。もう大丈夫です!」


 ヘルマンは礼を言うと再び激しい銃撃を続ける。


 どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。


 襲ってくる敵はいなくなる。

 

 召喚したハサミムシもじっとしているところをみると、近くに敵はいないらしい。


 マノックが攻撃中止の命令を出す。


「攻撃止め、全周警戒。弾を補充しておけっ」


 ガレアス号の方も撃ち方を止めており、探照灯で壁を照らして警戒している。


 レラーニが死体を確認しながら口を開く。


「レイ、こいつらナイトゴブリンだぞ」


「ああ、そうみてえだな。しかしなあ、なんでこいつらがこんなところにいるんだよな」


 それを聞いたミルがマノックに疑問をぶつける。


「レイさん、ナイトゴブリンって魔物なんですか?」


「いや、ゴブリンの亜種と言われてる。森林エルフとダークエルフの関係みてえなもんかな」


「私初めて見ました」


「ああ、こいつらはこの辺にはいない筈だからな。もっと北の涼しい場所の洞窟地帯に住んでいる。人族の領内で見たなんてのは初めてだな」


「それが何でここにいるんですか?」


「さあな、それは俺が聞きてえくらいだ。とりあえず一旦ここを出るぞ」


 撤退の合図をガレアス号にも伝え、一旦洞窟を出ることにする。



 入口の明るい場所までなんとか戻ってくると、甲板上は血痕で凄い有様であった。


 それはガレアス号も同じであったのだが、少し様子が違った。


 ガレアス号の甲板上には彼女等の奴隷ゴブリンがきれいに2体並べられていた。


 それに見かねたマノックがビッチ姉妹に声を掛ける。


「少しでも息があればポーションでなんとかねるかもしれねえぞ。いるか?……」


 ゴブリンを見つめたままソニアが答える。


「マノック男爵、お気遣いありがとうございます。しかし少し遅かったようです。先ほど2人目も息を引き取ったところです……」


 その時ここにいる誰もがこの光景に目を奪われた。


 ソニアとレベッカの姉妹が涙を流していたのだから。


 その涙は静かに甲板上に横たわるゴブリンにぶつかると、陽の光にキラキラと照らされて散って行った。


 ゴブリンは体が小さい。

 人間がかすり傷でもゴブリンにとっては重傷となる。

 ゴブリンの平均寿命が短いのもそれに起因するところが大きい。


 2体のゴブリンを丁寧に砂海へと埋葬した後、マノックはロックランドに戻ることを提案してみる。


 しかし猛反対してきたのはビッチ姉妹だった。


 自分達だけでも残ると言い張って聞かない。


 残ると言ってもガレアス号には航法の装置が一切ない。つまりロックランドまで戻って来れないということだ。


 そんな彼女等を残して帰ることなどできるはずもなく、再び洞窟に挑戦することに決まる。

 ただし今度は初めから全力の力でいくこととなる。


「全員近接用の武器を準備しておけ。それと各種ポーションも配っておくんでいつでも使える様に用意しておくこと。3時間ほど行ったところにドーム状の広い場所がる。厳しくなったらそこまで一気に進む。そこへ行けば旋回もできるからな。何か質問はあるか」


 そこでミルが手を上げる。


「ミル、なんだ?」


「はい、魔物を召喚して先行させてもいいですか」


「ああ、そうだな頼む」


「分りました。任せてください」


 ミルが洞窟に向かって魔物を召喚する。


 洞窟の壁に亀裂が入り、その亀裂から魔物が這い出してくる。


 出現した魔物は身長3mのトロルだった。


 そのトロルを先頭にしてその後を2隻の陸戦艇が進んで行く。


 初めに戦闘があった場所までたどり着くも、特になにも起こらない。


 油断せずにさらに奥へと進む。


 そこでビッチ姉妹が何かを発見したらしく、それを探照灯でしばらく照らした後、再び進行していく。


 俺の陸戦艇Ⅰが先ほどビッチ姉妹が探照灯で照らした場所までくると、それがなんだったのか判明する。


 人間の死骸だ。


 死因はおそらく頭蓋骨に突き刺さった槍である。


 その人間の亡骸なきがらを見てマノックはすでに砂人の何人かはここで襲われていることを想像した。

 そして改めて銃を握りしめる。


 そしてドーム状の広間にトロルが侵入して行くのだった。















読んで頂きありがとうございました。


今後ともよろしくお願いします。



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