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俺の陸戦艇物語~武器ヲタおっさんの冒険譚~  作者: 犬尾剣聖


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83話 轟雷男爵は雷空作戦に胸躍る

誤字が多いとのご指摘ありましたので見直してからのアップです。


それでもたぶんあるんだと思いますが。




 ミルは龍の背に乗って前線の一面を見渡せる上空から戦況を見ていた。

 

 ガンビア側の魔物はほぼ順滅。敵陸戦艇もかなりの数を減らすことに成功している。しかしその反面、ミルの召喚した魔物軍勢も大打撃を受けて残っているのは30匹ほど。


 その頃になると敵の陸戦艇は徐々に街の城壁近くまで後退しており、城壁の各所に備えられた要塞砲とも言うべき大型砲を援護につけるようになっていた。


 それはクルーザークラスが搭載するような大型砲、14㎝砲、15㎝砲、中には20㎝砲まで備え付けられていた。


 気の短い召喚魔物の1匹が猛然と城壁目掛けて突進する。


 全身を鎧のような硬い皮膚に覆われ、頭の先に鋭い角が1本生えている。その10mはある巨体とは裏腹に、4つの太い足で砂海を蹴りながらぐんぐんと速度を上げていく。


 敵のデストロイヤーに突撃するつもりらしい。


 ミルはその突撃に気が付いて声に出す。


「あ、ダメっ、サイさん今出たら……」


 ミルにもその突撃の結果がどうなるかぐらい解っていた。


 それもたった1発の砲撃により終止符が打たれた。


 城壁正面に備えられた20㎝要塞砲が直撃したのだ。


 単純に真っ直ぐに突進したものだから照準は容易たやすい。


 初弾で脳天に20㎝砲弾が直撃で、あっというまに血肉を撒き散らし爆砕してしまう。


 この1匹の魔物の為に相当数のガンビア街軍が犠牲になっていたらしく、ガンビア側からは大歓声が巻き起こる。



『魔物の中には気が荒い者が多いからのう』


 龍がミルの脳内に直接話しかける。

 念話というやつだ。


「ああ、サイさんがやられちゃいました。龍さん、あの大きいのって要塞砲って言うんですよね」


『そうじゃな、あれは厄介な代物だ。あれだけの重砲が備わっている城壁に攻めるとなると、今の我々の戦闘艇レベルでは大損害をだすぞ。ワシの見る限りじゃがな、正面からまともにやり合っても攻略の可能性はほとんどないと思うぞ』


「ええ~、そんなこと言ってもお。それならどうしたら勝てるんですか?」


 ミルが口を尖らして文句を浴びせる。


『ふむ、この街は城塞都市の部類になるな。そうなると内部から重砲を潰せれば楽なんじゃがな。砲は外に向いてるから中に向かって撃てんからのお』


「なるほど! それならどうやって中に侵入すればいいんです?」


『さて、それは難しい質問じゃな。まあ、見た感じじゃと城壁の裏手の港の門辺りが一番やわそうだとは思うがの。正面には今発射した20㎝クラスの砲があるから厳しいのう。狙うのはやっぱり裏門じゃろうて。それと空からの攻撃には弱いと見たぞ』


「そうですか――とりあえずレイさんにそれを報告しに行きますっ」


『そうか、了解した。急降下するぞ、掴まっておれ』


 そう言うと、龍は急降下を始め、グングンその高度を下げていく。


 そしてあっという間にマノック達がいる場所まで来てしまう。




「上空に魔物です。15時方向、速いです!」


 マノックの乗るマザーシップ2番艇では、ミルの乗る龍を発見して大騒ぎの真っただ中だ。

 

 大慌てでマノックが叫ぶ。


「奴らついに空から攻めてきやがったか! 対空防御っ、ぐずぐずするな!」


 しかしそんな騒ぎも見張り員の兵士の一言で終わる。


「あれ、大蛇に少女が乗ってる?――わわ、ミル隊長です、男爵っ、あれはミル隊長です!」


「撃ち方止めっ、撃ち方止め~~っ」


 砲術長が慌てて射撃命令を取り消す。


 幸いにも防御射撃が始まる寸前でそれは防がれた。


 そして安全が確保されたのを確認すると、龍はゆっくりとマノック達の陸戦艇の側まで下降してきた。



 ミルはマザーシップ2番艇の甲板にひょいっと降り立つと、ブリッジへと足を向ける。


 その龍を見たことがない乗組員は、その姿を陰からこっそり眺めている。


 ミルはブリッジへと登るとマノックの姿をいち早く見つけて彼の前まで走り寄る。


「レイさんっ、もう心配したんだから……また飛び出しちゃってるかと思って」


「まあな、なんとかとどまっちゃあいるけどな。本当は出撃したくてしょうがねえよ、ははは」


「あ、そうだ。報告の為に空から降りて来たんです」


 ミルは上空から見た最前線での戦況をマノックに伝える。そして龍が言った事も合わせて伝えた。


「そうか、要塞砲かぁ。それは確かに厄介だな。内部から破壊ねえ……」


 マノックは腕を組んで何やら考えている様子だ。


「なあ、ミル。空を飛べる魔物はどれくらい残ってるんだ?」


「はい、 空を飛べる魔物ですか。えっと生き残りの30匹の内――18匹ですね。空を飛べる魔物ばかりが残ったんで」


 どうやら空を飛べる魔物に対しての効果的な武器が少なかったようで、生き残りも18匹が空を飛べる魔物のようだ。


「18匹か。そいつらで兵隊運んだら何人くらい運べそうだ?」


「え、ええっ。兵隊さんを運ぶんですか! えっとどうやって運ぶかにもよると思うんですけど……それと兵隊さん運べるような大きさの魔物さんですと10匹ですね」


「10匹か。そうだな、船倉にあるでっけえ木箱で運ぶとしたらどうだ?」


「大型のグリフォンさんなら中くらいの木箱ならいけると思います。ロック鳥さんだと一番おっきい木箱2つでもいけると思います。でも兵隊さんを木箱でどこまで運ぶんですか?」


「あ? ガンビアの街に決まってんだろ。強襲上陸だよ。よし、作戦会議をするんで皆をあの龍で集めて来てもらえるか」


「ラッセニアの人もですか?」


「そうだな、無理しなくてもいいがあれだけ胴が長い龍なら乗せてこれんだろ?」


 騎乗具さえ取り付けていない空飛ぶ魔物なのだが、マノックはまるで他人事のように告げる。


「はあ、そうですけどね。一応龍さんに言ってみます」


「そうか、わりぃな。2時間後に会議するんで頼むな」


 もはや決定事項のようである。


 ミルは渋々ながら再び龍と一緒に大空に飛び立っていくのだった。






 そしてきっちり2時間後に首脳陣を引き連れて戻ってきた事に、マノックは驚きを隠せなかった。


「本当に2時間で戻ってこれたのかっ」


「マノック男爵、早急な作戦会議ということで来たのだがそれはないだろ」


「そうよっ、急に呼び出すなんて生意気よっ、あの寒空を飛んで来たんだからねっ」


 そう口を開いたのはラッセル伯爵とその令嬢のシェリーだ。


「ああ、すいません。そうだ、ゆっくりしている暇ないんでね、早速会議といきましょう」

(なんでロリ嬢も一緒に来てるんだ?)


 その頃になると小型突撃艇の部隊やレラーニのワスプ隊も帰還しており、最新の戦況の報告も入った。


 現在ガンビア街軍は街の城壁前に残存部隊を集結している。そこへ第2波目の突撃艇の襲撃によりヘビークルーザー1隻を中破、デストロイヤー1隻撃沈という成果だ。

 

 レラーニのワスプ隊もデストロイヤー1隻撃沈。

 しかも両部隊ともに味方の被害は無しだった。


 敵の陸戦艇は確認できたので15隻は健在とのことだ。その中にバトルシップ1隻とヘビークルーザー1隻を確認している。それに小型艇もいくつか残っている。


 魔物に関してはほとんどその存在を確認できなかったとのことで、ミルの召喚魔物との戦闘でほぼ全滅したものと判断する。


 現在戦線は膠着状態こうちゃくじょうたいで、ガンビア側からは攻めてこないようであった。


 それを踏まえた上での作戦会議が始まった。


「いきなりなんだがな、作戦を提案したいんだがいいか?」


 マノックは会議が始まるや自分の作戦を提案する。


 しかし特に誰かがそれを制止するわけもなく、マノックは淡々とその内容を話していく。


 その内容というのは簡単に言えば、ガンビアの街の中から攻撃しようというものだ。


 気づかれない様に潜入というのは難しいので、強襲上陸しようというのだ。


 空から魔物を使って陸戦兵を下ろさせる。砂海からはゴブリン製のデストロイヤーを使って城壁内に侵入するという作戦だ。


 ゴブリン製のデストロイヤーなので、ガンビアの陸戦艇のフリして侵入しようというものだ。いかにも被弾したように偽装して港に入ろうという作戦だ。


 マノックは私掠艇しりゃくていとして何回かこういったことを経験しているので、「ばれずにできんじゃねっ」と安易に考えていた。


 ガンビアの港に入ったならば、そこで船倉に満載した上陸兵を一気に吐き出して治安所や要塞砲などを強襲していき、中からガンビアを陥落させようというのだ。


 ラッセル伯爵から「それはちょっと卑怯と呼ばれる戦法ではないか」という意見があったのだが、マノックはそれに笑って答える。


「ラッセル伯爵、俺が若いころなんで『轟雷のマノック』と呼ばれて恐れらたか知ってますか?」


「う、ううむ。そうじゃったな。お前ならやりかねん作戦じゃな」


「そうですよね? 俺がいれば『またあいつがやらかしたか』で済みますから安心してくださいよ」


 マノック自らにそんなことを言われてしまえば返す言葉もなく、反対者なしでこの作戦は着々と準備を進めていくのだった。


 ラッセル伯爵は他の貴族から「卑怯な戦い」と言われるのが怖いだけだった。


 そして翌日の朝、マノックは声高らかに宣言する。


「これより作戦名『雷空』を実行に移す。お前ら準備はいいかっっ!」


「「「「「おおおおお」」」」」


 地平線からオレンジ色の陽が昇り始めたその砂海に、勇ましい陸戦兵の声が響く。


 その後マノックがやたらとソワソワして落ち着かないのを見た部下が声を掛ける。


 すると「いや~なんかワクワクしちゃってな」という言葉が返ってきた。


「もしかして隙を見て出撃しようとか思ってます?」


 と言う部下の言葉に対して


「え? えっと、そ、そ、そんなことねぇよ……」


 マノックの目が泳ぐ。


 その分りやすい態度に部下達は危険を察知。


 すぐさまマノックに24時間体制での護衛をつけるのだった。


 本当は椅子に縛り付けようかと思ったらしいのだが、さすがに男爵に対してそれは躊躇ちゅうちょした。


 それが出来るのはレラーニやミルやビッチ姉妹などの、ごく限られた特権階級?の人達だけだからであった。










読んで頂きありがとうございます。



次話も9割がた書き上がっていますので2日以内には投稿できそうです。



今後ともお付き合いのほどよろしくお願いします。



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