168話 最高司令官はおむつの軍門に下った
短く収まりましたw
マノックとラクは捕虜のデルガダを連れて戦闘指揮所に到着した。
ビッチ姉妹は弾薬を補充するといって、弾薬庫で20㎜砲弾を探している。
その頃になって来るとロックランド連合の突撃艇多数が、オグル軍艇の間を走り回り始めている。
そして得意の雷撃戦法という低進弾攻撃により、オグル艇は次々に爆炎を上げている。
戦闘指揮所からその光景を満足そうに眺めるマノック達4人。しかしそれとは反対に縛られているデルガダは『まさかこんなことがあるはずが……』とブツブツとオグル語でつぶやきながら落ち込んでいる。
下での経緯をエリスとミルに簡単に説明した後、マノックが皆に提案を持ちかける。
「それでだ、こいつに降伏するように言ってもらおうと思うんだが」
あらぬ方向を見て考え事でもしていたようなエリスがマノックに向き直る。
「そうねぇ。ちょっと私に時間をくれないかしらぁ。先ほどの交渉の続きをしたいんだけどぉ。いいかしらぁ、レイぃ?」
交渉の続きとは和平交渉の話である。
「まあ、いいけどよ。交渉をぶっ潰した張本人の俺が言うのも何だけどよ、今更って感じじゃねえか」
「そうだけどぉ、さっきと今じゃ交渉の状況がこっちが有利なのよねぇ。きっとうまく進められると思うんだけどぉ。どぉ?」
「そこまで言うならいいぞ。やってみろよ。だけどオグル側が拒否する可能性はでけえぞ」
「それじゃあ私に任せてねぇ」
エリスはそう言うと、マノック抜きでの交渉に入ってしまった。
別室にエリスと縛られたままのデルガダ。そして通訳のラクの3人だけで話し合いを始めた。
そしてしばらくしてから平手の形に腫れ上がった両頬の姿で現れるデルガダ。そのぐっりとしたデルガダを引きずるように連れて来たのはラクだ。
その後ろから痛そうな手を振りながら歩くエリス。
「引っ叩いたのか……拷問しやがったな、エリス」
「あらぁ、確かに最初はそう思っていたのよぉ。でもねぇ、そんなことしなくても従順だったのよねぇ」
「従順? それでどうなったんだ?」
「交渉成立よぉ。水の補給の保証という条件にロックランドの軍門に降るそうよぉ」
「なあ、それってほとんど無条件降伏みたいなもんじゃねえか。どんだけ酷い事したんだよ」
「酷い事は少しだけよぉ。そんなことしなくてもなんかぁ、意外と素直だったのよねぇ。あれのせいかしらぁ」
エリスの見つめる視線の先には、おむつの様に巻かれたデルガダの包帯があった。
「ビッチ姉妹の仕業のおかげかよ」
ビッチ姉妹の奴隷ゴブリンが全員おむつ状態で、従順な様子を思い浮かべるマノック達であった。
ポケットバトルシップの戦闘指揮所にある伝声管に向かって、最高司令官であるデルガダがしゃべり出す。
その内容はこの艇のオグル兵に対しての武装解除の命令だ。
その命令が流されると、あちこちの部署で降伏するとの連絡が戦闘指揮所へと送られてくる。
ただ、最後まで徹底抗戦してくる部署があった。
それは警備部隊である。
そこで「俺が行って鎮めてくるぜ」と言ってラクが出ていく。そして15分ほどで再び戦闘指揮所に戻って来た。
戻って来たラクは返り血を浴びて真っ赤になっていたのだが、誰も結果は聞かずに目を伏せた。
「あれ? 誰もどうなったとか、結果を聞かねえのか?」
「それ見ればわかるだろ」
そう言ってマノックが親指で指し示すのはラクの左手。
「ああ、見えたか。ふはははは」
ラクが笑いながら左手を持ち上げると、その手には警備隊の隊長らしいオグル兵の両足が掴まれていた。
「なあ、やっぱお前って人属じゃねえよな。その姿見ると魔物にしか見えねえ」
そう言うマノックを見たエリスは「それを言うならマノック伯爵あなたもよぉ」と言いそうになるのだが、なんとか胸の内に納めた。
そして次にやることは信号連絡で他のオグル艇に降伏命令を送る事。そしてオグルの各街へ伝書魔鳩を飛ばして降伏した事を連絡する事だ。
こうして戦線は徐々に落ち着いていく。
そして最後まで抵抗するオグル艇が低進弾の集中攻撃で爆沈すると、戦闘は一気に収束した。
だが問題はすべて解決したわけではなかった。
オグル軍との戦いはなんとかなりそうなのだが、オーク軍がまだ決着が着いていない。
オーク軍の大将は捕まえたのだが、降伏をしたわけではない。
つまりオークとの戦いは続行中なのである。
俺の陸戦艇Ⅲの会議室でマノックが提案する。
「オグル軍の時と同じようによ、オークキングに降伏命令をさせればいいんじゃねえのか」
その意見にエリスが返す。
「そうねぇ、誰かさんが暴走しなければそれでもいいんじゃないかしらぁ?」
マノックの表情が引きつる。
「そ、そうだな。悪かったよ。もういいじゃねえかその話はよ。それによ、そのおかげで有利な条件で勝利できたじゃねえか。結果オーライってことで!」
「私も色々と根回しするのもぉ、大変なのよぉ。まあ、いいわぁ。でもぉ、オークキングがOKするとは思えないんだけどぉ」
「ビッチ姉妹におむつ――説得させるから大丈夫だろ。それでだめならオークの首都まで乗り込むまでだよ」
こうしてデルガダを連れた3人は、再び俺の陸戦艇Ⅲへと戻って行くのだった。
俺の陸戦艇Ⅲに向かう連絡艇の中で、マノックがラクに頼んでデルガダに質問する。
「なあ、あのおむつの下ってどんな感じになってるか聞いてくれるか?」
その言葉にエリスとミルが一斉に反応して顔を向ける。
視線の先はもちろんデルガダの股間である。
デルガダはぽつりとつぶやく。
ラクが微妙な表情をしながらそれを共通語に訳す。
「長い間患ってたデキモノが取れた感じだと……」
その後、俺の陸戦艇Ⅲに到着するまで何故か沈黙が続くのだった。
覗き穴
マノック:「どこへ行くんだよ」
キース:「もう着きました。ここが目的の場所ですよ」
マノック:「この垣根はなんなんだ?」
キース:「ちょっと高いですが、あそこに穴が空いてますよね?」
マノック:「ああ、確かに穴が空いてるな」
キース:「いやあ、1人だとあの穴に届かないんですよ、で、マノック伯爵、ここで四つん這いになってもらえますか?」
マノック:「は? なんでだよ」
キース:「だから~、面倒くさいなあ。穴に届かないからに決まっているでしょ」
マノック:「そうか、よくわからねえが」
キース:「マノック伯爵、もうちょっと高くしてもらえませんか。あとちょっと届かないんですよ」
マノック:「ん? なんだ? 垣根の向こうから何か聞こえねぇか」
○○:『いいなあ。私もレラーニさんみたいなスタイルになりたいです』
▽▽:『何言ってるんだ。私はミルみたいな肌がほしいぞ。つ、つるつるじゃないか。それにこの可愛らしい尻尾!』
○○:『やっ、くっ、そこはだめなとこです』
□□:『ふんっ、少しは静かにお湯につかってなさいよっ。子供じゃないんだからっ』
マノック:「キース、今確かに声というか、会話が聞こえたぞ?」
キース:「だから今から確認しようとしてるんですって。少し黙っててもらえますか。気が散りますから!」
○○:『レラーニさんって筋肉すごいんですね。腹筋割れてるじゃないですか』
▽▽:『ふへっ、ほひっ、ミル、そ、そこはそこはダメなところ。あひっ!』
□□:『だからうるさいわよっ、静かに入りなさいよっ』
キース:「あとちょっと、もう少しで覗ける……あっ!」
バターーン!!!
マノック:「キース、垣根が倒れた……ミル、レラーニ!……少年?」
キース:「やべ、こ、これは、あの、その、マノック伯爵に女風呂を覗きに行こうって誘われたんです。俺は悪くないんです!!」
ミル:「え、そう。それならレイさんは悪くないですね」
レラーニ:「そうだな。悪いのはキースだな。警備隊を呼ぶかこの場で撲殺か選べ!」
マノック:「そう、そうだな。悪いのはみんなキースだな」
キース:「まってくださいよ、それはおかしいじゃないですか。なんで俺だけなんすか。 それに女湯って言っときながら少年もいるじゃないですか」
マノック:「うん、確かに女湯って割には少年もいるじゃねえか。実は混浴か?」
□□:「誰が少年なのよっ!!」
ミル:「そういえば、いつのまに少年が?」
シェリー:「私よっ、シェリーよっ!!!!」
マノック:「はあ? ロリっ子だと。確かに声は似てるよな。少年の様な体形というのもそれなら頷ける」
レラーニ:「そういえば似てるような気もしてきたぞ。ツルペタってのも納得できるぞ」
ミル:「あっ、シェリーさんじゃないですか」
シェリー:「いやさっきガールズトークしてたでしょっ」
レラーニ:「ああ、なんとなく落としどころが見えてきたぞ。悪いのはキースとこの少年ってことでいいな」
マノック:「そうだな、これで一見落着だな。そういえばこの間できたばっかりのソフトクリームの店でも行かねえか」
ミル:「行きたいです、レイさんと一緒にピソフトクリーム食べたいです!」
レラーニ:「それじゃあ3人でソフトクリーム食べに行くぞ」
マノック:「そうと決まれば早く着替えて出発だ」
ミル:「やった~」
・
・
・
・
キース:「あの~、俺達ってなんなんですかね――一応確認なんですけど、シェリーさんですよね?」
シェリー:「まだ言うかっ。キースっ、このスイッチ頼むわねっ」
キース:「なんですかこのスイッチは?」
シェリー:「お約束スイッチよっ」
キース:「お約束? で、シェリーさんってニューハーフ……」
ポチッ
ちゅどどどど~~~~~~ん!!
というわけで次回もよろしくお願いします。




