21. 姫様は俺がお守りする
(親衛隊カルキノス視点)
気に入らない気にいらない気に入らない。
残された三人の近衛隊の一人、カルキノスは憤っていた。
何が新たな護衛だ。馬鹿馬鹿しい。それも人間だと? エルフに害なす蛆虫め!
我らが栄えある護衛に紛れるのもおこがましいのに、調教役ときた!
ふざけるなふざけるな。何の権限があってそのようなことを言う。王女殿下は我らが、いや、この俺、カルキノスが守るのだ。
ああ、優しくも麗しきルルカ様、リリカ様。
あなたのおそばでお守りできる事の、何と幸せか。
花より可憐な笑みが美しい。しなやかな肢体が麗しい。
女性として魅力的に育った体、その全てが愛おしい。
彼女らの笑顔を見るだけで満たされる。高貴なお姿、芳しい香り、そのお声を聴けるだけで我が身は昂る。
『カルキノス、凄いのだ!』
『ありがとうカルキノス。頼りにしているわ』
『カルキノスがいてくれるから、リリカは頑張れるのだぞ!』
『今日を迎えられたのもあなたのおかげです、カルキノス』
記憶の中で微笑みかける、姉妹の王女たちの幻影。
可憐で、麗しく、気高い彼女らの好意。それが向けられるだけで、カルキノスは幸せだった。
なのに何だ、あの男は。フォードとかいう、いけ好かない邪魔者は!
たかが野盗一回倒したくらいで気に入られおって! くたばるがいいペテン師め。
どうせお前も体が目当てなのだろう。清らかで、豊満かつ、麗しい姫様の肢体を目当てに、欲情の魔手を向けるのだ。
そんな事は許さない。
愚かなる貴様の化けの皮、俺が剥がしてやろう。
そして取り戻すのだ、王女殿下の笑顔を。ルルカ様の怜悧な微笑み。ルルカ様の無邪気な抱擁――全てを我が物に!
おおおおおおっ! カルキノスはフォードがルルカやリリカから優しい言葉をかけられるのを夢見て、嫉妬に燃えていた。




